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川隆夫の JAZZ BLOG
Profile

©Kozocom (photo by Shuichi Kasahara)
職業:JAZZジャーナリスト、整形外科医、DJ

ニューヨーク大学の大学院在学中にアート・ブレーキーやマルサリス兄弟など数多くのミュージシャンと知り合う。帰国後、JAZZを中心に約3000本のライナーノーツを手がけると共にJAZZ関連の著書を多数出版。ブルーノートの完全コレクターとしても有名。その他、マイルス・デイヴィスやブルーノートの創始者アルフレッド・ライオンの来日時の主治医を勤めるなど、現役の整形外科医としても第一線で活躍中。

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「証言で綴る日本のジャズ」

「ジャケ裏の真実
ジャズ・ジャイアンツ編」
TALK EVENT■
小川隆夫ONGAKUゼミナール
@銀座le sept
3.19:ジャズメン、ジャズを聴く!


■TALK EVENT■
民音音楽博物館
「3月文化講演会」@神戸
3.26: 関西国際文化センター
コスモホール
TEL: 078-265-6595

詳細やその他ライナーノーツなどは 「Works & Information」へ>>
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 このブログで何度か紹介しているピアニストのクリヤ・マコトさん。彼が江戸川橋にあるキングの関口台スタジオで27日と28日の午後から夜にかけてレコーディングをするというので、初日の夕方に顔を出しました。メンバーはドラムスが大坂昌彦さん、ベースがガット弦の早川哲也さんというもの。この顔合わせも気になるところです。
 通常、レコーディングではマイクのセッティングや音の調整に数時間がかかります。半日くらいかけてようやくテープが回り始めるなんていうこともざらです。音にこだわりのあるクリヤさんですから、夕方になってもレコーディングは始まっていないんじゃないかと思いつつスタジオのドアを開けました。
 すると、驚いたことにもう2曲が録り終わっているというではないですか。そこで、メンバーはちょっと早めの夕食なのか、おそばを食べているところでした。初日は5曲、翌日は4曲の9曲を録音する予定だそうです。
 思った以上にスムースに進行しているのでしょう。食事をしながらみなさんはいたってリラックスしたご様子。アルバムのコンセプトを訊ねてみたところ、クリヤさん曰く、聴きやすいピアノ・トリオ作品にしたいとのことでした。
 クリヤさんといえば、エッジの効いたプレイが魅力です。その彼が、スタンダードを中心に洒落たピアノ・トリオ集を作るというのですから興味がそそられます。これまでを考えれば、クリヤさんが単に甘いジャズ・ピアノを弾いて終わるはずはありません。

e0021965_23405868.jpg 食後に録音した1曲目はバラードの「ネヴァー・レット・ミー・ゴー」。ロマンチックなメロディが次第にデフォルメされ、叙情的なフレーズが積み重なっていきます。
 バラードでありながら甘さに流されない演奏。目指しているのがこれなんでしょう。切れ味鋭い刃物が輝きを放つときの美しさ、とでもいえばいいでしょうか。あるいは陳腐な表現で恥ずかしいですが、美しいバラにはとげがあるっていうことです。はかなさと力強さが同居したタッチ。そこにクリヤさんらしさが溢れていました。
 そういえば、数年前に彼とレコーディングしたときに、ぼくはその昔に吹き込まれたX-Barトリオの作品を何度も聴きかえしたことがあります。そのときにも思ったのですが、クリヤさんの音楽と演奏は古くならないんですね。
 今回のアルバムもそういうものになると思います。耳に心地がいいだけの音楽は、そのときはよくても、10年、20年とときが過ぎると古臭くて聴けなくなってしまうものが大半です。
 ビル・エヴァンスやキース・ジャレットの作品がどうしていまも新鮮なままでいられるのか。それは、彼らの音楽が甘いだけ、あるいは美しいだけでなく、いい意味でジャズ特有の毒を含んでいるからです。
e0021965_23411710.jpg それと同じものが、クリヤさんの音楽にも認められます。今回も家に帰ってから15年くらい前に吹き込まれたX-Barトリオによる作品を聴き直してみました。そこには、スタジオで聴いたばかりのクリヤさんとまったく同じ姿勢で演奏する姿がありました。
 X-Barトリオは、同じピアノ・トリオでも今回とは正反対です。力強く、斬新な音楽性を前面に打ち出したものです。甘さは指の先ほどもありません。それでも、クリヤさんならではの美しいフレーズや音楽が随所で聴かれます。それがいまなお新鮮な響きを有していることに、改めてびっくりさせられました。

