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川隆夫の JAZZ BLOG
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©Kozocom (photo by Shuichi Kasahara)
職業:JAZZジャーナリスト、整形外科医、DJ

ニューヨーク大学の大学院在学中にアート・ブレーキーやマルサリス兄弟など数多くのミュージシャンと知り合う。帰国後、JAZZを中心に約3000本のライナーノーツを手がけると共にJAZZ関連の著書を多数出版。ブルーノートの完全コレクターとしても有名。その他、マイルス・デイヴィスやブルーノートの創始者アルフレッド・ライオンの来日時の主治医を勤めるなど、現役の整形外科医としても第一線で活躍中。

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「ジャケ裏の真実
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小川隆夫ONGAKUゼミナール
@銀座le sept
3.19:ジャズメン、ジャズを聴く!


■TALK EVENT■
民音音楽博物館
「3月文化講演会」@神戸
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TEL: 078-265-6595

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e0021965_20365481.jpg 昨日はカナダ大使館、そして今日はキリスト品川教会に行ってきました。どちらも普段は縁のないところです。何故そんなところに行ってきたかというと、それぞれの場所でレコード会社のプロモーション・イヴェントがあったからです。
 まずは今日のイヴェントから。これは嬉しい内容でした。何しろ目の前でエルヴィス・コステロとアラン・トゥーサンが、ふたりだけでミニ・ライヴを開いたからです。27日に発売された両者のプロジェクト作品『ザ・リヴァー・イン・リヴァース』のショーケースです。
 コステロは6月2日に一度だけのコンサートを東京フォーラムで開きます。それに合せて、ニューオリンズの伝説的なミュージシャンにしてプロデューサーのアラン・トゥーサンを招き、今日のお昼過ぎから品川の教会でプロモーション・イヴェントが開かれました。

e0021965_20374499.jpg 昨年の夏、ハリケーン・カトリーナがニューオリンズを直撃しました。その直後に、ウイントン・マルサリスの呼びかけで、チャリティ・コンサートがニューヨークで開かれています。ふたりによる久々の共演がそのときに実現しました。
 そこで意気投合した彼らは、さっそく共演作品の制作に着手します。そして、先日ニューオリンズで開かれた音楽フェスティヴァルの「ニューオリンズ・ジャズ&ヘリテッジ」にも登場して大反響を巻き起こしたのです。
 そのことをニュースで知ったぼくは、このアルバムの発売を心待ちにしていました。そんな矢先に届いたのが、プロモーション・ライヴの招待状でした。

e0021965_20423846.jpg ふたりのミニ・ライヴに先立って、シンガーの中島美嘉が登場しました。トゥーサンがピアニストとして参加したシングル盤「ALL HANDS TOGETHER」を6月7日にリリースするからです。ステージでは、この曲と「What a Wonderful World」を、トゥーサン+バック・バンド+20名くらいの黒人コワイアと共に歌いました。なお、このシングルの売り上げ金は一部がニューオリンズへの義援金になります。
 トゥーサンつながりとニューオリンズつながり。こうやって音楽の輪が広がっていく姿を見るのは気持ちがいいことです。トゥーサンがステージで語っていました。「カトリーナは大きな災害をもたらしたが、ミュージシャンにはブッキング・エージェントのような役割を果たしてくれた」
 たしかにその通りです。カトリーナ以降、世界のあちこちでニューオリンズのミュージシャンがコンサートやライヴを開く機会が持てるようになりました。そして今日のような、考えもつかない共演も実現しているのです。

 教会でプロモーション・イヴェントを開いたのもグッド・アイディアです。400人も入れば一杯になる中規模の教会で、コステロがトゥーサンのピアノだけをバックに歌い、ときにギターを持ち、曲によってはふたりでデュエットをします。1曲目の「ザ・シャーペスト・ソーン」では、途中でステージから降り、聴衆の中に入って生声でも歌ってみせました。
 シンガーとして、現在もっとも油が乗っているコステロ。教会の荘厳な雰囲気の中で、ニューオリンズ伝来のソウルフルな歌をうたう姿は感動的でもありました。独特の雰囲気を持つトゥーサンのピアノも渋い味わいで、コステロの歌を盛り上げます。何と心の温まるひとときだったでしょうか。
 しかしぼくには本業があるので、4曲目が終わったところでうしろ髪を引かれながら会場をあとにしました。帰りにもらったセット・リストによれば、全部で11曲を歌ったようです。その中にはアルバム未収録の曲もいくつかありました。残念でしたが、本業があるからこそ音楽の仕事もあると思っているので、これも仕方のないことです。

e0021965_20425191.jpg 昨日のカナダ大使館では、新人シンガーのソフィー・ミルマンによるプロモーション・ライヴがありました。大使館の地下2階にあるホールが会場で、こちらは200席強といった広さでしょうか。
 彼女は、3月に全米発売されたデビュー・アルバム『ソフィー・ミルマン』が日本のHMVやタワー・レコードでジャズの売り上げナンバー・ワンになり、iTUNES USAでもジャズ・アルバムの週間チャートで1位を獲得するなど、内外で注目を集めています。アルバムは日本でも7月の発売が決定し、そのためのプロモーションとしてライヴが開催されました。
 ソフィーは23歳の大学生です。年齢のわりに堂々とした歌唱で、ジャズ・シンガーとしていい雰囲気を持っていると思いました。若いのに保守的な歌をうたう彼女です。低音をいかしたヴォーカルはジャズ・シンガーの王道を行くもので、好感が持てました。
 どうしてカナダ大使館でこのイヴェントが開かれたかといいますと、ソフィーがカナダに在住しているからです。生まれはロシアで、その後にイスラエルを経てカナダに移住した経歴が、若いのに彼女の歌を熟成させたのかもしれません。この日も英語、フランス語、ロシア語で歌いましたし、今度は日本語でも何か歌ってくれるかもしれません。楽しみなシンガーが登場したことは間違いありません。今後の活躍を見守っていきたいと思います。
 
