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川隆夫の JAZZ BLOG
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©Kozocom (photo by Shuichi Kasahara)
職業:JAZZジャーナリスト、整形外科医、DJ

ニューヨーク大学の大学院在学中にアート・ブレーキーやマルサリス兄弟など数多くのミュージシャンと知り合う。帰国後、JAZZを中心に約3000本のライナーノーツを手がけると共にJAZZ関連の著書を多数出版。ブルーノートの完全コレクターとしても有名。その他、マイルス・デイヴィスやブルーノートの創始者アルフレッド・ライオンの来日時の主治医を勤めるなど、現役の整形外科医としても第一線で活躍中。

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■TALK EVENT■
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「3月文化講演会」@神戸
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TEL: 078-265-6595

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 昨日は成城クラブの「成話会」でお話をさせていただきました。50名くらいの来場を想定していたのですが、お蔭様で70名を超えたと聞きました。ご来場の皆さん、本当にありがとうございました。

 大半が同級生だったこともあり、いつもの「ONGAKUゼミナール」とは内容を変え、成城時代からこれまでの自分を振り返りつつ、なぜジャズが好きになって、どうしてぼくが皆さんの前でこうしてお話をしているのか、そんな内容で2時間、と考えていました。
 ところが、いつものことながら話が長くなり、前半で何とか大学を卒業するところまで、後半では音楽もほとんど聴かず、飛ばしに飛ばして、留学時代から音楽の仕事をするようになり、マイルス・デイヴィスとアルフレッド・ライオンとの出会いまでで終わってしまいました。ここから自慢話大会をしようと思っていたのですが、それはいずれまたということで、時間切れです。

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 やっぱり、無謀でした。正味1時間40分で、脱線ばっかりするぼくが自分のことを振り返られるはずがありません。それでも、大半はお世辞でしょうが、いろいろな方から「面白かった」、「小川がそんなことをしていたとは知らなかった」といわれて嬉しかったです。
 ぼくは、大学が成城じゃなかったものですから、いつの間にか同級生と疎遠になってしまいました。中学のクラス会は一度も開かれていませんし、小学校も高校のクラス会も数えるほどしか開かれていません。それで、昨日は高校以来初めて会うひとも何人かいました。

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 それにしても本当に嬉しかったし、楽しかったですね。この会がきっかけで、昔の友人が集まることになったのですから。成城時代にはクラスが違うので話をしたことのなかった同級生も何人か来てくれました。この会のためだけに、下田からわざわざ駆けつけてくれた友だちもいましたし。それから、同級生じゃありませんが、成城の大先輩から後輩まで、そして成城とは関係のないひとも来て下さいました。ありがたいことです。
 ぼくは中学のときに初めてバンドを作ったんですが、そのときのドラムスと、それこそ高校卒業以来、40年ぶりくらいで会いました。嬉しかったのは、彼がいまも若い連中とバンドを組んでいて、それもヘヴィメタ・バンドだからと、体を鍛えていることです。
 実は、数日前にも、同級生が渋谷のライヴ・ハウスで歌をうたうというので観にいったのですが、そのときは、思いもよらぬことに、彼女だけでなくほかにも同級生がふたり、それぞれ弾き語りでステージに登場しました。ぼくはみんなと疎遠になっていましたが、成城の出身者って結束が固くて、彼らはそうやってずっと付き合っていたんですね。驚いたことに、その場に高校の担任だった先生も来たことです。

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 付き合いの悪いぼくも、最近は縁あって少しずつ彼らの仲間に加えてもらうようになりました。「ONGAKUゼミナール」に来てくれるひともいますし。それで、その渋谷のライヴを観て、とても触発されたんですね。さっそく、翌日、ギターを引っ張り出して、少し弾いてみました。でも、ここしばらく首の調子が悪くて、右腕がしびれ、握力も少し落ちているので、ギターを弾くのはちょっときついですね。もっとも、それ以前に腕が錆びついているので、お話にもなりませんが。

「成話会」のあとは懇親会になりました。2時間の予定が3時間近くになりましたが、残ってくれた全員ひとりひとりとゆっくりお話をすることができて、あっという間に終了の時間が来てしまいました。この会を企画してくれた成城クラブの理事で同級生の浜野さん、たくさんの友達に声をかけてくれたかやさん、それから集まってくれた皆さん、本当にありがとうございました。キララ社の前島さん、同級生で平凡社の及川君もお疲れ様でした。プロジェクター担当のゴメスもありがとね。

 昨日も強く感じたのですが、ぼくは本当に周りのひとに恵まれていますね。ぐうたらで適当に毎日を過ごしてここまで来ましたが、それでもなんとかやっていられるのは、周りの皆さんのお陰です。そんなことをしみじみと思いつつ、みなさんが仲良く楽しそうに歓談している姿に触れて、なんて幸せな人生なんだろうと感慨に浸っていました。それでぼくは次の予定があったため、うしろ髪を引かれつつ成城クラブをあとにしたのですが、懇親会後も残ったひとたちで2次会をやったみたいです。
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by jazz_ogawa | 2008-06-29 11:04 | ONGAKUゼミナール | Trackback(1) | Comments(8)
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 ようやくぼくのところに刷り上った本が届きました。先日の『ジャズマンが語るジャズ・スタンダード120』(全音楽譜出版社)に続いて、『決定! JAZZ黄金コンビはこれだ!!』(河出書房新社)と『ザ・ブルーノート、ジャケ裏の真実~1500番台ライナーノーツ全解読』(講談社)です。
『黄金コンビ』は本日、『ザ・ブルーノート』は明日から店頭に並ぶことになっていますが、配本の関係で若干ずれることもあるでしょう。さきほど確認しましたが、Amazonではどちらも受け付けています。