 スタジオでは「ドルフィン・ダンス」の録音が始まりました。ハービー・ハンコックが1965年に吹き込んだ『処女航海』からの1曲です。ハービーのオリジナル・ヴァージョンでは、イルカが気持ちよくかつダイナミックに遊泳している姿が描写されているようでした。クリヤ・ヴァージョンも同様です。ほのぼのとした温かさと、ダンスを踊っているような軽やかさ。それらが歌心に溢れたフレーズと共に紡ぎ出されていきます。
 驚いたのは、この曲も「ネヴァー・レット・ミー・ゴー」もワン・テイクでOKになったことです。それだけ調子がいいんでしょう。それと、事前にコンセプトがはっきりと見えているんでしょうね。

 この日の予定ではあと1曲レコーディングすれば終わりです。あまり長居をして邪魔になってはいけないので、2曲が終わったところでスタジオをあとにしました。
 満開の桜とまだ少し肌寒い外気。それらがレコーディングの余韻をほどよく引き締めてくれました。季節が移り変わるように、ジャズも様変わりしていきます。その中で、いつまでも聴き継がれていく作品はどのくらいあるのでしょう? そんなことを考えながら家路につきました。
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by jazz_ogawa | 2006-03-29 23:48 | 平凡な日々 | Trackback(3) | Comments(2)
 ストーンズの興奮もそのままに、土曜は青山の「Val」になだれ込みました。いつもはロックとR&Bをごっちゃに回すんですが、今回はストーンズ特集にしました。
e0021965_0502.jpg ストーンズのライヴを観たあとすぐには、彼らの音楽が聴きたくない気分になるかな? とも思っていたんですが、そんなことはまったくなかったですね。
 ぼくの場合、ライヴを観たアーティストのCDやレコードはしばらく聴きたくないことがあります。それは、そのライヴの余韻に浸っていたい気持ちが強いからです。反対に、会場を出た途端にそのアーティストの音楽をiPODで聴き始めることもあります。その違いがどこにあるのかは自分でもわからないんですが、そのときの気分でまったく逆の反応を示すことがあるんですね。

 で、「Val」で回したのは、有名な曲ばっかりです。いつもそうなんですが、選曲にはこだわらないことをモットーにしています。好きな曲しか回しません。ですから、通好みの曲は出てきません。こういうことには何故か凝らないんですね。
e0021965_052026.jpg 「スタート・ミー・アップ」、「ブラウン・シュガー」、「サティスファクション」、「ペイント・イット・ブラック」、「ホンキー・トンク・ウーマン」など、ライヴで聴いた曲を回したんですが、やっぱり有名な曲はいいですね。「Val」に来ていたひとたちはぼくの子供くらいの世代ですが、彼らにとってもこれらの曲は親しみがあるようで、みんな楽しんでくれていました(と勝手に思っています)。

 3月は胸のときめくことがいくつかありました。この年になると、若いころに比べていろんなことがどうでもよくなってきているんですが、それでもたまに胸がときめくこともあります。ストーンズのライヴもそのひとつでした。
 4月2日の埼玉スーパー・アリーナも楽しみです。チケットもそろそろ届くようですし、これから1週間、指折り数えながら毎日を過ごすことになりそうです。

 何かの参考になるかもしれませんので、3月24日の東京ドームのセット・リストを貼りつけておきます。

【The set list】
Start Me Up
It's Only Rock'n Roll
Oh No Not You Again
Bitch
Tumbling Dice
Worried About You
Ain't Too Proud To Beg
Midnight Rambler
Gimme Shelter
--- Introductions
This Place Is Empty (Keith)
Happy (Keith)
Miss You (to B-stage)
Rough Justice
You Got Me Rocking
Honky Tonk Women (to main stage)
Sympathy For The Devil
Jumping Jack Flash
Brown Sugar
You Can't Always Get What You Want (encore)
Satisfaction (encore)
Warmup band(Richie Kotzen Band):7:00pm - 7:25pm
Rolling Stones:8:10pm - 10:15pm
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by jazz_ogawa | 2006-03-27 00:07 | 平凡な日々 | Trackback | Comments(6)
 ロックの行く末がどうなるのか──40年以上前にどれだけのひとが考えていたでしょうか? ストーンズがいてビートルズがいてフーがいた。彼らの音楽に囲まれているだけで、ぼくは満足していました。ロックの将来なんて考えずに、次から次へと出てくる彼らの新曲に胸を躍らせたものです。
e0021965_11395166.jpg そして気がついたら40年以上が過ぎていました。しかもいまだにストーンズの音楽にはノックアウトされっぱなしです。東京ドームに現れた彼らは、いまから16年前に同じステージに初めて登場したときの彼らと、ぼくのイメージの中では変わっていません。40代半ばだったストーンズがいまでは60歳を過ぎています。この間の変化は、普通のひとならとても大きなもののはずです。もちろん彼らにとっても、心身ともに大きな変化が訪れているに違いありません。
 しかしストーンズはそんなことなど微塵も感じさせずに、ドームで2時間以上にわたってロックし続けました。1960年代前半にロンドンの小さな小屋で荒っぽいパフォーマンスを繰り広げていた彼らのステージと昨日のステージも、イメージ的には大きな違いはないのかもしれません。
e0021965_11401752.jpg ぼくにとってのストーンズは、中学生の時代に聴いたときのままです。「スタート・ミー・アップ」から始まり「イッツ・オンリー・ロックンロール」へと続くオープニングから、彼らは昔のままのサウンドでぼくに迫ってきました。
 しかし、決して古いロックでないところがストーンズです。転がり続けているからこそ、苔の生えたロックにはならないんですね。一瞬たりともテンションの下がるところがなかった2時間余のステージ。こんなに内容の濃いエンタテインメントをストーンズは40年以上にわたって繰り広げてきたのです。
 ぼくより年上の彼らが、ステージで転がり続け、古くて新しいロックを聴かせてくれる──その姿に勇気をもらったひとも多かったでしょう。ぼくもそんなひとりですが、とても彼らにはかないません。それでも、少しでも近づければいいなと思います。

