
こういうセッションも実現してしまうところが、日本のジャズ・シーンのすごいところです。ふたりに聴いたら、ライブで競演するのはこのツアーが初めてとか。これまで飛び入りで競演したこともなかったそうです。

きっかけは、昨年リー・リトナーが発表した『6ストリング・セオリー』。そこでこのふたり+布袋寅泰の3ギター・バトルが実現したんですね。取り上げたのはジェフ・ベックでお馴染みの「フリーウェイ・ジャム」。これ、たしか『ライヴ・ワイアー』の1曲目じゃなかったかしら。

一昨日観たステージのオープニングもこの曲から。なにせこのグループ、「ザ・フリーウェイ・バンド」を名乗っています。その曲をレコーディングしたリズム・セクションが今回は一緒です。つまり、リトナーのグループにマイク・スターンが加わった形のライヴになりました。
ステージでも、リトナーはマイクのことを「スペシャル・ゲスト」と紹介していました。でも、最初から最後までふたりは丁々発止とやり合います。ほんと、面白かった。プレイの息もぴったりだし、パーソナリティ的にも意気投合していたようです。漫才とまではいきませんが、ライヴ後にやらせてもらったインタヴューでも仲のよさが伝わってきました。
そのときの話ですが、リトナーがマイクに、「布袋さんが明日(昨日のことです)か明後日(今日のことです)、来るかもしれない」といっていました。「ギターも持ってくるんじゃないかな?」ともいってました。なので、「ブルーノート」で3人の競演が実現した(する)かもしれません。
リトナーは、マイクに布袋さんの奥さんのことも「美人でシンガーでアクトレス」と説明し、それを聞いたマイクは「奥さんも来るかな」と目を輝かせていました。驚いたのは、リトナーが正確に「今井美樹」と名前を発音していたことです。さすが、日本の芸能界通(?)。
そういえば、ずいぶん以前、リトナーとあるタレントさんとの実に面白い話があるんですが、これだけは『愛しのジャズメン』にも書けません。心の中にとどめておきます。

前回のインタヴューで、リトナーの出発点はベンチャーズであることを知りました。そこで、今回はマイクに聞いたら、やっぱりベンチャーズだったそうです。ぼくも同じ。ぼくらの世代は日米を問わず、ベンチャーズだったんですね。「ウォーク・ドント・ラン」なんかを一生懸命にコピーしていたといってました。
この模様は、そのうち「Jazz Conversation」で紹介できると思います。それにしても布袋さんが飛び入りするんだったら、そのステージも観たかったです。