昨日(17日)のことですが、「山下洋輔スペシャル・ビッグバンド・コンサート 2014」を観てきました。
大きなホールでジャズのオーケストラを聴く。これも贅沢のひとつです。しかも山下洋輔さんのオーケストラとくればなおさらのこと。
ちなみに今度の日曜日に放送される「Jazz Conversation」では19時台の1時間が「証言で綴る日本のジャズ~山下洋輔編」です。
それはそれとして、このオーケストラは2年に一度ツアーするんですが、毎回メンバーの充実と見事なアンサンブルで極上の時間を過ごさせてくれます。今回も文句なし。
今年のプログラムは第一部が組曲「展覧会の絵」で第二部がドボルザークの交響曲第9番「新世界より」。編曲と指揮はいつもどおりで松本治さん。
山下さんはピアニストに徹していますが、それでも彼のリーダーシップと音楽性がメンバー全員に伝わり、見事な山下ワールド的クラシックのジャズ化が目の前で繰り広げられました。昨日はツアー最終日ということもあり、これまでに築いてきたチームワークの集大成にもなっていたのでしょう。
オーソドックスなジャズ・オーケストラ編成でありながら、そこは山下ジャズですから、実にユニークな響きも随所で。メンバーの個性的なソロがクラシックの有名曲を通して独特の音楽に生まれ変わります。毎回のことですが、そこがこのオーケストラの聴きどころ。
ジャズ・オーケストラ的な醍醐味が味わえたのはサックス陣が活躍した「新世界より」のほうかしら。中でも池田篤さんを破格の長さでフィーチャーした「家路」が素晴らしかったです。
ぼくは池田さんにとって、彼の人生のひとこまにもなっていないような存在ですが、そして長いことお目にもかかっていませんが、いつも気にかけてきました。その池田さんが本当に立派な演奏を聴かせてくれたことに、目頭が熱くなりました。勝手にさまざまな思いがよぎったんですね。
そんなことも含めて、ジャズのスタイルや時代性を超越したところに山下ミュージックはあると思います。そのことを改めて実感できたのが昨日のコンサートでした。いやぁ、お見事!
「山下洋輔スペシャル・ビッグバンド・コンサート 2014」
【出演メンバー】
山下洋輔(p)
エリック宮城、佐々木史郎、木幡光邦、高瀬龍一(tp)
松本 治、中川英二郎、片岡雄三、山城純子(tb)
池田 篤、米田裕也、川嶋哲郎、竹野昌邦、小池 修(sax)
金子 健(b)
高橋信之介(ds)
松本 治(arr, cond)
2014年7月17日 「渋谷オーチャード・ホール」