 ロン・ウッドのコメントがプログラムに書かれていました。
 「ギヴ・アンド・テイクを惜しまないこと。相手の意見を聞くこと。大人になること。一歩引くこと」
 なるほど。ぼくも大人になりきれない中年ですが、居直って大人の妙な分別を敢えて拒否し続けてきたからこそ、これまで楽しい日々が過ごせてきたのかもしれません。その代わり、周りはずいぶん迷惑していることでしょうが。
 ロン・ウッドも「大人になること」といいながら、相変わらずやんちゃでロック少年の面影を残しています。大人になろうと意識しつつも子供の純粋さは保ちたい。これがぼくの行き方の根幹を成しているのかもしれません。ただし、ひとはそれをさして、「お前、まだそんなことをやってんの」といいますが。これは、ぼくに対しての褒め言葉と勝手に解釈しています。

 ここ数年、中学や高校時代の友人と会う機会が増えました。それこそ40年近く会ったことのない友人との再会もあります。互いにいろいろと転がり続けてきての再会は、懐かしいというだけでなく、言葉ではいえないさまざまな思いが交錯します。
e0021965_1141211.jpg 若いころは、当たり前のことですが、将来のことなど漠然としか考えていませんでした。自分が目指した目標に向かっていくひともいれば、その場の享楽に身をゆだねていたひともいます。ぼくはどうだったかなと振り返ると、両方があったように思います。それが、まあ一般的な行き方かもしれませんね。
 古い友人と会いながら、そんなことを考えていました。あのころはピュアだったし、夢も沢山ありました。転がり続けるうちにいつの間にか忘れてしまったこともあります。しかし、友人と会い、ストーンズのライヴを観て強く思いました。僕たちは、うしろは振り返っても、決してそこにとどまっていないということです。友人たちもまだ転がり続けています。これぞロックじゃありませんか。昔を振り返ることが多くなってきた昨今ですが、それを今日の生きるパワーにできるうちは、まだまだ転がり続けていけるな、と。
 40年前に今日のストーンズやロックのことが想像できなかったように、ぼくたちの未来も想像できません。けれど、転がり続けていくことの意味と意義を、ぼくはこのところ強く感じています。

 ストーンズのライヴが終わってから参加したDJイヴェントについては、後日報告しますね。
 
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by jazz_ogawa | 2006-03-25 11:55 | ライヴは天国 | Trackback | Comments(9)
 いよいよ本日はストーンズの東京公演です。おとといのコンサートを観た友人にその模様を聞いたりして、気分は最高に盛り上がっています。今日の仕事は4時に終わりますので、いったん家に戻り、気合を入れなおしてドームに行こうと思っています。

e0021965_1113191.jpg そんな気分に浸りながら、昨日は六本木の「スイート・ベイジル」に行ってきました。デビュー作の『Swingroove』をユニバーサルから発表した太田剣さんのライヴです。太田さんといえば、数年前からぼくたちの間では注目のアルト・サックス奏者でした。大学卒業後にレコード会社に就職したのですが、夢を追求しようと会社を辞めてジャズ・ミュージシャンになったひとです。
 ぼくはこういう生き方をするひとが大好きです。しかし、それだから注目をしていたわけではありません。太田さんがとても素直で心地のよいプレイをしていたからです。サイドマンとして彼が加わっているグループを何度も観て、ぼくのプロデューサー魂が騒いだことも一度や二度ではありません。
 昨日のステージでは、今泉正明さんのピアノ、鳥越啓介さんのベース、大槻英宣さんのドラムスで、デビュー作からの曲が何曲も演奏されました。太田さんが書くオリジナルはどれもリズムに工夫が凝らされています。だからアルバム・タイトルを『Swingroove』としたのでしょう。ほどよいグルーヴ感に、ぼくもいつの間にか体をスイングさせていました。

