昨日は南青山のカナダ大使館で開かれたダイアナ・クラールのショウケースに行ってきました。これまでにも何度かカナダ人アーティストのミニ・コンサートなどに招かれていますが、いつもは服装に指定がありません。それが今回は「ビジネス・スーツ着用」となっていました。
ジャズ系の招待客は服装がだらしないんで、業を煮やした大使館がこういう風に指定したのかしら? そんなことを思いつつ、普段はめったに着ないスーツとネクタイ姿で行ってきました。けっこう有名人も招待されていましたね。目が悪いんで目立つひとしかわかりませんが、奥田瑛二夫妻、渡辺貞夫夫妻、カールスモーキー石井さん、モンキー・マジックのメンバーといったひとたちが近くに座っていました。
それで「ビジネススーツ着用」ですが、会場について理由がわかりました。高円宮妃が列席されるからだったんですね。高円宮妃はカナダ大使館およびカナダと縁が深いみたいです。たしかカナダ大使館のレセプション・パーティーでご主人になる憲仁親王と出会ったと記憶しています。
ところで今年はカナダ大使館が東京に開設されて80周年で、その記念のイヴェントとしてダイアナ・クラールのショウケースが開催されたそうです。ぼくはまったくなにも知らないまま、レコード会社の招待で会場に行ったのですが、司会が小曽根真さんと中山エミリさん、それで最初に上原ひろみさんが2曲、次に小曽根さんが2曲、ダイアナ・クラールが6~7曲くらいでしょうか、弾き語りを聴かせてくれました。それで最後は小曽根さんのピアノでダイアナが「イフ・アイ・ハド・ユー」を歌うという、めったに見ることのできない共演もありました。
ダイアナは出たばかりの『クワイエット・ナイツ』のプロモーションをするために、たった2日間の来日です。1曲目だけひとりでピアノを弾きながら歌い、2曲目からは帯同したギタリストが加わりました。ほとんどギターだけをバックに歌った「クワイエット・ナイツ」と「ア・ボーイ・フロム・イパネマ」がとくによかったですね。
あとは、彼女のステージじゃないですが、上原さんの1曲目がすごかったです。ルイ・ベルソンが書いた「ラン・バーニンブ・ラン」(といったかしら? まあこんな感じの曲名だったと思います)では、絶頂期のバド・パウエルのタッチをものすごくモダンなコンセプトで演奏したらこうなった、みたいな内容でびっくりさせられました。次の「サクラ・サクラ」もよかったです。この曲、もうすぐ出る、彼女をフィーチャーしたスタンリー・クラーク・トリオのアルバムにも入っていました。
小曽根さんもよかったです。こちらは5月に発売されるノー・ネーム・ホーシズの新作でも取り上げた「ノー・シエスタ」とオスカー・ピーターソンに捧げた『カナダ組曲』からの1曲を素晴らしいタッチで聴かせてくれました。ピーターソンはカナダ出身ですし、昨日の会場は大使館内の「オスカー・ピーターソン・シアター」でした。
小曽根さんはバークリー音楽大学時代、ダイアナと同級生だったそうです。そんな縁もあって司会を頼まれたのでしょう。バークリーにある練習室でよくピアノを弾きあったエピソードなどを披露しながらの司会進行は、そのプレイ同様、実に見事でした。
こんなに豪華なコンサート、一般の方にも公開できればどんなにいいことでしょう。役得といえばそれまでですが、ちょっともったいないような、そしてちょっと申し訳ないような、さらには相当得した気分で家に帰ってきました。