おとといに続いて昨日(10月22日)もひと前で話をしてきました。今年の2月から2ヵ月に1回、駒場東大前にある「Orchard Bar」での「Ongakuゼミナール」。
今回は「エレクトリック・マイルス後編」と題して、引退後からこの世を去るまでの10年間の演奏を聴きながら、個人的な思いを交えてマイルスの話をしました。あちこちで散々書いたり話したりしてきているので新鮮なねたはありませんが、来場された方には楽しんでもらえたでしょうか?
ついつい脱線して話が飛んでしまうため、この日も用意してきたレコードとCDを全部かけることはできませんでした。それだけマイルスには思い入れがあるということで、(勝手にあるいは一方的に)ご勘弁願った次第です(許してもらえたかどうかは知りませんが)。とりわけ、マイルスに初めてインタビューしたときの艱難辛苦について時間を割いてしまいました。
話していると、マイルスとの日々がいろいろと甦ってきます。ブランフォード・マルサリスがレコーディングに呼ばれたときに、ウイントンと一緒にスタジオまで行き、ふたり揃って門前払いを食らわせれたときのこととか、この世を去る3ヵ月前にニューヨークで観たマイルスの姿とか、マイルスとヘヴィー級のボクサーで誰が史上最強かについて話をしたときのこととか。
マイルスの音楽を同時代に体験できたことはとてもラッキーでした。チャーリー・パーカーもバド・パウエルも、そしてウエス・モンゴメリーも観ることはできなかったけれど、マイルスをはじめジョン・コルトレーンやセロニアス・モンクの演奏が聴けたことはぼくの財産です。
思えば、いまもポールやストーンズといったロック・レジェンドが「昔の名前で出ています」ではなくて、現役のバリバリでシーンを引っ張っています。その姿を観ることができることに喜びを覚えています。そして、もうすぐソニー・ロリンズが来日を果します。引退をほのめかしていることから、これが彼を観る最後になることでしょう。その姿をぼくはしっかりと心に焼きつけておきたいと思います。
なお、次回の「Ongakuゼミナール」では、ジャズから離れて「ボブ・ディランと仲間たち」みたいな内容をやろうかな、といま思いつきました。相変わらず思いつきで動いているぼくでした。