『黄金コンビ』はこの間宣伝しましたから、今回は『ザ・ブルーノート』の宣伝をしておきます。6月30日の朝日新聞・夕刊に打つ広告のキャッチ・コピーは「ジャズの世界的名盤のジャケットの裏に、アメリカの評論家は何を書いていたのか!?」

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 今回の本は、このコピーからもわかるように、オリジナルのライナーノーツに書かれていた興味深い内容を拾い出し、そこから当時の評価やジャズの状況がどんなものだったかを書いたものです。
 とはいっても、それがすべてではなく、その上でアルバムの紹介になることもいろいろ書いてみました。簡単にいえば1500番台のディスク・ガイドですが、ライナーノーツの文章を引用しながら、ぼくなりの解釈でそれぞれのアルバムを紹介したという形でしょうか。

 ブルーノートのライナーノーツって、ぼくたちが知っているいろいろなエピソードの出典に結構なっているんですね。過去にいろいろなひとが、さまざまなことをここから引用してきました。それがいつの間にか定着したようです。出典は不明になっていることが多いんですが、改めてすべてのライナーノーツを読んでみて、そのことを実感しました。ただし、それらをこの本で紹介してもあまり意味はないので、この本ではどうでもいいエピソードやトリビア的なものを優先しています。
 ブルーノートの場合、ひとりのアーティストが何枚もアルバムを出しているので、筆者が違っても同じような情報が繰り返し出てくるケースがあります。たとえばジミー・スミスは1500番台の98枚中に13枚の作品を残しています。そうなると、どうしても内容が似てくるので、それらの中から興味深いものを探して引用するのは意外と大変でした。
 でもこの本を読んでいただければ、1950年代半ばのニューヨークにおけるジャズ・シーンがどんなものだったか、当事者が書いた文章を紹介しているので、ある程度は実感してもらえるかもしれません。
 それからもうひとつ。帯には平野啓一郎さんがコメントを寄せて下さいました。大作『決壊』の出版準備でお忙しい中、ありがたいことです。
 ところで、今年はアルフレッド・ライオン生誕100周年です。それもあって、この本を出しました。彼がいなければ、多くのジャズ・ファンもそうでしょうけれど、これほど楽しい人生は過ごせませんでした。ですから、この本にはライオン・トリビュートの思いも込めています。

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 それで、これもブログで紹介しましたが、「ライオン生誕100周年特集」のジャズ批評144号が昨日発売になりました。こちらは巻頭で、EMIミュージック・ジャパンの行方均さんとした対談が載っています。
 この本、口絵のカラー・ページが凄いです。ライオンがプロデュースしたアルバムのすべてが、10インチLPも含めて掲載されています。写真が小さいのは残念ですが、快挙といっていいでしょう。これだけでも見ごたえ十分ですから。

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 今月はもう1冊、本が出ることになっていました。ところが、こちらは諸般の事情で遅れています。印刷所に回っているということなので、刷り上るのは間違いないと思いますが、どうも流通の点でトラブルが生じているようです。
 新しい出版社なので、いろいろといじわるをされてるみたいです。問題もあるんでしょうが、みんなで仲良くやればいいのにねぇ。でも、ビジネスとなればそうもいかないのでしょう。それでも、ぼくだったら敵に塩を送りますけどね。
 それで、晴れて出版の暁には、こちらも宣伝させていただきます。
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by jazz_ogawa | 2008-06-25 12:34 | Works | Trackback(1) | Comments(10)
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 先週に引き続き、昨日は封切り初日の映画を観てきました。以前の作品も好きで、レーザーディスクで全部持っていて、当時は何度か繰り返して観ていました。そして、今回、久々のキャラクター復活です。歳はとりましたが、相変わらずの不死身ぶり(当たり前ですが)に、絶対切り抜けることはわかっているにもかかわらず、いい歳してハラハラ・ドキドキしてきました。

 テンポのよさがスピルバーグの持ち味でしょうか。とくに、オートバイと自動車がチェースする街中のシーンはお手のものといった感じで、しかもこちらの期待をほんの少しだけ上回る展開となる名人芸でした。この「ほんのちょっと」というのがポイントでしょうか。ついていけないほどじゃないところがスピルバーグ映画の面白さでしょう。

e0021965_10564452.jpg こういう映画、やっぱり大画面で観るのがいいですね。サラウンド効果も満点ですから、わが家の42インチとは大違いです。でも、映画を観終わったあと、手持ちのTouchで『風と共に去りぬ』を観ているぼくも変ですが。

 インディ・ジョーンズもそうですが、このところ『ランボー』とか『ダイ・ハード』とかで昔のキャラクターが復活しています。ネタ切れなのかなんだかよくわかりませんが、ぼくは単純に楽しめちゃうんで大歓迎です。もっとも『ランボー』は過去の作品も観ていませんので今回もパスしました。『ロッキー』は全部観ていますが。

