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川隆夫の JAZZ BLOG
Profile

©Kozocom (photo by Shuichi Kasahara)
職業:JAZZジャーナリスト、整形外科医、DJ

ニューヨーク大学の大学院在学中にアート・ブレーキーやマルサリス兄弟など数多くのミュージシャンと知り合う。帰国後、JAZZを中心に約3000本のライナーノーツを手がけると共にJAZZ関連の著書を多数出版。ブルーノートの完全コレクターとしても有名。その他、マイルス・デイヴィスやブルーノートの創始者アルフレッド・ライオンの来日時の主治医を勤めるなど、現役の整形外科医としても第一線で活躍中。

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3.19:ジャズメン、ジャズを聴く!


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2010-12-02 「ハーブ&ドロシー」@「イメージ・フォーラム」
2010-12-02 「ハーブ&ドロシー」@「イメージ・フォーラム」_e0021965_1049966.jpg
 公開前から気になっていたドキュメンタリー映画です。たまたま先週の土曜日、午後にぽっかり時間が空いたのと、青山にある「イメージ・フォーラム」のすぐそばにいたのとで、観てきました。

 実に似ています。誰にって? わたくしにです。ハーブとドロシーはニューヨークで郵便局員と図書館の司書をしている夫婦(いまは引退しています)。生活もそれほど楽じゃないふたりは、古いオンボロ・アパートで生活しています。

 ところがこの夫婦、お金を貯めては1960年代から現代アートをコツコツと集めていました。お金がないので無名のアーティストの作品を買います。ときにはアトリエまで行き、未完成の作品を安く買ってきたり。

 なにせコレクターですから。集めることが重要です。狭い部屋には壁はもとより、床から天井まで、そんな作品でいっぱい。もちろん飾りきれないので、大半は梱包されたまま。なにせコレクターですから。

 彼らが重視しているのは所有することと、アーティストに何らかの形で還元すること。そこがエライ! ぼくも音楽で稼いだお金は音楽に使っています。還元したいですから。なので本業で稼いだお金とはきちんと分けて、会計を明確にしています。エライゾ!

 そうした無名のアーティストの作品を買い続けていくうちに、彼らが現代アートの巨匠になっていくんですね。ここはブルーノートと同じです。映画の中で有名になったアーティストが何人か、「彼ら夫婦が最初にわたしの作品を買ってくれた」と話しています。多くのアーティストの初レコーディングを手がけたブルーノートとこれも同じです。

2010-12-02 「ハーブ&ドロシー」@「イメージ・フォーラム」_e0021965_10492244.jpg
 このハーブ&ドロシー、ほんとチャーミングな老夫婦です。いまではふたりとも背中が曲がって、歩くのも不安定ですが、どこにでも手をつないで一緒に出かけて行きます(主に展覧会ですが)。

 そうすると、その展覧会の主役である現代アートの巨匠たちが、この夫婦にペコペコ挨拶するんですね。知らないひとが見たら、このひとたち誰なんだろう? と思うでしょう。そういう光景があちこちで見られるようになったことから話題となり、テレビや新聞や雑誌で紹介されるようになります。

 そのうち集めたコレクションの展示もあちこちのギャラリーでやるようになり、いつしか夫妻にはさまざまな美術館から寄贈の依頼が舞い込んできます。しかしそれらを全部断っていたところに、ナショナル・アート・ギャラリーの学芸員が駄目でもともとと寄贈の申し込みをします。

 ふたりがオファーを断っていたのにはわけがありました。ナショナル・アート・ギャラリー以外のオファーは、どこの美術館もコレクションが散逸するかもしれない可能性を含んでいたからです。ところがナショナル~はすべて保存し、常時1000点くらいは展示し、しかもそれらは無料で見られるという条件でした。

 常時1000点? ウン? この夫婦のコレクションはどのくらいの数になるの? そう思うでしょ。学芸員がリストを作ったら4000点以上ありました。それらが狭いアパートに、無造作に置かれていたのです。

 学芸員氏の心配は、雨が漏ったらどうしよう、あるいは熱帯魚の入った大きな水槽があるので、それが壊れて水浸しになったらどうしよう、というものでした。その気持ち、よくわかります。ぼくも床が抜けたらどうしようっていつも思っていますから。ちょっと違うか。

 それで、よくぞあの小さなスペースに入っていた、と学芸員も呆れるのですが、大型トラック5台でギャラリーまで搬送しました。

 この時点で(それよりだいぶ前のことだと思いますが)、ふたりは引退して年金生活を送っていました。そこでその学芸員は、ふたりは歳だし、いつ病気になるかもわからないし、アパートも追い出されることだってあるだろうしと考え、ギャラリーに掛け合い、いくばくかの謝礼を贈ります。

 ところがこの夫婦、それも現代アートの作品に使ってしまったんです。いまだコレクター魂衰えずの面目躍如です。嬉しいですね、こういうひとがいるっていうのは。そして周囲が彼らを暖かく見守っているのも、とても素晴らしいことだと思います。

2010-12-02 「ハーブ&ドロシー」@「イメージ・フォーラム」_e0021965_1049419.jpg
 いい映画を見ました。ところで、ぼくは老後の生活費とボケ防止のため、自分のコレクションはヤフオクか何かで売るつもりです。なんと志の低いことか。そこが彼らとはまったく違っていました。

 ちなみにこの映画に登場して夫婦のことを語るアーティストには、クリストとジャンヌ=クロード、リチャード・タトル、チャック・クロース、ロバート・マンゴールド、ローレンス・ウィナーといったひとたちがいます。
by jazz_ogawa | 2010-12-02 10:57 | 映画&DVD | Trackback | Comments(4)
Commented by la_belle_epoque at 2010-12-02 13:18 x
 小川さんこんにちは.
 この映画について、どこかで目にして (どこだったのか全く思い出せませんが・・・・・痴呆かな) 是非見たいと思っていました.
 ボクのような雑食家には到底まねのできないことです、どんなことでも、一つのことに向かって突き進むということはできそうでできないですよね.
 きっと彼らのような、"純粋さ" がボクには足りないんでしょう、せめて映画でも見て少しでも純粋さを取り戻すとします(笑)
Commented by jazz_ogawa at 2010-12-02 23:56
la_belle_epoqueさんも十分マニアですから、この映画を観たらきっと共感したり、ニヤリとするシーンがあると思います。チャンスがあれば、ぜひご覧になったらいかがでしょうか?
Commented by Hashi at 2010-12-27 12:12 x
これYASUと一緒に観ました!!!「作品は、最終的な作品にたどりつくまでのSTEP、過程がなんだ」という一言、身に沁みました。僕はアーティストじゃないですが、仕事も一緒ですよね!!!
Commented by jazz_ogawa at 2010-12-27 22:08
Hashiさん、観てきましたか。この夫婦の生き方や考え方、ぼくも参考になりました。
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