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by jazz_ogawa | 2006-05-31 20:51 | ライヴは天国 | Trackback(1) | Comments(14)
e0021965_10103650.jpg
 年末・年始にニューヨークで観そこなった『グッドナイト&グッドラック』を土曜日に観てきました。好きなジョージ・クルーニーが監督・出演していることと、テーマが興味深かったからです。
 いつものクルーニーが出ている映画とはまったく違います。マッカーシーの赤狩りが題材ですから、シリアスな内容なんですね。日本でもお笑いのひとが映画を撮ったり本を書いたりすると、シリアスなものになることが結構ありますよね。クルーニーがお笑いのひととは思いませんが、同じような印象を覚えました。
 クルーニーの父親はテレビ・ニュースのアンカーマンで、自身も大学で放送ジャーナリズムを専攻していました。ですから赤狩りは他人事ではなく、一般のひとより身近に感じられるテーマなんでしょうね。「マロー(マッカーシーを批判したCBS-TVの有名アンカーマンでこの映画の主人公)はぼくら父子の英雄だ」とクルーニーはいっているほどですから。

 アメリカはときどき妙なことをやります。禁酒法もそうでしたし、赤狩りもそうです。本人でなくても家族が共産党の集会に一度でも出ていただけで解雇されるなど、ほとんど公民権剥奪に近い状態にされてしまいます。20年前に参加していてもそうなんですから、自由を主張する国からは想像できません。まるで戦前の日本で起こっていたことが、民主主義を標榜するアメリカで、それも戦後に起こったのですから、アメリカ人のメンタリティはよくわかりません。
 赤狩りはときどき映画のテーマになります。チャップリンが赤狩りを逃れてスイスに移住するなど、ハリウッドの関係者に犠牲者が多かったからでしょうか? ジャズ界でも、ウエスト・コーストのミュージシャンやレコード会社のひとが犠牲になっています。

 映画は非常に面白く観れました。モノクロの映像が実写フィルムとリンクして重厚な雰囲気を醸し出します。鋭利な刃物のように切れ味が鋭く、しかも90分少々の長さですから緊張感も途切れません。テーマを絞っているため、話がコンパクトにまとまっていて、いい映画が観たなぁという気分になりました。
 ところどころにフィーチャーされる、ダイアン・リーヴスがコンボをバックに歌うシーンもよかったですね。モノクロの映像ということもあって、ジャジーな雰囲気がよく出ていました。ダイアンは貫禄がついて(大分前からですが)、ビリー・ホリデイみたいなムードを醸し出していました。20年くらい前に初めてインタビューしたときは可愛かったのに、いまでは風格十分です。お互いに年を取ったもんだと、スクリーンを観ながら妙に納得してしまいました。
e0021965_1016290.jpg ところで、ジョージ・クルーニーはジャズ・シンガーのローズマリー・クルーニーの甥っ子なんですね。ですから、ジャズ・ファンなんでしょう。そんな思いが、ダイアンをフィーチャーさせたのでしょうか? 彼女が歌うシーンはなくたっていいというか、必然性がないんですが、そこに思い入れがあるのかもしれません。ちなみにクルーニーがプロデュースしたこの映画のサントラ盤で、ダイアンはグラミー賞を獲得しています。

 あとは、やたらと登場人物が煙草を吸うシーンが気になりました。主人公のマローはヘヴィー・スモーカーで知られており、呼吸器系の癌で死んでいます。そのキャラクターを描くために強調したのかもしれませんが、それでも観ていて違和感を覚えるほでした。いくら放送業界のひとが煙草を吸うといっても、ちょっと吸いすぎです。そんなシーンを撮るのに、スタッフから苦情が出たんじゃないかと妙な勘繰りをしてしまいました。
 アメリカではどの業界でもユニオンが口うるさいですから、ぼくはこうしたシーンを撮るにあたって、制作側とユニオンの間で何らかの問題が生じたのではと勘ぐっています。だってぼくがスタッフだったら、この仕事やりたくないですもん。喫煙や福流煙を忌み嫌うひとは日本よりアメリカのほうが多いですしね。

 もうひとつにやりとさせられたシーンがありました。登場人物の中で社内結婚しているカップルがいるんですね。会社では社内結婚は禁止です。それで出社する際に、「奥さんがいることは誰にもいえない」とか何とかいうせりふがあるんです。すると奥さんが、「もうひとり秘密にしているひとがいるわ、エヴァ・ガードナーよ」と応じます。このあたりは、脚本も書いたジョージ・クルーニーのユーモアでしょう。シリアスな映画の中で、唯一にやりとした場面でした。
 人気絶頂だったフランク・シナトラは1951年にエヴァ・ガードナーと結婚し、54年に離婚しています。どこの芸能界も同じですが、人気者は結婚を秘密にします。映画は1953年ごろが舞台ですから、時代考証もなされています。こういう芸の細かいところがぼくは好きですね。

 さて、「ヴァージン・シネマ」の予約がうまく取れれば、今週末は『ダヴィンチ・コード』を観ようと思っています。
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by jazz_ogawa | 2006-05-29 10:19 | 映画&DVD | Trackback(4) | Comments(9)
 1926年5月26日にマイルス・デイヴィスは生まれました。生きていれば昨日は80歳の誕生日でした。1991年にこの世を去りましたから、今年は没後15周年の節目でもあります。

e0021965_1018767.jpg 昨日は青山の「Val」でHi-FiのDJイヴェントがありました。誕生日ということから、ぼくはマイルス絡みの曲で自分の持ち時間を過ごすことにしました。まだあまりお客さんが集まらない時間帯の「ラウンジ・タイム」が出番ですから、「踊れる・踊れない」は関係ありません。どのみち、いつも自分がそのときに聴きたい曲を選んで回していますので、その辺はどうでもいいことなんですが。
 それで以下のような曲を回しました。