 「スイート・ベイジル」といえば、オープン当初は毎週のように通ったものです。それというのも、知人がブッキングを担当していたからです。ぼくと同世代の彼は、1960年代に人気を獲得したロック・バンドなんかを中心にプログラムを組んでいました。Tレックス、ジェファーソン・エアプレイン、アイアン・バタフライ、モンキーズ、ドノヴァン、ブラザーズ・フォアなど、どれも懐かしい名前ばかりが並んでいました。
 しかしこのブッキングは完全に失敗で、とにかくお客さんが入りません。ドノヴァンのときは、たまたま行った日が雪だったこともあって、お客さんは3組くらい、トータルしても10人もいませんでした。それでファースト・セットが終わったらほとんどのひとが帰ってしまったのですから、ミュージシャンにとっても可愛そうな話です。
 ぼくが行った日で「スイート・ベイジル」に50人以上入っていた日があったかどうか。とにかくそんな状況だったので、ひとりでもお客さんが多ければいいだろうと、ぼくも熱心に通いました。
 それにしても、登場するグループやアーティストの名前はどれも魅力的でした。しかしオリジナルのメンバーがほとんどいないため、「昔の名前で出ています」式の面子だったのが残念至極です。だってTレックスには当然マーク・ボランがいないのだし、モンキーズはデイヴィー・ジョーンズ(だったかな?)以外は誰もいなかったんですから。
 笑ってしまったのは、ブラザーズ・フォアです。このときが一番入ったと記憶しています。最初からお客さんも一緒に歌いだして、最後はフーテナニー(懐かしい!)のようになってしまいました。それで何に笑ってしまったかと言えば、オリジナル・メンバーがひとりもいないのはいいとして、そのうちのひとりが先週はキングストン・トリオとしてどこかに出ていたと紹介されたからです。まさしく名前だけが生き残っているんですね。ここまで来てしまうとメンバーは誰でもいいんです。ついでにキングストン・トリオの曲が歌われたのは愛嬌でした。
 この第一期「スイート・ベイジル」は完全な失敗で、その後にマネージメントが変わり、現在のようにオール・ジャンルの音楽をブッキングするようになりました。数年前には、ぼくがプロデュースした平野公崇さんのCD発売記念ライヴもここで開かせてもらいました。

 今日はストーンズのライヴに行って、その後は青山の「Val」でDJをやってきます。本当は家に帰ってコンサートの余韻に浸っていたいところですが、前から決まっていた予定なのでDJでもストーンズ特集にして、勝手に盛り上がっていようと思います。ストーンズとDJイヴェントの模様は、次回報告しますのでお楽しみに。
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by jazz_ogawa | 2006-03-24 11:16 | ライヴは天国 | Trackback(1) | Comments(2)
 スポーツは音楽と同じで、往々にして大きな感動を与えてくれることがあります。今回のWBCがそれでした。ここ数年、野球熱が醒めかかっていたのですが、WBCは強化試合や壮行試合のときから、時間が許す限りテレビで観戦していました。
 ぼくもそうですが、ほとんどの日本人は二次予選で韓国に敗れたときにこれまでかと思ったことでしょう。ところが不死鳥のように甦り、ついには優勝してしまったんですから、筋書きのないドラマでした。
 今日の決勝戦も最初に大量得点したものの、スポーツに関してネガティヴ・シンキングのぼくは、いつ逆転されるのかとはらはらどきどきでした。そのはらはらどきどきは最後まで続きましたが、結果としてそれだけスリリングで面白いゲームだったということです。
 喜怒哀楽を素直に出していたイチローの態度も、いつもの彼からは考えらません。自分でも発言していたように、それだけこの大会には思い入れが強かったのでしょう。そんなゲーム以外の人間ドラマも楽しめた大会でした。
 でも韓国に2回も負けて、それでも優勝ができしてしまうシステムはちょっとね、と思います。1次予選と2次予選を合わせて3勝3敗でもセミ・ファイナルに出れてしまうシステムも不思議です。韓国と3回も試合する組み合わせもどうなんでしょう? もっとほかの国との試合が観られる組み合わせにどうしてしないのか、そのあたりの考えがよくわかりません。
 日本が優勝したことは文句なしに嬉しいのですが、理不尽と感じている国の選手やファンのことも頭をよぎります。一番面白くないと思ったのが主催したアメリカの大リーグ機構でしょうね。思惑違いの結果で、次回開催に力を入れるんでしょうか? まあ、いつもアメリカの思惑どおりには行きませんよ、ということのいい例にはなりましたが。
 それはそれとして、面白い試合が観られた3週間弱でした。今日の優勝劇には、素直に感動しました。「諦めなければいいことがあるよ」ということを教えられた大会でもありましたね。それで、今年は久しぶりにペナントレースに注目しようかなと思っています。