 キャラクター復活なら、ぜひともショーン・コネリーの007も作ってほしいですね。このところ、彼が出た007のDVDを全部観たこともあって、是非とも老境に差し掛かった007が観てみたいものです。日本映画なら、当然『若大将シリーズ』です。

 ぼくは、音楽もそうですが、リユニオン物が好きですね。バンドもリユニオンには目がありません。自分でも34年ぶりに『ブルースエット』を復活させた前科がありますし。内容は二の次です。顔が揃えば、その時点で満足してしまうところがあります。昔のキャストやメンバーやスタッフがまた一緒に何かをする。そのことに、胸がわくわくするからです。それで結果がよければ最高ですが、それはたいした問題じゃありません。

 そこで、昨日観た『インディ・ジョーンズ』です。これは十分に楽しめました。この先にも期待が持てそうな終わりかたでもありましたし。あと何回か続けば、そのたびに楽しめそうです。
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by jazz_ogawa | 2008-06-22 11:00 | 映画&DVD | Trackback(1) | Comments(2)
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 3部作も書き終わってしまい、このシリーズ、とりあえず続編を出すつもりはありません。しかし、暇を見つけてはしつこく書き続けています。というか、昔の原稿をあさっては、この本の書式にのっとってまとめているのが本当のところですが。いつか、ある程度の本数になれば一冊になるかもしれませんし。
 そういうわけで、眠っている記憶を呼び覚ますべく、別に暇じゃないんですが、ちょっと1本書いてみました。今回はセルジオ・メンデスで、元ネタは『スイングジャーナル』(だったかな?)で発表したインタヴュー記事です。

「ブラジル '66で人気者にはなれたけれど、わたしとしてはそれ以前にやっていた音楽にも強い誇りを持っている。とくにアメリカに出て、アトランティックのネスヒ・アーティガンに勇気づけられたことは忘れられない」
 そもそもの始まりは、一九六一年にハービー・マンがブラジルにわたり、アントニオ・カルロス・ジョビンやジョアン・ジルベルトたちとレコーディングを行なったことだ。そうしたセッションのひとつに若き日のセルジオも起用されたのだった。そのレコーディングがアメリカでアトランティックから発売され、それが切っかけで翌年には「カーネギー・ホール」で初の本格的なボサノヴァ・コンサートが開催された。
「そこにわたしも呼ばれて、すっかりアメリカが気に入ってしまった。その後はブラジルの文化使節として世界中を回り、日本にも六四年に来ている。そのときのグループがボサリオ・セクステットで、世界ツアーが終わったこの年、アメリカにグループで移り住むことにした。当初はボサリオ・セクステットで活動していたんだが、アトランティックの肝入りでニュー・グループを結成することになった。それがブラジル '65だ。メンバーはオーディションで選んだり、以前の仲間だったりで、ボサノヴァをできるだけ多くのひとに広めたいというのがグループ結成の動機のひとつだ。ネスヒも全面的にバックアップしてくれて、それでニューヨークからサンフランシスコまで、各地のクラブをサーキットした。最終地のサンフランシスコでは「エル・マタドール」でライヴ・レコーディングも行なった」

e0021965_20122345.jpg『エル・マタドールのブラジル '65』がそのアルバムだ。この時点で、セルジオの音楽はまだオセンティックなボサノヴァ・サウンドを追求するものだった。翌年に結成されたブラジル '66のポップなサウンドとはかなり様相を異にしている。
「ブラジル '66はレコード会社の意見を取り入れて、ああいうサウンドになった。お陰で大ヒットはしたけれど、自分の求めていた音楽とは違ったんで、それほどハッピーになれなかった。それよりアトランティック時代のほうがやりたいことをした充実感がある。わたしは本質的にはジャズ・ピアニストだと思っている。だから『マイ・フェイヴァリット・シングス』が吹き込めたことを誇りにしている。それとイージー・リスニング・ジャズ的な内容ではあるけれど、『グレイト・アライヴァル』も録音できてよかった。ゴージャズなオーケストラをバックにピアノが弾けるチャンスなんて、めったにないことだからね」
 メンデスは遠い昔を懐かしむように、アトランティック時代のことを問わず語りで話してくれた。こちらが持参した当時のアルバム・ジャケットを見て、さっそく隣室のメンバーにそれを自慢しにいく。そんな彼は、本当にアトランティック時代のことを快く思っているのだろう。六〇年代に五枚のリーダー作をこのレーベルで残したあとのセルジオは、ご承知のようにブラジル '66で大ブレークした。その彼が一度だけ古巣のアトランティックでレコーディングを行なうことになった。それが七七年に吹き込んだ『ペレ』だ。

