
去年の「オーチャード・ホール」にも行きましたが、今回はピアノ・トリオということで、こちらも楽しみにしていました。メンバーはレジナルド・ヴィール(ベース)とグレゴリー・ハッチンソン(ドラムス)。この3人が一緒にプレイするのは今回が初めてだそうです。

でも、それぞれとは昔からの演奏仲間なので息もぴったり。2月25日に観たステージでは、最初に演奏されたオリジナルの「ハッチマニア」から、彼女およびトリオの真髄がたっぷりと味わえました。
ミンガス風というかエリントン風というか。あるいはドルフィー風でもモンク風でもいいんですが、とにかく大西さんのプレイと音楽性には独特の挑戦的な姿勢が見えます。そこがとても好きですね。

ホーンを入れた新作の『バロック』もよかったです。それを再現してくれた「オーチャード・ホール」のステージと今回のトリオ演奏。どちらも彼女にしか表現できない独特の味わいっていうんでしょうか、オーソドックスなスタイルから一歩はみ出した、ちょっと危険な水域をあえて目指すようなプレイがスリリングでした。
大西さんの演奏からはいつもスリリングなものを感じます。予定調和で終わらないところに心が揺さぶられます。後半に演奏されたドルフィーの「サムシング・スウィート、サムシング・テンダー」やミンガスの「メディテイションズ・フォー・インテグレーション」に彼女らしさがよく表されていました。
それからアンコールの「ジャスト・ワン・オブ・ドーズ・シングス」。この勇壮果敢な演奏もよかったです。このトリオ、2月27日に2曲だけレコーディングするとのことでしたが、うまくいったのかな? それも楽しみです。
「ブルーノート東京」からの帰りは渋谷まで歩くんですが(疲れていないときは家まで歩きます)、いい演奏を聴いたあとのこのウォーキング、これが心地いいんですね。この日もそうでした。