昨日(25日)は朝日カルチャー・センターでの「ブルーノート・コレクション~ジャズのたしなみ方」。7月から始まったこの講座も、今回で終了です。2期全5回でブルーノートの魅力がどこまで伝えられたか、自分ではよくわかりません。
最初はひと前で話すのが重荷だったのですが、5回目にもなると、根が図々しいのか、何とか平然を装うことぐらいはできるようになりました。でも、苦手意識はまったく変わりません。
それしてもブルーノートは奥が深い、改めてそう思いました。ビバップ~ハード・バップの名門レーベルとして有名なブルーノートですが、そのほかにも、オルガン・ジャズ、ファンキー・ジャズ、ジャズ・ロック、新主流派、そしてフリー・ジャズまで、さまざまなスタイルをこのレーベルはカヴァーしています。昨日はそのエッセンスをと思い、ジミー・スミス、デクスター・ゴードン、ジョニー・グリフィン、アイク・ケベック、サム・リヴァース、マッコイ・タイナー、オーネット・コールマンを聴きました。
相変わらず、何を話すかはそのときまでまったく考えていません。話し始めると、次から次へといろいろなことが浮かんでくるんですね。これは文章を書くときと同じです。
でも文章の場合は、あとからいくらでも訂正がききます。ところが、話は演奏と同じで二度と同じ言葉で同じことは話せませんし、訂正はできても、話してしまったこと自体を抹消することはできません。そこで、どんどん支離滅裂な方向へと走っていくのですが、昨日いらして下さったみなさんは、そんなぼくの話がわかってもらえたでしょうか?
話が下手なので、どうしてもそれを説明しようと、言葉が多くなってしまうんですね。言葉が多くなるから、さらに話がわかりにくくなる、それもジャズのことなので何とかわかりやすく表現しようとするから、ますます説明口調になって、もっと話が混乱するという悪循環。ぼくの話はそんな風になりがちです。それがわかっているから、苦手意識に繋がるんでしょう。ここで自分のことを分析しても仕方ないんですが。
でも、その昔、ミュージシャンをやっていたころですが、先輩から「ありきたりのフレーズは絶対に弾くな」と言われました。「わざと妙なフレーズや間違った音から始めて、それをどう理論的に正しいフレーズの中に組み込むか、そういう練習をしろ」と言われたのが、いまも心に残っています。文章も話言葉も、ぼくの場合はそんな感じです。
考えてみればこれまでの人生もそうでした。どうも、最初に何かミスをしてしまうことが多いんですね。それをどうやってまともな方向に軌道修正するか、そんな連続でここまでやってきたような気がします。
それでいま振り返ってみると、自分なりにまあまあの行き方ができたような思いがしています。「冗談じゃない、お前のお陰で酷い目に会った」というひともいるでしょうが(きっと沢山──ああ怖い)。
朝日カルチャー・センターでは、来年の1月28日に1回だけですが「小川隆夫のマンハッタン・ジャズ・カタログ ジャズにはまろう」という講座を開きます。これは先日出版した同名本に連動するもので、ニューヨークのジャズ・クラブの話を交えながら、ライヴの名盤を聴くといった内容です。興味がある方は是非ご参加下さい。(朝日カルチャー・センター:http://www.acc-web.co.jp)
いまのところ、朝日カルチャー・センターでの講座はここまでしか決まっていません。今後はマイルス・デイヴィスでやりませんかと言われていますし、昨日も受講生の方から「今度はマイルスでやってください」とのリクエストを頂きました。話すのは苦手ですが、できればいいなぁとも思っています。もし決まりましたら、このブログで報告しますね。