e0021965_23544120.jpg その後は高揚感に浸りながら六本木まで歩きました。「サテンドール」で松永貴志さんのライヴを観るためです。1月に発売された『無機質オレンジ』の発売記念ツアーの一環で、そのライナーノーツを書かせていただいたこともあって、ライヴも見届けなくてはと出かけたわけです。
 エリック・ハーランドのスケジュールが合わなくて、今回はオーティス・ブラウンというドラマーが参加していました。松永さんが昨年ニューヨークに行って、エリックが推薦してくれた何人かの中からみずからが選んだドラマーだそうです。
 このトリオも、エリック入りのトリオと同じで、リズミックな演奏に持ち味があります。松永さんのプレイはスピード感とリズミックなところが命です。その上で奔放な展開をするため、共演者には瞬時に反応できる瞬発力が要求されます。ベースのウゴナ・オケグォはこの点に秀でていて、それが松永さんから自在なプレイを引き出していたようです。
 ただし1曲目の「星影のステラ」を聴いたときは、「あれれ、松永さんも普通のジャズ・ピアニストになってしまったか」とちょっと焦りました。しかし、すぐにいつもの彼に戻ってがんがんピアノを弾き始めたのでひと安心です。あとは「チャイルド・イズ・ボーン」、「魚の涙」、「ダン・ダン・ダン」、「無機質オレンジ」など怒涛の勢いでした。松永さんらしいなと思ったのは、今朝書いた曲を早速披露してみせたところでしょう。これもリズミックな面白い内容でした。
 はたちになったばかりの松永さんです。そうそう、現在は自動車の仮免まで行って、e0021965_00535.jpgもうすぐ免許が取れるところまできたと教えてくれました。ぼくの車が欲しいとねだられましたが、こればかりはちょっとね。
 それはそれとして、若者らしい屈託のないプレイには聴いていてすがすがしさを感じます。これからもっといろいろなことを体験し、年齢を重ねていけば、プレイにもさらなる変化が出てくることでしょう。その成長していく姿を一緒にたどっていける楽しさ。そんなことを夢想しながら、ウォーキングで家まで戻りました。

 すっかり春めいてきて、ちょっと涼しい空気が、WBCでの優勝  明りが不足のためのっぺらぼうみたいです
や松永さんの演奏を聴いて興奮し
た気持ちを鎮めてくれました。今週はストーンズのライヴもありますし、それが終わってからは青山の「VAL」で開かれているHi-FiのDJイヴェントにも出る予定です。
 楽しいことがいろいろある1週間。いい季節にもなってきましたし、仕事は忙しいのですが毎日をエンジョイしながら過ごしていけそうです。
 
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by jazz_ogawa | 2006-03-21 23:56 | ライヴは天国 | Trackback | Comments(4)
 「Works & Information」でも紹介しましたが、2月から3月にかけてこんなものも発刊されています。最初の2冊は共著です。

e0021965_0592047.jpg 『さわりで覚えるジャズ・ヴォーカルの名曲25選』(中経出版)は、四谷でジャズ喫茶「イーグル」を経営している後藤雅洋さんの監修で、彼と親しいライターやお店の常連たちが25人のシンガーによる25曲を紹介をしたものです。ぼくはこの本で、それら25人のシンガーについて、ひとりひとりについてエピソードを書かせてもらいました。
 この本はシリーズで、これまでに『ブルーノート編』と『ソニー編』が出ていて、今回は初の『ヴォーカル編』です。売りは、添付されたCDでそれらの25曲を聴きながら、それぞれのアーティストのことや曲のことがわかるという点です(「さわり」ということで最後までは入っていませんが)。その企画が受けて、今回の『ヴォーカル編』を含めてジャズ本としては考えられないほどのベストセラーだそうです。以下は収録されている曲の一部です。
 「アイ・コンセントレイト・オン・ユー/クリス・コナー」
 「サムシング・クール/ジューン・クリスティ」
 「9月の雨/スー・レイニー」
 「イッツ・オールライト・ウィズ・ミー/ダイナ・ショア」
 「ニューヨークの秋/ジョー・スタッフォード」

e0021965_031514.jpg つい数日前には宝島新書から『JAZZ“名盤”入門!』が出ました。これは数年前に別冊宝島として出した本の新書化です。後藤雅洋さん、中山康樹さん、村井 康司さんの監修で、ぼくはボビー・ハッチャーソン、ジョン・スコフィールド、ポール・ブレイ、サン・ラを担当しました。
 下記は出版社からの宣伝文句です。
 「ジャズ」と称される音楽が生まれ出て100年。そのジャズの流れを100人のビッグ・アーティストの名盤336枚によってひもとく。プロの聴き手3人によるジャズ熱愛鼎談、後藤雅洋のコラムも収録。