e0021965_20124156.jpg「あれはペレが作った映画のサウンドトラックだ。彼とは昔からの知り合いで、あるとき直接電話がかかってきた。自分の映画に音楽をつけてくれないか? ってね。ペレからなにか頼まれて断れるひとがいるかい? あれはハッピーな仕事だったね。しかも、その中からヒット曲も生まれたんだからラッキーだ。ハッピーでラッキー。このふたつがあれば最高だ。あのときもネスヒが陰でずいぶん協力してくれた。本当に彼はわたしの恩人だ。アトランティックでの仕事は、だからいつも楽しいものになる。いい思い出しか残っていない。しかも今度は日本のアトランティックがあの時代の作品を全部CDで発売してくれるっていうんだからまたまたハッピーじゃないか。本当に気分がいいよ。なんなら、日本のファンのためにスペシャル・レコーディングをしてもいい。幸いレコーディングの契約がいまは切れているからね」
 と、話があらぬ方向に進んでしまったが、セルジオはアトランティック時代を振り返って、これまでで一番自分の気持ちに忠実な形でアルバムが作れたことを強調していた。当時の作品をいま聴いてみると、たしかに無名の新人だった彼に、このレーベルはさまざまなセッティングでの吹き込みをさせている。それだけ期待が大きかったのだろう。

e0021965_2013057.jpg「ボサノヴァが誕生しなかったら、わたしはどんな人生を送っていたかわからない。アントニオ・カルロス・ジョビンとたまたま知り合っていたのもラッキーだった。彼から影響を受けて、わたしは自分のスタイルや音楽性を発展させることができた。それをアメリカに持ち込んだだけの話だからね。時代も味方してくれたんだろう。さまざまな条件がわたしをいい方向に導いてくれた。そうして今日のわたしがここにいる。考えてみれば、面白い人生を送ってきたものだ」

 このあと、本ではアルバム紹介が入ります。ここは、高校時代にさんざん聴いたブラジル '66の2作目『分岐点』で決まりでしょう。
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by jazz_ogawa | 2008-06-18 20:18 | 愛しのJazz Man | Trackback(1) | Comments(11)
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 昨日の駒場「ORCHARDバー」はビル・エヴァンス特集ということで、彼が残した作品をみなさんと一緒に聴きました。サッカーのワールド・カップ予選があったため、スタートは9時半から。遅い開始にもかかわらず、お集まりいただいたみさん、どうもありがとうございました。それから最後はばたばたしてしまって、みなさんにあんまり挨拶ができず、大変失礼しました。

 事前に予測したとおり、予定した曲は全曲かけらえませんでした。そのことに関しては最初から居直っていて、曲目リストの末尾に「どこまで聴けるか、乞うご期待ということで今回もいきましょう」と書いておきました。
 そういうことなんです。いつも、「こんな曲を聴きたいな」と考えて選曲しますが、予定は未定ですから、「行けるところまで行ってみましょう」というのがぼくのスタイルです。

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 それで昨日は、このような曲を聴きました。

1.アイ・ラヴ・ユーfrom『ニュー・ジャズ・コンセプションズ』(リバーサイド)
2.ブルー・イン・グリーンfrom『マイルス・デイヴィス/カインド・オブ・ブルー』(ソニー)
3.枯葉from『ポートレイト・イン・ジャズ』(リバーサイド)
4.ワルツ・フォー・デビーfrom『ワルツ・フォー・デビー』(リバーサイド)
5.マイ・ファニー・ヴァレンタインfrom『ビル・エヴァンス&ジム・ホール/アンダーカレント』(UA)
6.あなたと夜と音楽とfrom『インタープレイ』(リバーサイド)
7.ザ・タッチ・オブ・ユア・リップスfrom『モントルー・ジャズ・フェスティヴァルのビル・エヴァンス』(ヴァーヴ)
8.マイ・フーリッシュ・ハートfrom『ミッチェル・フォアマン/ナウ・アンド・ゼン~ビル・エヴァンスに捧ぐ』(BMG JAPAN/Novus-J)
9.これからの人生from『フロム・レフト・トゥ・ライト』(MGM)

 用意したのは13曲ですが、9曲で時間切れ。これでも15分くらい超過しましたから、いつも通りに2時間やっても、あと1曲か2曲をかけるのが関の山。もとより全部聴くのは不可能でした。ぼくの場合はこんなものなので、これからもそのつもりでよろしくお願いします。

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 今回も、前回に引き続き「あまりにも寂しい集客」ではありませんでした。そういうわけで、次回も開催します。ありがたいことです。

 昨日かけた8曲目、これ、ぼくがプロデュースしたアルバムです。それで、次回は自分のプロデュース作品を聴いてもらうのもいいかなと思っています。自慢話がいっぱいできますし。それにこのゼミナール、いつまで続くかわかりません。毎回が最後のつもりですから、やっておきたいことはやっておこうと思います。

 ところで「ONGAKUゼミナール」とは違いますが、今月は28日の土曜日にも午後2時から数寄屋橋の「成城クラブ」でトーク・イヴェントを開きます。昨日はその打ち合わせも午後にしてきました。こちらも興味のあるかたはぜひご来場ください。

06.28. Talk Event『第4回 成話会』(ジャズを楽しむ) @成城クラブ サロン(東京都千代田区有楽町2-2-1 ラクチョウビル10F) 14:00~16:00 会費:3000円(飲み物とお茶菓子つき)
要予約:成城クラブ(03-3572-4777)まで