【曲目】
M-1:Time After Time/Miles Davis
M-2:Don't Stop Me Now/TOTO
M-3:Sticky Wicked/Chaka Khan
M-4:In The Night/Cameo
M-5:A Dios/Santana
M-6:Big 'Ol Head/Kenny Garrett
M-7:Oh Patti/Scritti Politti
M-8:The Doo Bop Song/Miles Davis

e0021965_10182373.jpg すべてのトラックにマイルスが入っています。実はマイルス絡みの曲を集めたコンピレーションを以前出したことがあります。それからのトラックを大分使いましたが、改めて聴くといい曲ばかりで、自分で回しながら聴き惚れていました。

 もしマイルスが生きていたら、何をやっているでしょうね? かっこつけのひとでしたから、新庄みたいに「ぼろぼろになるまでやらない」とかなんとかいって、さっさと引退しているかもしれません。あるいは、いまも最高にクールな演奏を続けているかもしれません。そうなれば、ジャズやその周辺のブラック・ミュージックがいまとは違うものになった可能性もあります。
 マイルスの死後、ジャズは大きな発展を遂げたとは思えません。これまでだったら、15年という月日があれば、ジャズはかなりの様変わりをしてきました。停滞とはちょっと違うのですが、ここしばらくはすごーくゆったりとしたペースでジャズや周辺の音楽が動いているような気がしてなりません。
 やはりマイルスの存在は大きいんですね。いまだにヒップ・ホップだとかラップが主流でしょう。そんなことはとっくの昔にマイルスがやっていますし、ジャム・バンド的なバンド・サウンドもマイルスは、話題になる前からやっていました。

e0021965_10184247.jpg そういえば、マイルスがこの世を去る直前に行なったインタビューでは、「ブロドウェイのステージに立ちたい」というコメントがありました。これはマイルスが役者として出るということではなく、ミュージカルでもレヴューでも何でもいいのですが、ミュージシャンとして出演したいということです。『マイアミ・ヴァイス』や『ディンゴ』で本格的な演技をしていたマイルスですから、コンサート以外のことでもひと前で何かをやってみたかったんでしょう。
 それから、これはこの世を去る少し前から始めていたことですが、自分が書いた絵のエキジビションをしながら会場で演奏するプロジェクトも発展させたいと答えていましたね。これなんかは、マイルスの音楽をもっと身近に感じさせることになったかもしれません。
 最後の最後まで、マイルスは音楽のことを考えていたそうです。入院先の病室には、書きかけの譜面が残されていました。

 未完の音楽。未完の人生。
 でも、そこで終わってしまったからこそ、いい思い出をたくさん残してくれたのかもしれません。もちろん生きていれば、さらにもっと沢山のいい体験をさせてくれたに違いありませんが。
 次にニューヨークに行ったときは、ウッドローンのお墓に久しぶりに行ってこようと思います。
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by jazz_ogawa | 2006-05-27 10:22 | 平凡な日々 | Trackback(3) | Comments(12)
e0021965_027119.jpg ミュージシャンもひとの子。いろいろな趣味を持っているひとがいます。先日、久しぶりにブランフォード・マルサリストと会ったので、今日は彼の趣味について紹介しましょうか。

 もう何度も自慢(?)していますが、ぼくはニューヨーク大学に留学していたときに、ブランフォードとウイントンのマルサリス兄弟と隣組でした。こちらはオンボロ・アパート、あちらはドアマンつきの高級アパートでしたが、建物は隣り合わせです。

      1987年、斑尾で

 そのころのブランフォードの趣味がベースボール・カード集めでした。ぼくたちが住んでいたのはブリカー・ストリートで、ここはグリニッチ・ヴィレッジの目抜き通りといってもいいところです。とはいっても、賑やかなのはラガーディア・プレースから西に向かって7番街あたりまでで、アパートがあったのはラガーディア・プレースより1ブロック東のマーサー・ストリートでした。
 その賑やかな一角からサリヴァン・ストリートやマクドゥーガル・ストリートに入ったところに、ベースボール・カードやアメリカン・コミックスを売っている店がいくつかあったんですね。そこに出入りしては、近所の子供たちに混ざってトレードしたり買ったりしていたのがブランフォードでした。彼に会いたければアパートに行くよりそっちを探したほうが早い。そういわれていたのがブランフォードです。
 聞けば、コレクションを始めたのは小学校に入る前からだったとか。それで、当時はすでに立派なコレクションを持っていました。ツアーに行けば、地元のカード屋さんをチェックしては珍しいものも買い込んでいたようです。
 その後は人気テレビ番組の『トゥナイト・ショウ』にレギュラー出演するようになり、誕生日の直前に司会のジェイ・レノがこの趣味のことを話題にしたので、当日は全国から山のように野球カードが送られてきてほくほくだったという話も聞きました。これなどブランフォードの策略で、わざとジェイ・レノにいってもらったのかもしれません。

e0021965_0271679.jpg 野球好きのブランフォードです。関連する趣味はカードだけにとどまりません。ベースボール・キャップもひところは熱心に集めていました。あるとき彼のアパートに行ったら、巨人と広島の野球帽までありました。そして嬉しそうに見せてくれたのが、桑田投手のカードでした。日本ツアーで買ってきたそ
   留学中にマルサリス兄弟のアパートで        うです。そのとき

は、なぜか日本の学生服も買い込んでいました。どうするんだ? と聞いたところ、これでステージに出るというから、それはやめたほうがいいと忠告したんですが、どうだったんでしょう? ブランフォードのことだから、巨人軍の帽子を被って学ラン姿でステージに立ったかもしれません。
 あとは、妙なものに凝っていたことも思い出しました。ロッテのブラック・ガムです。日本でのことですが、これを箱ごと買って、ひところはいつもくちゃくちゃやっていたんですが、そういえば最近はそんな姿を見かけなくなりましたね。

