朝は10度と冷え込んでいましたが、今日は18度くらいまで気温があがりました。夜まで晴れていたので「今週は雨」の予報が外れたかと思いきや、その後は急に土砂降りです。
いつもの朝食とエクサイズと原稿書きで午前中は終始。東京にいると本業があるため、こういう時間は休日以外に持てません。それだけでもニューヨークにいると気分転換になります。
お昼はアパート近くのコーヒーハウス「Townhouse」で、目先を変え、エッグ・ホワイトのオムレツを作ってもらいました。
あとは野菜サラダも注文。これ、結構な量です。
その後は、ニューヨーク在住のドラマー新井田孝則さんと初対面。ぼくが昔プロデュースしたアダム・ホルツマンと共演していることから連絡を取り合うようになり、今回初めてお会いしました。このひと、かなり凄いキャリアの持ち主です。詳しくは本人の
Web Site⇒こちらをごらんください。
これは新井田さんのCD。
その後、日本にいるときから興味を持っていたピカソ展に行ってきました。21丁目のウエストサイドにある「Gagosian Gallery」(522West 21st Street)で開催されているものです。
昔はこのあたり、物騒な場所として知られていましたが、Chelsea Pierができたことからこの数年でかなり開けました。周辺にはギャラリーや洒落たレストランや気鋭のデザイナーによるブティックなどがあって、流行に敏感なニューヨーカーが集まるエリアのひとつになっています。
今回のピカソ展で展示されていたのは1963年から73年にかけての晩年の作品が約100点。かなりの規模の展示で、ギャラリーだから入場は無料。落ち着いた雰囲気でいい午後のひとときが過ごせました。
夜は、ブランフォード・マルサリスが「Jazz Standard」(116East 27th Street)に出演中なので表敬訪問です。彼から、Which set? Which day? とメールをもらっていたので、それではと今日のファースト・セットを観せてもらいました。
いつもならジャズ・クラブのように暗い場所で食事はしません。でもここはバーベキューが売り物なので、たまにはいいかな? と思いましたが、隣のテーブルを見てやはり遠慮しておきました。それでシーザース・サラダだけ注文。クルトンはもちろんひとつも食べません。
ということで、ライヴ終了後、目と鼻の先にあるヴェジテリアン御用達インド・レストランの「Pongal」(110 Lexington Ave.)でミックス・ベジタブル・ビリヤニを。今日は野菜づくしでした。
思えば、ブランフォードとの付き合いも25年以上になります。最初のころはお互い若かったです。アパートが隣だったことで、彼と弟のウイントンとは仲良くしてもらいました。ベビーシッターをときどき頼んだ娘も昨年長女を産み、その写真を見せたところ、彼も大喜び。ぼくたちもいつの間にかそういう年代になったんですね。
話はぜんぜん違いますが、このところまたよく聴くようになったのが竹内まりやさんの『デニム』というアルバム。その中に入っている「人生の扉」に、「満開の桜をこの先いったい何度見ることになるだろう」という歌詞があります。あと何度ブランフォードには会えるんでしょう。そんなことをフト思ってしまいました。年に一度会えるか会えないかの友人や知人との再会。これからはそういうひとたちとの再会がこれまで以上に大切なものになっていくでしょうね。
さらに脱線しますが、まりやさんのこのアルバム、ぼくの世代の女性の視点で歌った曲がいくつも入っています。「人生の扉」をはじめ、「みんなひとり」や「スロー・ラブ」とか、男のぼくが聴いても共感できる歌が沢山入っていて、ニューヨークでも毎日のように聴いています。
ときどきですが、ぼくは刹那的に「もう死んでもいいや」という気分になります。裏を返せば、自分なりにやりたいことをやったから、これ以上面倒くさいことはしたくないし、先のことなんかどうでもよくなってしまうんですね。
そんなときにこのアルバムを聴くと、「人生、まだ楽しいことがあるみたいだ」と思えてきます。別にいまはへこんでいないんですが、落ち込みそうになったりへこみそうになったときに聴くと、気持ちを持ち直すことができます。ぼくにとっての応援歌がたくさん詰まったアルバムといえばいいでしょうか。これも音楽が持つ素晴らしい力です。いや、まりやさんの力でしょうね。
ブランフォードが気をきかせてくれたんでしょう。ど真ん中の最前列の席をリザーヴしてくれていました。目の前で彼の演奏を聴くのはちょっと気恥ずかしかったですが、これも好意の表れと、有り難く思いました。
カルテットは、ドラムスがジェフ・テイン・ワッツから新人のジャスティン・フォークナー(Justin Faulkner)に交代しています。演奏前に、ブランフォードがドラマーの交代についてやけに自信ありげだったんです。その意味が、ジャスティンのプレイを聴いてわかりました。
まるで若いエルヴィン・ジョーンズです。演奏終了後に聞いたらまだ高校生で、今度の9月に卒業する18歳とのこと。フィラデルフィア在住のこの若者、今後の活躍に期待したいと思います。
マンハッタンの夜、今日はいつもより少し暖かです。暖かいと気分も晴れるんでしょう。ブランフォードの笑顔と、心の中に流れている「人生の扉」を聴きながら家路を歩いていたら、なんだか妙な高揚感に包まれてしまいました。
ザンキュー、ブランフォード。もちろん君の演奏も素敵だったよ。
Thanks for inviting us, Bran. I am knocked out by your music as usual.