 基本はいつもと同じスタイルですが、テーマはこれまでの自分を振り返りつつ、ジャズの楽しさを語るといったものです。そんなことがうまくできるかどうか、まったく自信がありません。支離滅裂な内容になるとは思いますが、会場がいつもより広いので、お時間と興味のあるかたはぜひどうぞ。
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by jazz_ogawa | 2008-06-15 11:36 | ONGAKUゼミナール | Trackback(1) | Comments(6)
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 この本はきちんと紹介(宣伝)していなかったと思いますが、これも今月中に出る予定の1冊です。河出書房新社からはこれまでに4冊出させてもらいましたが、今回はコンビネーションにスポットライトを当ててみました。
 この手の本はこれまでになかったと思います。といっても、別に画期的なことを書いたわけじゃありません。マイルスとコルトレーンの相性はどうだとか、ジョー・ザヴィヌルとウエイン・ショーターの二人三脚はどうなったかとか、そんな類のものをテーマに、33のコンビについて書いてみました。

 対象としたのはモダン・ジャズ以降です。それ以前のコンビについても候補はありましたが、範囲を広げると焦点がぼやける気がしたので、今回はモダン期以降に限定しました。そのほうが書きやすいですし。

 ですから、最初はパーカーとガレスピーです。そこから始まって、あとは以下のようなコンビについて触れています。

 バド・パウエル&マックス・ローチ
 セロニアス・モンク&アート・ブレイキー
 ファッツ・ナヴァロ&ハワード・マギー
 アート・ブレイキー&ホレス・シルヴァー
 J.J. ジョンソン&カイ・ウィンディング
 クリフォード・ブラウン&マックス・ローチ
 ポール・チェンバース&アート・テイラー
 リー・モーガン&ハンク・モブレー
 トミー・フラナガン&エルヴィン・ジョーンズ
 セロニアス・モンク&ジョン・コルトレー
 ベニー・ゴルソン&カーティス・フラー
 マイルス・デイヴィス&ギル・エヴァンス
 オーネット・コールマン&ドン・チェリー
 エリック・ドルフィー&ブッカー・リトル
 リー・モーガン&ウエイン・ショーター

 などなど、ありきたりのものばっかりです。でも、こういうのって凝ってみたところで意味がないでしょう。それで最後はウイントン・マルサリス&ブランフォード・マルサリスやジョン・スコフィールド&ジョー・ロヴァーノあたりまでいきます。

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 本文中に代表作が登場しますし、最後に1枚だけ推薦盤を紹介していますが、いわゆるディスク・ガイドではありません。一般的なディスク・ガイドのほうが売れるみたいですが、そういうのをぼくが書いたところでしょうがないでしょう。
 というか、ぼくはよくある名盤ガイドって書いたことがなかったと思います、たぶん。同じ出版社から出した『名盤100』も、よくあるディスク・ガイドとはスタイルがまったく違いますし。ただし、大きな括りでいうならあれもディスク・ガイドですし、これまでに書いてきた本はたいていがディスク・ガイドになりますが。
 でも、最初にディスクありきではなく、アーティストやレコーディングの裏に隠された事実がぼくの場合は優先されます。2月にヤマハから出した『知ってるようで知らないジャズ名盤おもしろ雑学事典』も、ディスク・ガイドといえばそうなんですが、アルバムの内容にはまったくといっていいほど触れていません。今回の本もそういうタイプの1冊です。そのうち書店に並ぶと思いますが、ちょっと手に取ってもらえたら嬉しいです。
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by jazz_ogawa | 2008-06-11 23:36 | Works | Trackback | Comments(10)
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 いま帰ってきたところですが、今日の午前中はちょっと涼しくてウォーキングにはちょうどいい具合でした。GWに行ったニューヨークのツケが回ってきたのか、先日の血液検査で血糖値とヘモグロビンの数値が少し高くなっていたので、このところ食事とウォーキングにいつも以上の注意を払っています。
 本当は週に2回くらい無酸素運動もしたいのですが、2ヶ月ほど前から左腕のシビレと疼痛が出てきて、それもままなりません。レントゲンでチェックしましたが、頚椎にかなりやっかいな問題があって、取りあえず職場で毎日治療をしています。このままひどくなれば手術も考えなくてはなりませんが、現状維持ができれば、症状は辛いですが、このままでもいいかなと考えています。
 歳は取りたくないものですが、あっちこっちにガタが来る年齢になったということです。これで少しは患者さんの苦しみもわかるようになったと考え、この病気とも付き合っていくことにすればいいでしょう。自分でこまめにチェックができますし。
 ここのところ、ニューヨークのアパートのことでも問題があったりで、いつものことですが、次から次へといろいろなことが起こります。楽しいことがあれば、楽しくないこともある。それでバランスが取れているんでしょう。
 楽しくないことはなるべく忘れるようにしていますし、楽しくないことが起こると、その倍くらいはやりたいことをやってやれと思う性分ですから、ますます我が儘になってきた今日このごろです。

