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川隆夫の JAZZ BLOG
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©Kozocom (photo by Shuichi Kasahara)
職業:JAZZジャーナリスト、整形外科医、DJ

ニューヨーク大学の大学院在学中にアート・ブレーキーやマルサリス兄弟など数多くのミュージシャンと知り合う。帰国後、JAZZを中心に約3000本のライナーノーツを手がけると共にJAZZ関連の著書を多数出版。ブルーノートの完全コレクターとしても有名。その他、マイルス・デイヴィスやブルーノートの創始者アルフレッド・ライオンの来日時の主治医を勤めるなど、現役の整形外科医としても第一線で活躍中。

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2007-08-22 ミスター・ハイハットは永遠なり
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 偉大なドラマーのマックス・ローチが去る8月15日に亡くなりました。享年83歳。
 ローチといえば、ぼくには硬骨漢のイメージがあります。1960年に発表した『ウィ・インシスト』(キャンディド)のイメージが強いからでしょう。人種差別に真正面から音楽で抗議した作品です。ジャケット写真がとても鮮烈でした。なにしろお客さんが黒人で、店員が白人なんですから。このジャケットは、タイトルや収録された「Freedom Now Suite」と共に当時は大きな物議をかもしたようです。
 人種差別が社会問題として盛り上がっていた時代です。一部の黒人ミュージシャンも音楽を通して自己主張をするようになっていました。チャールズ・ミンガスと共にその先端に立っていたのがローチです。

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「表面的には人種差別も少なくなり、どこの高校や大学でも黒人が入学するのに拒否されることはなくなった。けれど30年足らず前には人種差別に端を発した事件がそこらじゅうで起こっていた。30年も経っていない最近の話だということを忘れないでほしい」
 ローチがこの話をしてくれたのは20年ほど前のことです。彼の口癖は《イコール・オポチュニティ(機会均等)》。口調は穏やかでも、主張は明確でした。そこに、激しい人種差別の時代を生き抜いてきたひとの確たる信念がうかがえます。

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 過激な抗議をする一方で、ローチは先輩を敬う気持ちもひと一倍強い人物でした。83年のことです。モダン・ドラミングの始祖と呼ばれるドラマーのジョー・ジョーンズを救済するベネフィット・コンサートがニューヨークの「ヴィレッジ・ゲイト」で開かれました。しばらく前から心臓病を患っていた彼の療養費を集めるのが目的のコンサートです。
 そのとき、来場したジョーンズに寄り添い、甲斐甲斐しく面倒を看ていたローチの姿を、居合わせたすべてのひとは忘れないでしょう。ジョーンズの乗った車椅子を、用意された席まで押して、抱きかかえるようにゆったりとした椅子に座らせた彼。その後は、食べものや飲みもの、時間が来れば薬も飲ませるなど、親身になって世話をしていた姿が目に焼きついています。
 コンサートは昼夜を通して行なわれたのですが、ジョーンズが会場にいたのは2時間ほどでしょうか。そして家に戻る時間がきました。帰り間際に、どうしてもひとことお礼がいいたいといい、席に座ったままで彼がマイクを手にします。

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「来てくれたみなさんにありがとうといわせてください。ジャズは本当に素晴らしい音楽です。その素晴らしい音楽がわたしたちを結びつけています。肌の色も宗教も、年齢も男女の差もなく、ジャズは心をひとつにしてくれます。わたしはここにいるマックスよりずいぶん年上ですが、そのことを彼から教えられました。まさしく、今日、みなさんがこの会場にいらっしゃったことがその証拠です。みなさんとマックスに幸がありますように。どうもありがとう」
 ローチがハイハットをジョーンズのところまで運んできました。そして彼に聴いてもらおうと、ハイハットだけの演奏を始めます。ジョーンズが《オール・アメリカン・リズム・セクション》と呼ばれていた時代に評判を呼んだ<ミスター・ハイハット>。ハイハットをさまざまな奏法で叩くことによってひとつの曲にしてしまう名人芸です。
 それを聴きながら、ジョーンズがおぼつかない手で、ローチから予備のスティックを受け取りました。思わぬ共演の始まりです。ローチがテンポを落として、ジョーンズのペースに合わせます。演奏しながらローチがハイハットの高さを、椅子に座っているジョーンズに合わせました。その間にもジョーンズは調子を確かめるようにしてハイハットを叩いています。そして一瞬のブレーク。
 驚く光景を目撃したのは次の瞬間でした。ジョーンズがローチを脇にやり、ひとりでハイハットを叩き始めたではないですか。テンポも元に戻っています。目にも見えぬ鮮やかなスティックさばきで次々とフレーズを重ねていきます。絶好調を取り戻したかのように淀みがありません。ドラムスの神様が乗り移ったかのようです。ぼくの目にはそう映りました。
 そのときのことを何年もあとになってローチに聞いてみました。
「あのときは本当に目の前に神様がいた。正しい機会さえあれば、誰でも実力が発揮できる。そのことをパパ・ジョーからは改めて教えてもらった気がする」

 ローチには、マイルス・デイヴィスのことやクリフォード・ブラウンのことについて何度も話を聞かせてもらいました。いつも紳士然とした態度が印象に残っています。しかしひとたび人種差別に話題を向けると、いつも熱い口調で自分たちの立場についてを語ってくれました。
 ジョーンズも、そして最後まで人種問題に心を痛めていたローチもいまはいません。天国でふたりして<ミスター・ハイハット>の続きを楽しんでいるのじゃないでしょうか。
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by jazz_ogawa | 2007-08-22 00:32 | 愛しのJazz Man | Trackback(3) | Comments(10)
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タイトル : 追悼マックス・ローチ
ローチが83歳で亡くなった。1990年の秋、僕は伊豆シャボテン公園でマックス・ローチ4をたったひとりで見に行った。なぜ一人だったのかもう思い出せないが、とにかく僕は動くローチを見たい一心で東京から一人で伊豆に出かけていった。会場に着くと、いきなりローチに遭遇した... more
Commented by 加持顕 at 2007-08-22 13:30 x
小川さん、こんにちわ。