 もう、アットランダムにエピソードを書いていきましょう。ぼくが隣組だったときに、ウイントンのグループで日本ツアーがありました。それで日本語を教えてほしいといってきたんです。どんなことだと思います?
 「ゲーム・センターはどこですか?」と「マクドナルドはどこですか?」というものでした。
 当時のブランフォードはパックマンにはまっていたんですね。アパートの近くにあったニューヨーク大学の学生会館や、ラガーディア・プレースとブリーカー・ストリートの角にあったバーでパックマンに興じている姿をよく目にしました。あとは出演する予定もないのに「セヴンス・アヴェニュー・サウス」(ブレッカー・ブラザーズが経営していたジャズ・クラブ)の1階にあったゲーム機でも遊んでいましたね。
 マクドナルドに関しては、マック・シェイクが大好物で、「ブルーノート」の斜め前にあるマックでいつも買っていました。ここは先に書いたカード屋さんの近くです。マクドナルドの日本語的発音に苦労していたようですが、そこはミュージシャン、耳がいいんでしょう。完璧な発音をマスターして日本に乗り込みました。

 もうひとつ、面白い話を。青山にあるジャズ・クラブの「ボディ&ソウル」は住宅街の中にあって、ちょっと場所がわかりにくいんですね。前回来日したときに、「ブルーノート東京」で演奏を終えたあとに、ブランフォードと「ボディ&ソウル」に行くことになりました。それで、ぼくは普通に通りをわたってその先にある角を曲がろうとしたところ、彼がこっちだというんです。
 ブランフォードは骨董通りに面したマンションの駐車場にある通路を抜けるとすぐ裏手に出られるからと、近道を教えてくれました。それまでは骨董通りの先まで行ってからぐるっと回って裏通りに入っていたのですが、こんな抜け道(?)があったとは知りませんでした。以来、ぼくもこの駐車場の通路を利用しています。
 まさにブランフォードはぼくにとっての「愛しのJazz Man」です。
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by jazz_ogawa | 2006-05-24 00:47 | 愛しのJazz Man | Trackback | Comments(8)
e0021965_1438633.jpg 先週の土曜日に続いて、昨日はトーク・イヴェント「NY JAZZ探訪」の2回目をやりました。銀座にある「BAR Le sept」が会場で、並木通りにあるシャネルの隣のビルに入っているバーです。カウンターとテーブル席が数席のこじんまりとしたいい雰囲気のお店でした。
 医者になってしばらくはつき合いでたまに銀座のバーにも行きましたが(医者らしいでしょう)、振り返ってみると留学を終えて日本に戻ってからはほとんど行ったことがありません。というわけで、久しぶりにこういう店に足を運びました。
 どうして「BAR Le sept」でイヴェントを開くことになったかといえば、今回このイヴェントを企画してくださったひとりが、店の則子ママと知り合いだったことが理由です。アット・ホームな感じのお店で、これならお酒はほとんど飲みませんが、たまにはお邪魔してもいいいかな? と思いました。

e0021965_14384662.jpg 朝から晴れていたのに4時ごろから銀座は土砂降りです。6時開始の予定でしたが、その影響で遅れる方もいらしたため、15分過ぎにスタートしました。それから8時ごろまで、相変わらずあっちに飛び、こっちに飛びの支離滅裂な話をしながら、ニューヨークのジャズ・クラブやコンサート・ホールで録音された演奏や歌を聴きながら、楽しい時間を過ごしました。
 とぼくは思っているのですが、いらしてくださった皆さんはどうだったんでしょう? 聴いたのはこんな曲です。

【曲目】
M-1:Charlie Christian/Stompin' At The Savoy from「THE JAZZ IMMORTAL-1941」 at Minton's Playhouse
M-2:George Wallington/Snake from「GEORGE WALLINGTON QUINTET AT THE BOHEMIA」
M-3:Kenny Burrell/36-23-36 from「At The Five Spot Cafe」
M-4:Miles Davis/Four from「FOUR & MORE」 at Philharmonic Hall
M-5:Bill Evans/My Foolish Heart from「BILL EVANS AT TOWN HALL」
M-6:Ella Fitzgerald/I've Gotta Be Me from「NEWPORT JAZZ FESTIVAL LIVE AT CARNEGIE HALL」
M-7:Dizzy Gillespie/Straight, No Chaser from「TO DIZ WITH LOVE」 at Blue Note
M-8:Junko Onishi/Concorde from「JUNKO ONISHI LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD」
M-9:Jean-Michel Pilc/Landscape from「LIVE AT IRIDIUM, NEW YORK」

 2曲目を聴いていたときです。ジャッキー・マクリーンが書いた急速調の、それこそ蛇を思わせるくねくねとしたメロディ・ラインに特徴がある複雑な演奏です。見回すと、男性は音響を担当してくれたBOSE社の野辺さんとバーテンダーの修平さんとぼくだけ。
e0021965_1439312.jpg この光景は不思議でした。プロジェクターで写真も写していたので、店内はちょっと暗くなっていました。雰囲気はまるで60年代のジャズ喫茶です。ところが満席の店内にいるお客さんは全員が女性で、しかもかなりハードなジャズを少々俯き加減になって聴き入っています。これが男性中心なら違和感はないのですが、それがなんだか不思議な気分を感じさせてくれました。
 しかしこれはとてもいいことだと思いました。ジャズのイヴェントといえば、どうしても男性中心です。ジャズ喫茶にだって、なかなか女性だけでは行けません。それがジャズの敷居を妙に高くしている理由のひとつでもあるでしょう。
 どうして女性ばかりだったかといえば、イヴェントを企画してくださったのが数人の女性で、彼女たちの友人や知り合いが集まてくれたからです。こちらは恥ずかしいですが、こういう機会が持てたことは大変いいと思いました。
 図らずも「女性のためのジャズ講座」となってしまったわけです。こういう会はよそでもあるんでしょうか? 昨日集まってくださったかたは、かなりのジャズ・ファンから初心者までさまざまでした。もし、それぞれがジャズの楽しみかたのヒントでも掴んでいただけたらとても嬉しいですね。お世話してくださったともりんさん、Yurikoさん、JunJunJunさん、本当にありがとうございました。
 「BAR Le sept」では8月にもトーク・イヴェントを開く予定です。今回は、内輪の集まりになってしまいましたが、お店のお客さんで参加したいとおっしゃってくださるかたもいるとのことでした。次はそうしたかたたちも交えて、もう少しいろいろなかたにも参加していただければと思います。