 脱線しましたが、昨日は封切り初日の『ザ・マジックアワー』を観てきました。映画館が家から歩いていける距離にある(といっても30分弱かかりますが)のは幸せなことです。結局、30分では中途半端なので、麻布十番あたりをぐるぐる回り、トータルで1時間ほど歩きました。
 相変わらず三谷幸喜の映画は面白いですね。映画好きなことが随所で示されている内容で、しかも徹底的なドタバタ。最後まで、妙なことを考えずに楽しんできました。チョイ役でいろいろなひとが出ているのも楽しかったです。ストーリーはいい加減でナンセンス。
 それでも最後は、かなり強引なところもありましたが、きれいにまとまって大円団です。東宝映画は、若大将シリーズやクレイジー・キャッツ物などでこの手のものには伝統があります。その手法の現代版といったところでしょうか。
 映画として観たら、いろいろ指摘するところはあるかもしれません。でも、そんなことをいうのは野暮というもの。世代を超えて笑い転げられる映画なんて、作れといわれたってそう簡単にできるものじゃないでしょう。2時間半近くになるんでしょうか、とにかくその間、いやなことを忘れてすっかり楽しんでしまいました。

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 今週は土曜日に駒場東大前の「ORCHARD Bar」で「ONGAKUゼミナール」を開きます。当初は21時スタートとしていましたが、当日はサッカーのワールドカップ予選がありますので、終了後の9時半スタートとします。
「ORCAHARD Bar」のお客さんにはサッカー・ファンが多いので、お店でも大型スクリーンで試合が観れます。そういうわけで、当日は試合開始前から店はオープンしていますので、そちらのファンの方もぜひどうぞ。
 21時半スタートですから、終了時間はどうしましょうか? 一応いつもと同じで23時に予定しておき、これまたいつもと同じで適当に進め、適当に終わる方式で行きたいと思います。興味のあるかたはぜひご参加ください。

6月14日:『小川隆夫ONGAKUゼミナール』(第19回:ビル・エヴァンス特集) 
@駒場東大前Orchard Bar 21:30~23:00 チャージ1500 円(w/1 drink)
問い合わせ:03-6410-8324(http://blog.livedoor.jp/nobby2jack/archives/cat_50015795.html
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by jazz_ogawa | 2008-06-08 11:38 | 映画&DVD | Trackback(3) | Comments(10)
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 再発や編集ものばかりですが、また少したまってきたので紹介しておきます。

 トップの写真はリンゴの『5.1 Collection』(KOCH)で、アメリカ盤しか出ていないようです。ビートルズの『ラヴ』に触発された彼が、「自分も5.1チャンネルのサラウンド盤を出したい」と希望して発売になったとのこと。リンゴって、これまでにもDual DiscやUSB仕様でアルバムを出しているので、通常とは違うメディアに興味があるんでしょうか?
 内容は、近年のアルバム『Choose Love』と『Ringo Rama』からの選曲で構成されています。Disc 1が5.1チャンネルにミックスされたDVDA(DVDオーディオ・ディスク)で、Disc 2が同じ内容の通常ステレオ盤です。ただし、DVDAにはボーナス・トラックとして、最後に「I Really Love Her」が追加されています。
 サラウンド・マニアとしては、リア・チャンネルの音量の低さにちょっと不満はありますが、これでまたコレクションがひとつ増えたと考えれば大歓迎です。でもこういう商品、どのくらい売れるんでしょうね?
 リンゴでいうなら、このあと、6月18日にアップル時代の4作品が初めて紙ジャケ化されます。『リンゴ』のブックレットも正確に再現されるらしいんで、楽しみです。

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 これは5月18日に発刊されたイギリスのThe Mail On Sundayです。この新聞、去年もプリンスの新作を付録にしていましたが、今回はポールの『Memory Almost Full』が無料配布されました。こういうことをやってくれるイギリスの新聞はうらやましいですね。
 ポールのこのアルバム、イギリスでは10万枚売れたそうです。ところがこの新聞の発行部数は200万部。全部に付録がつくのか、一部だけかは知りませんが、相当の枚数がリスナーの手元に届くことになります。これって、プロモーションなのか自殺行為なのか。とにかく、ここにもう1枚、コレクションしなければいけないものが増えました。

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 それがこれです。ペーパー・スリーヴ入りです。右上にmplとThe Mail On Sundayのロゴ・マークが入っているところなんか、いいじゃないですか。

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 裏にはFor Promotion Use Only-Not For Saleの文字も。こういうの、嬉しいですね。
 ところで、ポールは新作をイースト・サセックスの自宅でレコーディングしているみたいです。6月1日にはリヴァプールでコンサートを開きましたし、夏には新作をリリースしてツアーに出る話もあるようです。

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 こちらは、数日前に届いたトラヴェリング・ウィルバースの2枚。これはUS盤で、EU盤は10日発売なので未着です。今回は、この前に出たボックス・セットと同じ内容で、それぞれ2曲のボーナス・トラック+スリップ・ケース仕様というもの。日本盤は出ないんでしょうか?