 最後はちょっと恥ずかしいのですが、このブログは自分の記録として書いていますので掲載しておきます。
e0021965_0595865.jpg 1月に、オーディオ・メーカーのBOSE社が会員向けに毎月発行している会報誌『ビスタ』のインタビューを受けました。わずか8ページの小冊子ですが、見開き2頁のインタビューと表紙を恥ずかしながら飾っています。これ、母親へのいいプレゼントになりました。
 個人的な話で恐縮ですが、老いた母親の楽しみは、ぼくの本や雑誌に書いた記事を読むことです。親とは有難いもので、視力も衰え、活動する気力も萎えているのに、ぼくが本を出すと、すぐに読んでくれます。

 ところで、このインタビューは仕事にも結びつきました。インタビューをしてくれた編集者の方から、BOSEが出している別の会報誌に連載物を書いてくれないかと申し出を受けたのです。こちらは季刊誌で、やはり一般の方には手に入りませんが、こうやって仕事の幅が広がっていくのは嬉しいことです。
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by jazz_ogawa | 2006-03-19 00:36 | Works | Trackback | Comments(8)
 ここ2週間ほどでいちばんよく聴いているのがこのアルバムです。

e0021965_23222660.jpg フォー・フレッシュメンといえばジャズ・コーラスの最高峰です。ところが、この作品はまっとうな彼らのファンやジャズ・ヴォーカルのファンからはほとんど相手にされてきませんでした。
 実際、今回が世界初CD化ですし、アナログLP時代にも日本で発売されたかどうか怪しいものです。それも仕方がありません。取り上げているのが、このアルバムを録音した1968年当時のポップ・ヒットを中心にしていたからです。そのため、真面目なファンからはそっぽを向かれていたんですね。
 ところが、ぼくはこういうコマーシャル臭がぷんぷん漂う作品や音楽が昔から大好きでした。ジャズの名盤と呼ばれている作品も好きですが、こういうある意味で日陰者(この場合は日陰物?)がすこぶる気になってしかたありません。
 ここしばらくクラブ・ジャズが流行って、そういうひとたちの間では、シリアスなジャズ・ファンが相手にしなかったミュージシャンや作品が高く評価されるようになりました。いいことです。
 ただし、誰もが「右にならえ」で同じ作品やアーティストを異常に高く評価したり持て囃したりしているさまにはちょっとした怖さも感じます。「もう少し自分の意見を持ったら」と思うのは、ぼくが親父になった証拠でしょう。いやですね。
 でもそのお陰で、このアルバムも日本で発売されたようです。ジャズ・ファンに売るのではなく、違うファン層を期待してのリリースだと思われます。

 それはそれとして、このアルバムです。フォー・フレッシュメンが歌うのはラヴィン・スプーンフルの「デイドリーム」、ジ・アソシエーションの「チェリッシュ」と「ウィンディ」のメドレー、バート・バカラックの「ウォーク・オン・バイ」、ビートルズの「レディ・マドンナ」、フランク・シナトラの「カム・フライ・ウィズ・ミー」とフィフス・ディメンションの「アップ・アップ&アウェイ」のメドレー(このセンス最高!)、それから隠れた名曲にしてフォー・フレッシュメンの隠れた名唱にもなっている「ホエン・スクール・イズ・アウト・ディス・イヤー」などなど、どれもジャズ・ファンなら顔をしかめる曲ばかりです。
 チープなアレンジですし、フォー・フレッシュメンのハーモニーにも全盛期の美しさは認められません。しかし好きなものは好きということで、このアルバム、ぼくにとっては彼らの最高傑作『ファイヴ・トロンボーンズ』より愛聴していました。
 それでようやくCDが出たので、もうアナログ盤は聴かなくてもいいかなと思っています。これまでに、このアナログ盤は3枚買いました。そのうち1枚は聴き潰し、2枚目を聴いているところでした。どうして3枚持っているかといえば、CD化が期待薄だったため、いずれ2枚目も溝が磨り減ると思い、買いだめしておいたのです。ただし、このレコードは未開封だったので、これはこれで永久保存版として、もう1枚探さなくちゃと思っていました。
 アメリカの中古盤店ではときどき見かけますし、あれば3ドルとか5ドルで買えます。アメリカでもくず盤です。でも、そういうレコードがいとおしくてたまりません。だから、部屋にレコードがどんどん増えて身動きが取れなくなってしまったのですが。