 今週は金曜日に青山「Val」でDJイヴェントもやります。9時から明け方までやっていますが、ぼくは9時半から30分ほど回して、早めに引き上げます。入場無料ですから、お時間と興味があるかたは、ぜひお越しください。詳細はhttp://www.hi-fi-japan.com/まで。
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by jazz_ogawa | 2006-05-21 14:45 | Works | Trackback(2) | Comments(16)
e0021965_239252.jpg いまはまっているのがこのアルバムです。ニューヨークで買ってから3週間。この間、家のステレオで、iPODで、車の中で聴き続けていますが、いまのところまだ飽きていません。
 ブルース・スプリングスティーンは好きなアーティストではありますが、それほどの思い入れはありません。ぼくがロックから少し離れた時期に彼が人気を集め始めたこともあって、ちょっとすれ違ってしまったんですね。スプリングスティーンを聞くならディランのほうがいいや、という気持ちも働いていました。
 それでも常に気になる存在で、新作が出るたび買おうかどうしようか迷い、3回に2回は買うようなアーティスト、というのがぼくの中のスプリングスティーンです。しかし、このアルバムは発売が待ち遠しいものでした。国内盤は来週出る予定ですが、アメリカ盤は4月下旬発売となっていたので、ニューヨークで買える(!)とほくそ笑んでいました。
 しかもアメリカ盤はデュアル・ディスクです。ディスクをひっくり返せば映像も観ることができるのですから有難いことこの上ありません。ニューヨークではCDプレイヤーが壊れてしまったので、DVDプレイヤーしかありません。そんなぼくにぴったりの規格じゃありませんか。

e0021965_2317735.jpg それで、どうしてこの作品が待ち遠しかったかといえば、スプリングスティーンがピート・シーガーの歌を取り上げているからです。高校時代にキングストン・トリオのコピー・バンドをやっていたぼくにとって、ピート・シーガーの名前は一種の憧れでした。
 そのころは小遣いも少なかったため、キングストン・トリオのレコードだって2枚しか持っていませんでした。そのほかにもジャズやロックやR&Bのレコードもほしかったので、残念ながらピート・シーガーのレコードまでは手が回らなかったんですね。もっとも、当時、彼のレコードはほとんど日本で出ていなかったと思いますすが。
 ピート・シーガーのレコードをアメリカ盤で何枚か買ったのは大学時代です。もうフォーク熱も醒めていましたが、それでもどこかに置き忘れてきた感じが彼の歌やレコードにはありました。「青春時代の忘れもの」っていうやつです。そのころだって青春時代ではあったんですが。
 本気でピート・シーガーのレコードを集めるようになったのは1990年代に入ってからです。それにしても、かなりの数のレコードを彼は出しています。研究用のものがあったり、メジャー・レーベルから出した比較的コマーシャルな内容の作品があったりと、幅も広く、それだけにコレクター魂もそそられます。
 何年か前のことですが、ニューヨークで彼のフリー・コンサートがあって、滞在中だったことから観にいくこともできました。「わが祖国」ではお客さんを舞台に上げて、全員で歌いました。1960年代のフーテナニーを21世紀に体験できるとは思ってもみませんでした。

 スプリングスティーンもピート・シーガーに憧れていた口なんでしょう。彼は音楽に造詣が深いので、ルーツ・ミュージック的なこうした作品を作るのも自然の成り行きだった思います。ビデオを観ると、スプリングスティーンが本当に嬉しそうに歌っています。その姿に触れるだけでも、この作品を手に入れてよかったと思います。
 ビートを利かせたロックより、アコーディオンやフィドルやアコースティック・ギターが織り成すサウンドの中で、“ボス”の歌声が心地よく響きます。新しいサウンドなんかどこにもありません。それが却って心を和ませてくれるんでしょうか。
 手作りの音楽はやっぱりいいですよね。ジャケットにも心を奪われます。前にも書きましたが、ディランの『ベースメント・テープ』を彷彿とさせるデザインではありませんか。オールド・ファッションなサウンドと歌、そしてジャケット。でも、少しも古く感じません。「不朽の名作」とかよくいわれますが、こういう音楽にこそ「不朽」という言葉は使いたいと思います。
 ずっと聴き続けていける作品には残念ながら滅多に出会えません。その数少ない作品と出会えた喜びをかみ締めながら、今日も家への帰り道で耳を傾けていました。