え、マックス・ローチが亡くなったんですか・・・残念なことです。

今急遽、「ウン・ポコ・ロコ」のローチが叩く、カウベルを聴きながらコメントしています。
家に帰ったら、「ブラウン=ローチ・クインテット」のCDを聴いてみます。

綺麗な写真とともに、訃報をいち早くお知らせいただき、ありがとうございました。
Commented by jazz_ogawa at 2007-08-22 21:05
加持顕さん、そうなんですよ。マイルスゆかりのひとがどんどんいなくなって、非常に寂しいし悲しいです。
Commented by junniey at 2007-08-23 01:06 x
小川さん、残念ですね。
私はプロモーター時代(もう30年以上前)ローチと3回コンサートツアーしました。
結構アヴァンガルドなピアノレスのカルテットで、彼のドラムソロも結構長くかなりハードなものでしたが最後まで、ハットは一度も途切れずに性格に2ビートを刻んでいました。
また、私も20代でしたのでいつも何かを食べていましたが、それを見て「ジュン、チータはいつもおなかをすかしているからあんなにすばしっこく動けるのだよ!体は常にシェープアップさせなきゃ!」ってよく言われました。
本当にストイックでおしゃれでジャズメンらしくない常識的で立派な方でした。

ご冥福をお祈りいたします。
Commented by 浦島 at 2007-08-23 06:34 x
朝から感動的な話を読んでしまいました。小川さん、ありがとうございました。私がジャズを聞き始めた頃に好んで買っていたのがマックス・ローチやアート・ブレーキーでした。ジャズはなぜかドラムから入っていったことを再確認しました。久しぶりにマックス・ローチのドラムが聞きたくなりました。
Commented by jazz_ogawa at 2007-08-23 07:52
junnieyさん、貴重なお話をありがとうございました。
ローチは本当に紳士で、いつも会うと、ぼくのつたない質問に対し誠実に答えてくれました。いつかマイルスの話を書きたいと伝えてからは、いくつか貴重なアドヴァイスもしてくれました。そのときのことは、ぼくの大切な財産になっています。心からご冥福をお祈りします。
Commented by jazz_ogawa at 2007-08-23 07:55
浦島さん、マックス・ローチで好きなのは『ウィ・インシスト』と『限りなきドラムス』です。クリフォード・ブラウンとの作品もすべて好きですね。あと『サキソフォン・コロッサス』のローチも、音はあまりよくないですが、いい感じで、愛聴盤です。
Commented by koolpaw at 2007-08-23 17:26 x
え!不覚にも今ここを覗いてローチの死を知りました。年齢的に大往生とはいえ、やっぱりびっくりしました。国内のニュースでなんで報道されないんだろう・・・。

トニー・ウイリアムスやエルビンほど狙って聴き込んだわけではありませんが(でもよく考えるとかなり聴いてる)、こうやってまた一人ジャズの歴史を作ってきたミュージシャンの訃報をきくのはやっぱりつらいですね・・・。

もうこの数年ロイ・ヘインズに何かあったらどうしようとちょっとドキドキしてたとこで、ローチが先に・・・。丁度昨日若手の「イロモノ指ドラマー」David "Fingers" Haynesが強盗にあって危機一髪だったというお知らせを、本人からのMySpaceの回覧版で読んで肝を冷やしたとこでした。

レコードに記録された音はいつまでも若々しいけど、人間だから当然歳を取り、あるいは事故や病気でいつかは誰もが・・・と思うと改めて色々考えちゃいますです。
Commented by jazz_ogawa at 2007-08-23 20:07
koolpawさん、朝日新聞には写真入りで結構大きく報道されていたんですが、ほかの新聞では死亡記事は載らなかったんでしょうかね。
数年前から体調を崩していたことは知っていたので、覚悟はしていましたが、やっぱり寂しいですね。本当に心から寂しいです。
歴史っていうのは、こういう寂しさの積み重ねなんですね。

たったいま、ニュースが入ってきました。富樫雅彦さんも昨日亡くなられたそうです。心からご冥福をお祈りします。
Commented by koolpaw at 2007-08-24 06:46 x
あいや~。富樫さんはまだそんなお歳でもないのに・・・
と思って呆然としてたところにRSSでそのニュースが入ってきました。
http://www.bounce.com/news/daily.php/11356

ここ数年体調崩されてたんですね。ローチの訃報も日本時間のお昼には報道されたたことも知りました。。。

そういえば私が小川さんのお名前を最初に意識したクリフォードブラウン特集の記事で「最初にジャズに否定的な観点から論文を書こうとしていた女子大生に、クリフォードを引き合わせたのがローチ。その後その女子大生とクリフォードはすぐに恋に落ち結婚した」と書いてあった覚えがあります。

簡潔な文章の中に三人の人柄や関係がうまく浮かびあがっていてうまいなあと感心させられました。あの文章をどこかでもう一度読むことはできないものでしょうか?SJの1986年年末別冊だったと思うんですが。
Commented by jazz_ogawa at 2007-08-24 08:54
koolpawさん、ローチは人格が高潔で、会うといつも、その人柄に惹きつけられました。ブラウンとのクインテットによる未発表ライヴがかなり残っていて、それをアーカイヴのような形でもいいから世に紹介したいといわれ、奔走したことを思い出します。これは実現しなかったんですが、そのときに彼の人柄に触れて、何度も感激したことがあります。
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