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 最後は『ロールド・ゴールド・プラス~ヴェリー・ベスト・オブ・ザ・ローリング・ストーンズ』。早くも再発ですが、今回はSMH盤です。もったいないので、未開封のまま保存しておきます。
 高音質が謳い文句のSMH盤ですが、本当に音がいいのか、節穴の耳仕様になっているぼくにはわかりません。ジャズの作品もいろいろ出ているので聴いていますが、そもそもオーディオ装置が貧弱なんで、ぼくにはあまり関係ないみたいです。でも、SMH盤は限定発売なので、わりと売り切れてしまうものが多いようです。ジャズならそれもわかりますが、これってロック・ファンにもオーディオ・マニアが多いってことかしら?
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by jazz_ogawa | 2008-06-05 20:34 | マイ・コレクション | Trackback | Comments(2)
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 前から気になっていたこの映画を、おとといの土曜日に渋谷で観てきました。ディランを6人の役者が演じるという、話だけを聞くとどんな映画だかイメージしにくい作品です。それで、実際に映画を観たら、やっぱりちょっとシュールでわかりづらかったというのが本音です。

e0021965_10405259.jpg 6人のディラン役の中では、一番ストレートにディラン的だったのが、女性のケイト・ブランシェットでした。このひとのなりきりぶりはなかなかです。彼女をフィーチャーした場面も、実際のことに近いものが多かったですし。
 一番意味不明なのはリチャード・ギアのディランでしょうか。時代設定もよくわかりませんし、キャラクターとしては、こういう一面というか、こういうことを考えているディランもいるんだろうなとは思いましたが。

 ともあれ、6人のディランは、それぞれが本人の分身みたいなもので、彼の多面性がこの映画を観ればわかるとは思います。ただし、その多面性は分裂症気味のものです。そこがディランの歌や言動の面白さなんですが、その面白さはひとりの人間の中に存在するものだからこそと、映画を観ながら思っていました。
 それぞれの役者が、ひとりの人格の中にあるまったく違うキャラクターを演じるのは、映画の企画としては面白いと思いますが、この映画についていえばちょっと脈略がなさ過ぎてシュールに感じられました。もっとも、それがこの作品の特徴だといわれてしまえば、その通りです。

 ディランが「ニューポート・フォーク・フェスィヴァル」でエレキを弾いてブーイングされたときは、日本でも話題になりました。この映画にも、「ニュー・イングランド・ジャズ&フォーク・フェスティヴァル」と名称を変えていましたが、そのシーンが出てきます。いまでは誰もそんなことは思わないかもしれませんが、あの時代、ぼくたち日本のディラン・ファンやフォーク・ファンまで、もう彼は終わったと思ってショックを受けたことを覚えています。
 本当にがっかりしました。当時は、フォークならフォーク、ロックとは違うという思いが普通だったんですね。ですから、ディランはロックに魂を売った、フォークを裏切ったと、ぼくなんかも本気で思いました。
 考えてみれば、身勝手な話で、その時点でぼくはロック少年でもあったわけですから、ディランがロックを始めたっていうのは喜んでもいいことのはずなんです。でも、日本もアメリカも同じだったと思いますが、ロック・ファンはその変節を冷たい目で見ていたように思います。
 ディランの歌じゃありませんが「時代は変わる」んですね。いまだったら、フォーク・シンガーがロッカーになっても、それほど目くじらは立てないでしょう。あのころの若者の間には反戦の機運が高まっていて、それの象徴がディランでした。
 しかし当の本人は、そういう風に思われるのがいやだったんでしょう。それでロックを歌いだしたって部分もあったと思います。この映画でも、周りが勝手なレッテルを貼ることにうんざりしているディランがあちこちで登場します。

e0021965_10411612.jpg サントラは出たときに買って、iPodで繰り返し聴いていました。ディランて本当にいい曲が多くて、そのことにいつもながらびっくりしてしまいます。本人によるヴァージョンもいいんですが、このサントラのように、他人のカヴァーにも面白いものが多いんですね。そこがディランの曲の特徴だと思っています。それだけ、彼の歌って、それぞれのひとが独自に解釈したくなるんでしょう。だから、こういう映画も作られたのかもしれません。
 あと、吉田拓郎や岡林信康がディランの影響を受けていることも、映画を観ながら思い出していました。

e0021965_10413844.jpg 10年近く前に、ディランを中心にした本で『20世紀のロック名盤300』というのを、何人かのかたと書きました。ぼくは彼のアルバムでは「ジョン・ウェーズリー・ハーディング』が一番好きで、そのアルバムのことなんかを紹介しています。
 この本は、なかなかよくできていて、ディランのアルバムを全部紹介しつつ、彼に影響を受けたひと、彼から影響を受けたひとなどのアルバムが紹介されています。ディランを中心にして、フォークとロックの流れを知ろうという企画です。ポピュラー・ミュージックがディランを中心に動いてきた、あるいは動いているとは思いませんが、それでも彼は重要な影響力を示してきました。この本は、そういうことをがわかるようになっています。
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by jazz_ogawa | 2008-06-02 10:52 | 映画&DVD | Trackback | Comments(12)
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 今日も雨ですし、そろそろ梅雨に入るのでしょうか? ここ数年、世界的に天候の変化をはじめ天変地異が頻発しています。地球は末期症状に入りつつあるんでしょうか?