 今週は土曜日に「NY Jazz探訪」を銀座でやります。昨日、選曲も済ませましたし、当日プロジェクターで映す写真も用意しました。いつものようにBOSE社が音響の手配もしてくれるそうです。この間の土曜日に同じ企画の1回目をしましたので、少しは気が楽です。狭いお店のようなので、寛いだ会になればいいなぁと思っています。
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by jazz_ogawa | 2006-05-18 23:17 | MHR | Trackback | Comments(5)
 田園調布は本当に久しぶりでした。実家が上野毛にあるので、昔はちょくちょく行きましたし、学生時代は友人も住んでいたので馴染みがある街です。でも「ライヴ・アンダー・ザ・スカイ」が行なわれなくなってからは、足が遠のいていました。多分20年以上は足を踏み入れていなかったと思います。駅前に東急スクエアガーデンがあるんですが、それも昔はなかったですし。
e0021965_16244864.jpg で、その北館の1階にあるレストラン「Chef's V」で、昨日は「NY JAZZ探訪」と題するトーク・イヴェントをやってきました。これは、昨年出版した『マンハッタン・ジャズ・カタログ』で協力していただいたJOJOさんが中心になって開催してくれたイヴェントです。
 JOJOさんは1日2000件以上もアクセスがある人気サイト「ニューヨーク・ラヴズ・ユー」(nylovesyou.com)を運営されているかたで、そのサイトで知り合いになったかたたちが集まってくれました。みなさんニューヨーク好きということで、ニューヨークのジャズ・スポットを紹介しつつ、代表的なジャズ・クラブなどで実況録音された演奏を聴くのがプログラムです。参考までに曲目を紹介しておきます。

【曲目】
M-1:Benny Goodman Quartet/I Got Ryhthm from「THE FAMOUS 1938 CARNEGIE HALL JAZZ CONCERT」
M-2:Art Blakey/Quicksilver from「A NIGHT AT BIRDLAND」
M-3:Yosuke Yamashita/Sunayama from「SAKURA LIVE」at Sweet Basil
M-4:Bill Evans/Mys Foolish Heart from「WALTZ FOR DEBBY」at The Village Vanguard
M-5:Oscar Peterson/Reunion Blues from「SATURDAY NIGHT AT THE BLUE NOTE」
M-6:Lonnie Plaxico/The Sidewinder from「LIVE AT JAZZ STANDARD」
M-7:Saori Yano/A Night In Tunisia from「PARKER'S MOOD~LIVE IN NEW YORK」at Smoke
M-8:Miles Davis/My Funny Valentine from「MY FUNNY VALENTINE」 at Philharmonic Hall
M-9:Thelonious Monk/Thelonious from「THELONIOUS MONK ORCHESTRA AT TOWN HALL」

e0021965_1625881.jpg 6時から7時半までの予定だったんですが、時間が超過しそうになったのは毎度のことです。最後は急ぎましたが、7時45分くらいに無事終了することができました。その後は、椅子を並べ替えて全員で会食です。ここからは「ニューヨーク・ラヴズ・ユー」のオフ会といった感じでしょうか。皆さんお知り合いらしく、和気藹々とした時間を過ごすことができました。
 聞けば、このGW中に何人ものかたがニューヨークに行っていらしたそうです。さすがニューヨーク好きの集まりという実感もあり、そういうかたたちを前にして、ぼくのニューヨーク話なんか退屈だったんじゃないかなぁという不安もあります。でも終わってみれば実に楽しい会で、あっという間にお開きの9時になりました。

 今週の土曜日はこの第2回目を、銀座にある「Bar le sept 銀座」で開催します。こちらは「ニューヨーク・ラヴズ・ユー」で知り合ったお嬢さん(?)たちが中心になって動いてくれています。有難いことです。
 そういえば、銀座のバーなんて30年近くも行っていません。ぼくには似合わないですから。田園調布といい銀座のバーといい、久しぶりの場所でジャズの話をするっていうのも不思議な気持ちですね。こちらも予約で一杯なんですが、どうしてもという方はご一報ください。
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by jazz_ogawa | 2006-05-14 16:30 | Works | Trackback(2) | Comments(12)
 昨日は南青山にある「Body & Soul」でTOKUのライヴを聴いてきました。6月から新しいイヴェントを始めることになり、9月に予定している2回目でTOKUをフィーチャーすることになっているからです。
 TOKUは相変わらずの気だるいヴォーカルというか、独特のTOKU節のような歌い方でいい味を出していました。ぼくが行ったのはセカンド・セットで、2月に発売した新作『ア・ブランニュー・ビギニング』からの曲が中心でした。
 このアルバムではMISIAの「Everything」で知られる松本俊明の書き下ろしも収録されていて、ジャズのジャンルを超えたTOKUならではの世界が展開されています。昨日のステージでも、全体にジャジーな雰囲気はあるのですが、そこにポップな味わいも加味され、ぼくの好きなタイプの歌や演奏の数々が披露されました。
 今回スタートさせるイヴェントは団塊の世代を対象にしているので、アダルト・オリエンテッドでわかりやすいジャズが狙いです。TOKUは主催者側の希望で決定したのですが、ぼくも彼のことは頭にあったので、昨日のライヴを観てイヴェントのイメージをある程度具体化させることができました。

 さて、そのイヴェントですが、6月から「Takao Ogawa Presents」のタイトルでジャズのライヴを始めます。1~2ヵ月に1回の割合で、都内のジャズ・クラブや小さめのコンサート・ホールなどを借りての開催です。
 主催は6月からスタートする小僧comという会社です。この会社は、そろそろ定年を迎える世代(つまりぼくたちの世代が対象)に向けてのビジネスをやる会社です。以下は同社によるイヴェントの紹介です。

 「小僧comはアクティヴなシニア(団塊世代)に向けたコミュニティ・ビジネスを展開していこうという会社です。今年の2月に会社を設立し、6月中旬からサービスサイトをオープンして本格的なサービスを開始する予定です。
 SNSなどを使ったウェブサイト上のコミュニティ・サービスはもちろんですが、現実的な場でのコミュニティ・サービス(様々なイヴェントやセミナーなど)の提供も目指しています。
 そのひとつとして、この年代にはたいへん関心の高いJAZZについても、積極的にイベントを開催していきたいと思っています」