 それともうひとつ、ぼくはジャケット・デザインにも魅かれています。この作品はリバティから出たものです。リバティといえば、この時期、ブルーノートも傘下におさめていました。それで似たようなデザインのジャケットがブルーノートにもいろいろあります。
 ブルーノートではフランシス・ウルフの写真にリード・マイルスのデザインが定番です。ところが、1960年代末の一時期はこのアルバムをデザインしたウッディ・ウッドワードも起用していました。例えばルー・ドナルドソンの『アリゲイター・ブーガルー』なんかで彼のデザインが楽しめます。
e0021965_23282491.jpg なお、今回同時に発売された、デイヴ・ペル・シンガーズ、スー・レイニー、ブロッサム・ディアリー、マーティン・デニーの作品もぼくのフェイヴァリットですし、このシリーズ(Sound Picnic紙ジャケット・シリーズ)では3月にもフォー・キング・カズンズ、ラヴ・ジェネレーション、ジャッキー・デシャノンなど5枚が出ます。いずれもLPで散々聴きまくった作品なので、発売されたらすぐにiPODに入れてウォーキングをしながら楽しもうと思っています。
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by jazz_ogawa | 2006-03-14 23:28 | MHR | Trackback | Comments(11)
 ジョニー・キャッシュは1960年代末に好きになったカントリー・シンガーです。当時、彼が所属していたレコード会社は米コロムビアです。米コロムビアのレコードは日本コロムビアから発売されていました。しかしソニーが米コロムビアと契約を結んだことから、CBSソニーというレコード会社が設立されました。これがソニー・ミュージックエンタテインメントの前身ですね。
 日本コロムビア時代、米コロムビアのポピュラー系作品はきちんとした形であまり出されていませんでした。ロック系はほぼ全滅に近い状態で、ボブ・ディランやバーズなんかも日本編集盤が優先されていたように記憶しています。
 当時のロック・ファンはシングル盤を中心に買ったり聴いたりしているほうが多かったので、それでよかったのでしょう。ところがCBSソニーは、アルバム単位でのプロモーションに力を入れました。ディランやバーズはすべて米オリジナル盤と同じものが日本盤で順次発売されるようになったのです。
 そうしたリリースの中にジョニー・キャッシュのレコードも含まれていました。カントリーの世界では大物だった彼ですが、ぼくは「ディランのカントリー版」という認識で彼のレコードに出会いました。
e0021965_11371595.jpg 最初に買ったのが『アット・フォルサム・プリズン』です。当時のレコードが手元にあります。邦題は『監獄の唄』となっています。その帯には「話題集中!! フォルサム監獄でのナマ録音!!」とキャッチコピーが書かれています。
 その次に買ったのが『アット・サン・クエンティン』です。こちらも刑務所での実況録音盤だったので、ぼくはジョニー・キャッシュのことを、てっきり監獄慰問をする専門のシンガーかと思っていました。
 しかし、ディランのカントリー版と思って聴き始めた彼の歌にはすぐに魅了されました。どすを利かせた低音のヴォーカルが何とも言えない哀しみやアウトローのイメージを抱かせたからです。

 このフォルサム監獄でのライヴをひとつのハイライトにした映画が、昨日観た『ウォーク・ザ・ライン』でした。ジョニー・キャッシュのキャリアの前半部分が、彼の内面を掘り下げて丁寧に描かれていました。
 音楽映画の常で、ドラッグ問題と愛憎劇がこの作品でも中心になっています。それらを通して、自身の苦悩と、それを超えてやがて進むべき道が見えてくるまでをたどった内容の映画です。
 音楽ファンのぼくとしては、どうしてもあちこちに登場してくるステージのシーンが気になります。サン・レコード時代にプレスリーやジェリー・リー・ルイスたちとパッケージ・ショウであちこちを回るシーンは興味深く観ました。
e0021965_11391613.jpg プレスリーはちょっとイメージが違って、若いときはもっと美少年で、かつちんぴら然としていたように思います。でも、ジョニー・キャッシュ役のホアキン・フェニックスは好演です。若いときの彼にそっくりな仕草は、かなり研究したのでしょう。この間、偶然フォルサム刑務所にジョニー・キャッシュが出たときの記録フィルムを観たのですが、それがうまく再現されていました。
 最近の映画は、『Ray』にしろ『ビヨンド・ザ・シー』にしろ、役者が本人のことをかなり研究しているようです。日本ではあまり話題にならなかったのですが、『ビヨンド・ザ・シー』のケヴィン・スペイシーなんか、ボビー・ダーリンにそっくりでした。

 若いときのジョニー・キャッシュは、異論はあるでしょうがジョー・ペシに似ています。ぼくはずっと以前からそう思っていました。映画ではその時代を中心にホアキン・フェニックスが演じていたわけですが、彼とジョー・ペシは似ても似つかないのに、ちょっとした表情がジョー・ペシ的だなと密かに思いながら観ていました。
 この映画でアカデミー賞「最優秀主演女優賞」を受賞したジューン・カーター役のリーズ・ウィザースプーンも、アカデミー賞に値する演技かどうかは別にして、歌う仕草が本人によく似ていました。
 そして映画では、ふたりが吹き替えなしで実際に歌っていることにも驚かされました。ホアキン・フェニックスの男性的な歌いっぷりはジョニー・キャッシュそっくりです。ぼくは1980年代に一度だけ彼のライヴを観ましたが、そのときの様子が彷彿とされるほどの出来映えでした。

