封切り当日の25日、「ONGAKUゼミナール」が始まる前に、「le sept」近くの映画館で観てきました。
山田洋二監督らしい丁寧な作りと、向田邦子を思わせる原作。昭和10年ごろの東京のお話です。若い女中さんの目を通して若奥様のことを綴った内容とでもいえばいいでしょうか?
ぼくは昭和25年生まれなので映画の時代とは戦争をはさんで15年の開きがあります。それでもなんとなく子供のころのわが家のことを思い出しました。なんだか自分の母親と女中さん(まだお手伝いさんという言葉は使われていなかったように記憶しています)の関係を思い出し、懐かしい気持ちで観ていました。
また大叔母さん(だったかな?)が妻夫木聡演じる大学生にとんかつを揚げて、彼がそれを食べるさまを横で見つめているシーンは、ぼくが中学生だったころにときどき遊びに行っていた叔母の家で、彼女がぼくの好物だった鶏のから揚げをいつもおやつ代わり出してくれて、ぼくがそれを食べるのを嬉しそううに眺めていた姿が彷彿とされました。
平井家のひとり息子である恭一もどことなくぼくや周りにいた同じ年頃のともだちと雰囲気が似ていて、とにかくとても懐かしい気分になれた映画です。
家族がちゃんと家族していた時代っていうんでしょうか? いまではありえないほどほのぼのとした、そして純情だった時代。ああいう気持ち、最近は感じなくなっていたなぁ。