 というわけで、下のようなライヴを1回目として6月10日(土)に原宿の「Blue Jay Way」で開催します。 →詳細はこちらwww.kozo-japan.com
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 入場料は1ドリンクつきで、わざと8400円と高めです。これは、通常のライヴとは差別化を図るためです。このライヴでしか聴けない趣向を凝らすのが「Takao Ogawa Presents」の役割です。
 演奏に先立っては、20分ほどお話をして、その後は演奏をはさんで木住野さんとのお喋りも盛り込む予定です(と勝手に決まっていました)。ジャズは知らないけれどちょっと興味があるシニア世代向けの内容を目指しています。つまり、ぼくのような世代にとって居心地のいい空間が作れればいいと思っています。突き詰めるなら、ぼくが楽しめて居心地のいい空間作りが目標です。自分が楽しめなくちゃ、意味ないですもんね。
 問題は20分のトークです。木住野さんとのおしゃべりは掛け合い漫才みたいになると思いますが、ひとりで20分、いったい何を話せばいいんでしょう? ボサノヴァとかジャズについての話を主催者側は期待しているんでしょうが、誰でもできる話をしたって仕方がないし、という気持ちもあります。何か面白いアイディアをお持ちの方は教えてください。

 ところで主催者側はシニア向けのイヴェントと位置づけていますが、年齢制限をしているわけではありません。若い方でも団塊の世代より上の方でも、興味のある方はぜひともご参加ください。
 ちょっと金額は高いですが、良質な音楽は生活にゆとりを与えてくれます。「仕事も大切ですが、一度しかない人生ですから楽しみも大切にしましょう」というコンセプトがこのイヴェントだと解釈しています。

 あと、明日はもうひとつの新イヴェント「NY JAZZ探訪」の1回目を田園調布でやってきます。こちらはお陰さまで定員一杯になっているようです。後日、その模様は報告しますので楽しみにしていてください。
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by jazz_ogawa | 2006-05-12 11:29 | Works | Trackback(2) | Comments(8)
e0021965_034711.jpg ニューヨークから戻り2日が過ぎました。翌日の朝から仕事があったので、お陰で時差ぼけもなくいまのところ順調です。もう昨日になりますが、「ブルーノート東京」でブランフォード・マルサリス・カルテットを観てきました。
 残念だったのはサッカーのキリンカップとバッティングしてしまったことです。このことをすっかり失念して、というか、そんなことは考えもせずに、しばらく前から「ブルーノート東京」へ行くスケジュールを組んでいました。それが唯一の心残りですが、その心残りを一瞬にして忘れさせてくれたのがブランフォードのステージでした。

 まずは1曲目がスタンダードの「ラヴァー」。テーマ・パートをラテンのリズムで演奏するアイディアが洒落ていました。次は、ブランフォードがいつも演奏するオーネット・コールマンの「ギッギン」。かなり力の入った演奏でしたが、もうひと息といったところでしょうか。
 3曲目はバラードで、ブランフォードのオリジナル「サウザンド・オータム」。この辺からエンジンがかかり、次のセロニアス・モンク作「ベムシャ・スイング」では余裕のプレイを披露し、最後がジェフ・テイン・ワッツの作の「Mr.J.J.」というプログラム。このラストが最高でした。
 相変わらずブランフォードは起伏に富んだフレーズをばりばりと吹きまくります。フレーズ作りは、はっきりいってあまり巧くありません。テクニックはあるのですが、どこかで行き止ってしまいます。ところが、これがぼくにはほどよいフェイントに感じられるんですね。
 ここがジャズの微妙なところです。フレーズがスムーズに流れればいいというものでもありません。それよりは味わいを重視したいと思います。ブランフォードの場合、その味わいがぼくにちょうどいい感じなんです。演奏する側と聴く側の相性があるとすれば、彼のプレイはぼくのテイストにぴったりなんですね。

 メンバーはピアノがジョーイ・カルデラッツォ、ベースがエリック・リーヴス、そしてドラムスがジェフ・テイン・ワッツ。このメンバーでもう何年になったでしょうか? 気心が知れている分、カルテットはいい形で奔放なプレイをしてみせます。こういうことができるのも、互いに信頼感があるからなんでしょう。これまた、ブランフォードのカルテットならではです。
 一体感ではなくて、あくまで自由に4人が演奏することで生まれる奔放な展開。長年一緒にやっていれば、演奏や構成はまとまってくるのが普通です。ところが、ブランフォードのカルテットは経験を重ねるたびに奔放になってきました。これはキース・ジャレットのトリオにもいえることですが、たまにこういうグループがジャの世界では生まれます。あとは、マイルス・デイヴィスのクインテットがそうでした。
 やればやるほど自由になっていく──これもジャズの面白さに繋がっています。ブランフォードが相変わらずそうした姿勢を保っていることで、ぼくはまたジャズの楽しさをひとつ味わうことができました。
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           右はジェフ・テイン・ワッツ

 今回は本業というほど大げさではありませんが、「メンバーのひとりが軽い椎間板ヘルニアになったから相談に乗ってほしい」とブランフォードから1週間ほど前にメールをもらっていました。日本に来る前は韓国で演奏していたんですが、そこで左の坐骨神経痛が出たそうです。それでMRIを撮ったから見てほしいという内容でした。ところがぼくはそのときニューヨークだったんで、結局最終日の昨日、楽屋で診察とは行きませんが、問診とアドヴァイスをしてきました。
 バンドは明日(もう今日ですが)サンフランシスコで1日だけ演奏してニューヨークに戻るというので、ニューヨークの病院でもう一度チェックをしてもらい、演奏を続けながら治療を行なうか、この際、手術を受けるかを決めたら? と、ちょっと曖昧な結論しか出せませんでした。
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 そういえば、ブランフォードも日本に来るたび、あっちが痛いこっちが痛いといってはぼくの大学病院でリハビリを受けたりしています。今回はぼくがいなかったため病院には来ませんでしたが、楽屋では「左肩が痛くて」(上の写真です)とぼやいていました。
 ニューヨークに留学していたときに宿題のレポートの英語をチェックしてくれた良き隣人のブランフォードですから、少しでも恩返しができるのは嬉しいことです。なんて、以前、ちょっと真面目に自分の気持ちを伝えたことがありました。
 そのせいかどうかはわかりませんが、それ以来、ときどき、来日するミュージシャンや日本に住んでいるアメリカ人の友人・知人が、ブランフォードの紹介だといって病院にやってきます。いったいどういう風にぼくのことを紹介しているのか、今度会ったら聞いてみたいと思います。
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by jazz_ogawa | 2006-05-10 00:13 | ライヴは天国 | Trackback(1) | Comments(7)
 これでニューヨークからのブログは最後です。ほとんどアパートで原稿を書いていたため、たいしたことは何もしませんでした。最近のぼくは、ニューヨークで大体こんな感じの日々を過ごしています。
 それでは、さっそく「勝手に改訂版」の続編を始めましょう。