 ぼくも末期症状に入ったかもしれません。今月は、人生で最初で最後、本が4冊出ます、スケジュールどおりにいけばの話ですが。別に意図したわけじゃないんです。編集が遅れたり、反対に執筆が進んで早めの発売になったり、どうしても6月に出したいという出版社があったりで、こういうことになりました。ただし、1冊は7月にずれ込むかもしれません。本当に出版されるかどうか怪しいものもひとつあります。
 出しすぎ、と先日のコメントにもありました。たしかに、出しすぎですね。でも、いいじゃないですか。こんなにお目出度いことは二度とないと思いますし。たまには、いい気分を味わわせてくださいよ。出しすぎは本人もよーくわかっているんですから。
 これが原因で、出版社が懲りて、本を出してくれなくなるかもしれません。そういう点で末期症状に入ったかもしれません。果たして売れるのか売れないのか、その推移を楽しみながら見守りたいと思います。
 でも、一度にこれだけ本を出すっていうのは、いいこともあるんです。こんな常識外れのことをやるやつは誰だっていうことで、取材の話が持ち上がっています。
 誰もやらないことをやる。それを生きがいにしてきたぼくとしては、これもそのひとつ(ジャズの世界に限ってということですが)だと思っています。常識があるひとならこういうことはやらないんでしょうが、常識破りがモットーですから、仕方ありません。
 でも、本音を言うなら、出版時期はずらしたかったんです。ただし、中途半端にずらすなら、いっそまとめてドーンと出したほうがインパクトがあるし、面白いし、ということで、こうなりました。流れに逆らわないのがぼくの流儀でもありますすし。それよりなにより、とにかくこういうことって面白いじゃないですか。家族も喜んでくれていますし。
 長くなってしまいました。今月の予定です。トーク・イヴェントも2回あります。


【Book】
06.15.  『ジャズマンが語るジャズ・スタンダード120』(全音楽譜出版社)
06.   『ザ・ブルーノート、ジャケ裏の真実~1500番台ライナーノーツ全解読』
    (講談社)
06.   『決定! JAZZ黄金コンビはこれだ!!』(河出書房新社)
06.   『証言で綴るジャズの24の真実』(PRHYTHM Paperbacks)


【Activities】
06.14. Talk Event『小川隆夫ONGAKUゼミナール』(第19回:ビル・エヴァンス特集) @駒場東大前Orchard Bar 21:00~23:00 チャージ1500 円(w/1 drink)
問い合わせ:03-6410-8324(http://blog.livedoor.jp/nobby2jack/archives/cat_50015795.html

06.28. Talk Event『第4回 成話会』(ジャズを楽しむ) @成城クラブ サロン(東京都千代田区有楽町2-2-1 ラクチョウビル10F) 14:00~16:00 会費:3000円(飲み物とお茶菓子つき)
要予約:成城クラブ(03-3572-4777)まで


【Articles】
06.20. 『スイングジャーナル』(7月号) 
    「ディスク・レビュー」
    「ジャズ名盤講座第16回:コンテンポラリー編」
    「ジャイアンツが愛したジャズ名曲名演決定版 第18回:ウエイン・ショ
    ーター編」
    「伝説のバンドが復活! チックが語る新生リターン・トゥ・フォーエヴ
    ァーの全貌」

06.20. 『CDジャーナル』(7月号)
    「カラー・レビュー」
    「輸入盤紹介」
    「試聴記」

06.24. 『ジャズ批評』(144号)
    「アルフレッド・ライオン生誕100年~行方均さんとの対談」

06.25. 『月刊Playboy』(8月号)
    「PLAYBOYジャズ大賞」


【Web Magazine連載】
日経BP『セカンドステージ』 「永遠のジャズ」(http://www.nikkeibp.co.jp/style/secondstage/o-style/)(隔週更新:6月は6日と20日)


【Linernotes】
06.04. (DVD)『ウイントン・マルサリス/コンゴ・スクエア』(ユニバーサル)
06.04. 『サックス・サミット/セラフィック・ライト』(ユニバーサル)
06.18. 『ジャッキー・マクリーン/ストレンジ・ブルース』(ユニバーサル)
06.18. 『シダー・ウォルトン/シダー!』(ユニバーサル)
06.18. 『マイルス・デイヴィス他/コンセプション』(ユニバーサル)
06.18. 『ナット・アダレイ/イン・ザ・バッグ』(ユニバーサル)
06.18. 『ボビー・ジャスパー/ボビー・ジャスパー・ウィズ・ジョージ・ウォー
    リントン・アンド・アイドリース・スリーマン』(ユニバーサル)
06.18. 『チャーリー・バード/アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』(ユニ
    バーサル)
06.18. 『アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ/キョート』(ユ
    ニバーサル)
06.18. 『ウエス・モンゴメリー/バンピン』(ユニバーサル)
06.18. 『ウエス・モンゴメリー/ウィロー・ウィープ・フォー・ミー』(ユニバ
    ーサル)
06.18. 『ウエス・モンゴメリー/ゴーイン・アウト・オブ・マイ・ヘッド』(ユ
    ニバーサル)
06.18. 『ウエス・モンゴメリー/ジャスト・ウォーキン』(ユニバーサル)
06.18. 『ウエス・モンゴメリー/テキーラ』(ユニバーサル)
06.18. 『ウエス・モンゴメリー/ダウン・ヒア・オン・ザ・グラウンド』(ユニ
    バーサル)
06.25. 『チック・コリア&リターン・トゥ・フォーエヴァー/アンソロジー』(ユ
    ニバーサル)
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by jazz_ogawa | 2008-06-01 00:23 | Works & Information | Trackback | Comments(6)
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