昨日は偶然の成り行きですが、総勢9人でライヴを観てきました。小僧comが「ブルーノト東京」と組んで、特別パッケージみたいなものを始めたんですね。入場料にスペシャル・ドリンクとオードヴルを組み合わせて、少し割安の料金で観られるというパッケージです。その最初の試みがベニー・ゴルソンのライヴでした。
たまたまぼくも昨日のセカンド・セットを観にいくことにしたので、事前に「同じ回をご覧になるひとで、お嫌じゃなければご一緒にどうですか?」と小僧comのスタッフが声をかけたところ、こういうことになりました。
いつもはひとりかふたりで観にいくことが多いので、こういうのもたまにはいいですね。早めに店に行き、ご一緒する方たちとジャズ談義で盛り上がったところで、ライヴが開始です。ベニー・ゴルソンは、去年も「東京Jazz」で聴きましたが、肌の色艶もよく元気そうでした。1929年1月生まれですから、もうすぐ80歳。先日のハンク・ジョーンズもそうでしたが、とにかく若々しいことこの上なしです。
15年ほど前になりますが、彼を含むカーティス・フラー・クインテットの作品『ブルースエット・パート2』をぼくはプロデュースしていました。あのときから、見かけはまったく変わっていません。
ステージに登場したのははこのところのレギュラー・カルテットで、マイク・ルドン、バスター・ウィリアムス、ジョー・ファンズワースの面々。「サヴォイでストンプ」、「Mr. P.C.」、「アロング・ケイム・ベティ」、「アイ・リメンバー・クリフォード」などお馴染みの曲が中心の演奏です。途中でピアノ・トリオによる「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」もフィーチャーされました。
ほとんどの曲で全員のソロがフィーチャーされ、ベニー・ゴルソンはそれほど長く吹きません。まあ、お年を考えればそういうものでしょう。ぼくが若いころだったら、「毎回ベース・ソロやドラムス・ソロはないだろ」と怒ったかもしれません。しかし、「これもいいじゃない」と、いまなら思えます。1929年1月25日生まれのベニー・ゴルソンによる2008年9月23日の演奏はこれしかないんですから。
ライヴはそのとき限りのものです。ぼくは、その姿を目と耳に焼き付けたいと考えています。「今日の演奏はよかった」とか「つまらなかった」というのは簡単ですし、当たり前のことです。自分の中に芽生えるそうした思いも無視はしませんが、その上でぼくは「今日の演奏はこれしかないんだし、それが聴けてよかった」との思いが年と共に強くなってきました。
あと何度ベニー・ゴルソンのライヴが聴けるかわかりません。昨日の演奏もぼくには得がたい財産のひとつになりました。これまでに何度もさまざまなライヴを聴いていますが、これからはこれまで以上にひとつひとつのライヴを大切に聴いていきたいと思います。ぼく自身、あとどのくらいライヴに足が運べるんだろうと、最近は強く感じるようになりましたから。
ご一緒した皆さんも口々に「楽しかった」と話していました。やっぱりライヴはやめられませんね。