「朝日カルチャーセンター」で初講師を務めた「小川隆夫のブルーノート・コレクション」が昨日終わりました。3回目の今回は「ファンキー・ジャズをオリジナルLPで聴く」というもの。
ファンキー・ジャズというのは、なかなか口で説明するのが難しく、とにかくそう呼ばれている音楽を聴くのが一番と、典型的な演奏のいくつかを選んでみました。ただし、「オリジナルLPで聴く」というのがテーマですから、普段はなかなか聴けない珍しいもの、例えばフレディ・ローチだとかジョージ・ブライスなんかの演奏も加えてみました。
またこの日は最後ということもあって、ぼくが所有しているブルーノートの中で一番珍しいレコードも聴いていただきました。『オーネット・コールマン/ザ・タウン・ホール・コンサート』です。これは、ブルーノートがテスト盤まで作りながら発売しなかったといういわくつきの代物。
ブルーノート・マニアのかたなら、このアルバムがどれだけ珍しいかご存知と思いますが、そうでないかたのためにちょっと説明しておきましょう。ブルーノートはこのレコードを出すつもりでしたが、マスター・テープを持ったマネージャーがお金だけとって消えてしまったのです。そのため、ブルーノートは10枚か20枚のテスト盤を作って、そこで進行がストップしてしまいました。
その1枚がぼくの手元にあるんですね。いきさつについては別の機会に紹介しましょう。残りのテスト盤がどうなったかと言えば、どこかにあるのかもしれませんが、いまのところ所在不明です。というわけで、ひょっとしたら世界に1枚しかないレコードなのかもしれません。折角の機会だからということで、それをみなさんに聴いていただきました。
あとはもうひとつ、ブルーノートの創始者であるアルフレッド・ライオンとの出会いや、彼が最初で最後の来日を果したときのお話もさせていただきました。彼の話を知ることが、ブルーノートの素晴らしさを知る最高の方法だと思っているからです。
そんなこんなで、話が苦手でどきどきしていたぼくですが(結局いまもそうですが)、3週間に1回のペースの講座も、振り返ってみればあっという間に終わった印象です。そこで、最後に参加者と教室で記念撮影したのがこの写真です。みなさん、楽しんでくれたでしょうか?
ところで嬉しいことがもうひとつ。この講座が好評(?)だったためか、10月21日と11月25日に続編が行なわれることになりました。今回はブルーノートについての総論的な内容でしたので、次はもう少しアルフレッド・ライオンとアーティスト個人について、ぼくがインタビューしたり接したりしたときの印象などを交え、音と映像で紹介していきたいと考えています。
「小川隆夫のブルーノート・コレクション」
▼日時:10月21日(金) 11月25日(金) 午後7時~8時半
▼会場:朝日カルチャーセンター(新宿) 新宿住友ビル48階 03-3344-5450
このほかにも10月にはいくつかのイヴェントが予定されています。
「小川隆夫トークライブ at“カフェano ”」
○10月15日(第一夜) ブルーノートの全て
○10月29日(第二夜)マイルス・デイビスの全て
▼両日ともPM7時よりスタート
▼場所:カフェano 東京都渋谷区渋谷1-20-3 03-5467-0861
(青山こどもの城近く、ヒコ・みずのジュエリーカレッジとなり)
▼入場料:1000円
「小川隆夫「ONGAKUゼミナール」第5回」
○「ジャズのたしなみ方~エレクトリック・マイルス(後編)」
▼日時:10月22日(土) 午後9時~11時
▼会場:駒場東大前 「Orchard Bar」 03-5453-1777
▼入場料:1,500円(1ドリンクつき)
それから芥川賞作家の平野啓一郎さんとの対談本『TALKIN’ ジャズX文学』(平凡社:1600円)も10月14日に出ますし、それに関連したイヴェントもやるかもしれません。
今回は宣伝になってしまいましたが、興味があるかたは是非ともよろしくお願い致します。では、また。