①Rock In Your Head@157 Prince Sterrt(109頁)
e0021965_20213963.jpg ここは閉鎖ではないんですが、5月1日をもってブルックリンのウィリアムズバーグに引っ越してしまいました。店に行ったら左のような張り紙が貼られ、中を覗くとごみだらけの状態でした。その張り紙によれば、この場所で28年間営業していたそうです。
 ソーホーの目抜き通りから横にほんの少し入ったところに店はあったんですが、レントが払いきれなくなったのかもしれません。あの場所でレコード屋さんはきついと思います。「LPは死なず」などと張り紙をして、入り口のまん前に新着のレコードを置いていた気骨のある店だったんですが。
e0021965_2022292.jpg そういえば、ここでストーンズの『フォーティ・リックス』の色違いジャケットを見つけたときは小躍りしたものです。これは初回にほんのわずかだけ出荷されたもので、多分日本には入ってこなかったと思います。
 今度の店があるウィリアムズバーグは、マンハッタンとブルックリンを結ぶウィリアムズバーグ橋のたもとにある街です。この橋は、その昔、ソニー・ロリンズが活動を休止して練習していた場所として有名なところでもあります。
 なお、新しい店の住所は133 Roebling Avenue(at N.4th Street)で、地下鉄のLラインでBedford Avenue下車とのことです。

②St. Marx Music@80 East 10th Street(Between 3rd & 4th Avenues 212-253-5404)
e0021965_20222773.jpg 引越しやクローズが相次いでいますが、新しいレコード店も見つけました。ここは「Academy LPs」の斜め前にあります。ジャズとロックが中心で、CDとLP、あとはDVD、ポスター、コミックなどもありました。CDとDVDは新品と中古の両方を扱っていますが、ジャズのLPは中古のみで、ジャズのCDはないようです。
 ジャズもロックもLPならそこそこ珍しいものがあって、値段は10ドル前後が中心でしょうか。向かいの「Academy LPs」には質・量共に到底かないませんが、それでも1000枚くらいはジャズのLPがありますし、ロックはもう少し多いようですから、ついでに寄ってみるくらいのつもりならいいかもしれません。

③Jammyland@60 East Third Street(Between 1st & 2nd Avenues 212-614-0185)
e0021965_20295120.jpg ここは以前からあったんですが、レゲエの専門店なので『カタログ』では紹介しませんでした。しかし、小さな店ながらレゲエのCDとLPはかなり充実しています。ジャズと違ってレゲエの作品はそれほど多くないので、ここに来ればレゲエ・ファンはかなり満足できるんじゃないでしょうか?
 そのほか、レゲエ関連の書籍や小物も置いてありますし、「New York's Complete Source For Reggae」のキャッチコピーはだてでないと思います。

④The Bacchus@60 2nd Avenue(Between 3rd & 4th Street 212-777-2840)
e0021965_20232591.jpg 最後はジャズを聞かせるレストランです。「Bona Fides」というイタリアン・レストランの中にあるジャズ・コーナーで、毎晩8時、9時半、11時のスリー・セット、生演奏が聴けます。『ヴィレッジ・ヴォイス』にも広告を打っているくらいですから、無名のミュージシャンだとしても、そこそこは聴けるんじゃないでしょうか? まだ行ってことがないので、食事も含めて何ともいえませんが。
 システムはノー・カヴァーの2ドリンク・ミニマムです。イースト・ヴィレッジのちょっと南寄りのところにある店ですが、この周辺は結構遅い時間まで賑わっています。

⑤しつこくスターバックス
e0021965_20234221.jpg 昨日行ったサード・アヴェニューと29丁目の角にある店は、例のステッカーは使われていませんでした。それはそれとして、カップのコメントがなかなかいいです。これは「初心忘れるべからず」といったところでしょうか。プロのスポーツ選手だけでなく、すべてのひとに繋がる言葉ですよね。
 これってお客さんのコメントのようですから、有名人だけでなく一般のひとの声もここに紹介されるんですね。フォーチュン・クッキーに入っている格言より、スターバックスのコメントのほうが俄然好きになりました。もう少し早く気がついていれば、スターバックスに通う回数ももっと増えていたでしょう。

★さらに追加:この間は、注文するとステッカーが貼られると書きました。その後、さらに別の店にいったところ、注文の内容、担当者名、日時のほかに、オーダーしたひとの名前まで聞かれ、それもプリント・アウトされていました。もっともスペルを間違えてOGAVAになっているのがいかにもニューヨークですが。
 これまではレシートもくれず、割といい加減な感じでしたが、ここに来て急に細かくなったのは、注文を巡るトラブルが多かったのかもしれませんね。

 ということで、今回はこれで終りです。長々とつき合っていただき、どうもありがとうございました。
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by jazz_ogawa | 2006-05-06 20:40 | NY Mapができるまで | Trackback(3) | Comments(10)
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