去年の8月から中断していた駒場東大前の「Orchard Bar」で、久々に「ONGAKUゼミナール」を開催しました。60年代の音楽全般について、さまざまなジャンルのものを、自分の体験を踏まえながら毎回紹介していこうという趣旨です。
事前のプロモーション(?)が功を奏したか、はたまた久々ということもあってご祝儀だったのか、満員のお客様に集まっていただけました。お忙しい中、わざわざ会場に足をお運びくださった皆様、本当にありがとうございました。
それで昨日は「ザ・ヒット・パレードの時代」と題し、日本における洋楽ポップスの黎明期を飾ったヒット曲の数々を、自分の思い出とともに話させてもらいました。紹介したのはこんな曲です。ほかにもいくつかの曲ではオリジナル・ヴァージョンとの聴きくらべもやってみました。
1.ビー・バッブ・ア・ルーラ(ジーン・ヴィンセント)
2.ビキニ・スタイルのお嬢さん(パラダイスキング)
3.ザ・ヒット・パレードのテーマ
4.可愛い花(ザ・ピーナッツ)
5.おおキャロル(かまやつひろし)
6.悲しき60歳(坂本九)
7.可愛いベイビー(中尾ミエ)
8.ヴァケーション(コニー・フランシス、日本語ヴァージョン)
9.渚のデイト(伊東ゆかり)
10.ルイジアナ・ママ(飯田久彦)
11.すてきな16才(弘田三枝子)
12.浮気なスー(スリー・ファンキーズ)
13.ロカ・フラ・ベイビー(ほりまさゆき)
14.ブルージーンと皮ジャンパー(内田裕也)
15.君はわが運命(ミッキー・カーティス)
改めて思ったのは、漣健児さんの訳詩の素晴らしさです。意訳ではなく的確に原詞を日本語化し、それも原詞よりメロディにぴたりと合っている曲がいくつもありました。
それと日本人シンガーのうまさ。弘田三枝子さんの「すてきな16才」ではニール・セダカのオリジナル・ヴァージョンも一緒に聴いてもらったのですが、みなさんびっくりの様子でした。
個人的な考えですが、日本語のポップスが定着したのは漣健児さんをはじめとした作詞家の素晴らしい才能とシンガーの歌のうまさが大きかったと思います。日本語ヴァージョンのほうがオリジナル・ヴァージョンよりヒットしたのは、歌詞とシンガーの力があったからこそと思います。
そしてそういう文化があったから、日本で洋楽が定着したとぼくは思っています。その後の洋楽ブームの露払いというか、底辺を拡大した役割がフジテレビの「ザ・ヒット・パレード」だったんじゃないでしょうか。
あの番組がなければ、そして日本語の洋楽ポップスが定着しなかったら、その後の日本におけるポピュラー・ミュージックはここまで大きなものにならなかったかもしれません。
それで今回はちゃんと予定通り、9時半に終了しました。それと、ここからあとも楽しかったですね。家に戻ったのは1時半。ずっと「Orchard Bar」でいろいろなひととお話をしていました。最近ではこんなに遅くまで話し込むことはないんですが、それだけ自分も楽しんじゃいました。こういうアフター・アワーズもいいですね。
で、次回は9月の初めを予定しています。テーマは「ボブ・ディランとその周辺」みたいなものにしましょうか。ぼくが考えているディラン像をここいらでうまくまとめてみたいと思っていますので。またいろいろな方にいらしていただけると嬉しいです。