 最近はいい映画音楽が多くなってきました。ただしドラッグと女性問題が常につきまとっていますが、これは避けて通れないことなので仕方がないでしょう。
 今後公開される予定の映画では、ドキュメンタリーですが『トム・ダウド/いとしのレイラをミックスした男』が楽しみです。トム・ダウドはアトランティック・レコードのエンジニア/プロデューサーとして活躍したひとで、ぼくが大好きなサザン・ソウルの大物たちの作品も手掛けています。映画の『Ray』にも、スタジオ・シーンで役者が演じるトム・ダウドが何度も出ていました。
 試写会の招待状が来ていたのですが、スケジュールが合わず行けませんでした。でも映画は試写会室で観るより、「映画館のビッグ・スクリーンで観る派」なので、どうせ映画館にも行くつもりでしたから、公開を楽しみに待つことにしましょう。
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by jazz_ogawa | 2006-03-12 11:44 | 映画&DVD | Trackback(4) | Comments(7)
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 昨年出版した『マンハッタン・ジャズ・カタログ』ですが、編集者(このブログにときどき登場するヘビメタ嬢:ヘビ女ではありません)に乗せられて、本の宣伝用(?)に裏話満載の「編集後記」なるものを、彼女と掛け合い漫才よろしくしたためました。
 悪乗りし過ぎ、かつ筆もすべり、さらには得意の脱線もやらかして、少し長いものになってしまいましたが、興味のある方は下記URLをクリックして、表紙写真の右下にある「詳細はこちら」をさらにクリックしてください。怪しげなサイトに飛んだりはしませんのでご安心を。
http://www.zen-on.co.jp/info/CSfViewInfo.jsp?tp=7&no=4
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by jazz_ogawa | 2006-03-10 23:17 | Works | Trackback(6) | Comments(0)
 ちょっと間があいてしまいましたが、久々の3回目です。やはりマイルス・デイヴィスについて触れないわけにはいかないでしょう。
 傲岸不遜を絵に描いたようなマイルスですが、実際は優しい心の持ち主でした。気遣いも相当なものです。ぼくの個人的な体験についてはよそでも書いているので、今回は触れません。ひとつだけ、前回(ギル・エヴァンス)の繋がりで、書き残したことを追加しておきます。

 1970年代末のことです。マイルスは長期の隠遁生活を送っていました。彼のことを心配して、ギルはよくマイルスの家を訪ねたそうです。ところがそんなギルにも滅多に仕事はありません。
 そこで、ギルは久しぶりにオーケストラを結成しようと考えました。しかしオーケストラともなれば、リハーサルをするにしてもそこそこ費用はかかります。スタジオ代も必要ですし、写譜を頼むのにもお金がかかります。もっとも譜面を書くのが趣味だった彼のことですから、大半の譜面は自筆でまかなったそうですが。
e0021965_034142.jpg そんなギルのところにヨーロッパのプロモーターからツアーのオファーが来ました。しかしオーケストラは存在しません。要領のいいミュージシャンなら、適当にメンバーを集めてツアーに出てしまうかもしれません。しかし完璧主義者の彼にはそれができません。

 この話は人づてにマイルスの耳にも入りました。そしてあるとき、彼は家にやってきたギルに向かってこういったそうです。
 「1週間後にオーケストラの譜面を持っておれの家に来てくれ」
 ギルには何のことかわかりません。マイルスにはオーケストラの構想は話してあったのですが、そこでストップしたままになっていました。
 そして1週間後。
 ギルがマイルスの家に行くと、オーケストラを構成するには数が足りませんが、何人かのミュージシャンが集まっていました。そしてマイルスはこういったそうです。
 「メンバー全員を集めてしまったら、おれのオーケストラになってしまうからな」
 あとは自分で集めろ、ということでしょう。
 このときマイルスに呼ばれたミュージシャンは7~8人だったそうです。ギルは当初フル・オーケストラを考えていたのですが、これがヒントになって、マイルスとかつて結成していた9重奏団に譜面を書き直しました。
e0021965_0392510.jpg 結局ヨーロッパ・ツアーは準備が間に合わず流れてしまいましたが、この時期にマイルスの家で何度か行なわれたリハーサルがきっかけで、ギルはしばらくのちにパブリック・シアターでコンサートを開くことになります。

 ぼくが一番気になったのは、マイルスの家で行なわれたリハーサルに、マイルスが入ったかどうかです。ギルはこう教えてくれました。
 「マイルスはわたしたちの演奏に合わせて、勝手にオルガンを弾いて楽しんでいたよ」
 もしこのときのことをマイルスに訊ねたら、こんな風に嘘ぶいたかもしれません。
 「ギルのためにおれがメンバーを集めたって? あれはおれが楽しむために集めたんだ」
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by jazz_ogawa | 2006-03-08 00:40 | 愛しのJazz Man | Trackback(1) | Comments(6)
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