10日ほど前のことになりますが、気になっていたのでこの映画を観てきました。実によかったです。
天皇陛下に戦争責任があるかどうか。それをマッカーサー元帥の命を受けたボナー・フェラーズ准将が、10日間というタイムリミットの中で調査を始めます。
しかしおいそれと宮内庁には入れませんし、話を通すことすら簡単にはいきません。その上、日本固有の武士道や精神性、さらには戦時中の集団ヒステリー状態などもありますから、そんなことには無頓着で白黒つけたいマッカーサー元帥を説得するのは至難の技。
戦前、日本に滞在していたことのあるフェラーズ准将はそういう日本人固有の精神性や習慣に興味を持っていたこともあり、なんとか天皇陛下とマッカーサーの対面を実現させます。そこまでのやりとりや駆け引きが、結末はわかっていても見事な展開で手に汗を握ってしまいました。
恋愛模様も絡めた展開と日本人キャストの見事な演技。反戦を声高に謳うのではなく、心に残るストーリーで戦争の悲惨さを伝えています。
キャスティングとプロデューサーのひとりでもある奈良橋陽子さんの素晴らしい仕事にも感服。彼女の祖父が、天皇陛下とマッカーサー元帥の対面を実現させる上で重要な役割を担った宮内次官の関屋貞三郎だったとは、つい先日の新聞を見るまで知りませんでした。
そしてこの役を演じた夏八木勲さん。これが彼の遺作だそうですが、威厳に溢れ、泰然自若としたたたずいまいにも圧倒されました。