年に一度の恒例になっている守屋純子オーケストラ。昨日はその定期公演に行ってきました。
このコンサートには毎回テーマがあります。今回は「Big Band Plays Hard Bop!」。ホレス・シルヴァーのオリジナルから、「ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ」「ムーン・レイズ」「セニョール・ブルース」「セント・ヴィタス・ダンス」(この曲のみトリオで演奏)、さらには守屋さんのオリジナルが数曲、そしてもうひとつのテーマともいうべき新作「徳川家康公ジャズ組曲」からの4曲で構成。
ホレスの名曲をグルーヴの効いたオーケストラで聴く。これには格別の味わいがありました。彼のファンキーな持ち味をオーケストラのアンサンブルがどう表現するか。それを楽しみにしていたコンサートです。そして、昨日の演奏には期待を上回るものがありました。
それ以上に感銘を受けたのが新作の組曲。全貌は今年予定されているレコーディキングで明らかになるでしょうが、4曲を聴く限りでは極めて大きな期待が持てそうです。
この曲は、家康公とゆかりの深い岡崎市から委嘱されたものとのこと。今年が没後400年にあたり、その記念行事の一環のようです。
ぼくはこの曲を聴きながら、その音楽と守屋さんの姿に秋吉敏子さんのイメージを重ねていました。彼女同様、日本的な情緒をジャズの中に盛り込む巧みな手腕。それだけに、これは作編曲家としての守屋さんの面目躍如たる大作になりそうです。
オーケストラのメンバーがほぼ固定されているため(今年は去年とまったく同じ)、彼女のことをみんなが理解しているのも演奏を聴けば明らか。加えて、オーケストラには欠かせない人材が顔を揃えているところも魅力です。
このメンバー。考えてみれば山下洋輔さんや小曽根真さんのオーケストラとかなりの人数がダブっています。しかし、当然のことですがそれぞれのオーケストラが表現するサウンドはまったく違う。そこにいまの日本におけるジャズ・オーケストラの充実の一端を見る思いがしています。3つのオーケストラ、いずれもリーダーがピアニストであることも興味深い点です。
それだけ引く手あまたの実力者たちが顔を揃えているので、守屋さんによればブッキングが大変とのこと。「早めにメンバーのスケジュールを押さえないと」ということで、すでに来年のコンサートも2月26日開催と決定。
オーケストラの運営が非常に難しい現況を思えばこれも嬉しいことです。レギュラー活動は難しいとしても、定期的なコンサート開催には大きな意義があります。そこにぼくは期待をかけています。
「守屋純子オーケストラ BIg Band Plays Hardb Bop!」
【出演メンバー】
守屋純子(p、arr)
近藤和彦、緑川英徳、岡崎正典、アンディー・ウルフ、宮本大路(sax)
エリック・ミヤシロ、木幡光邦、奥村晶、岡崎好朗(tp)
片岡雄三、佐藤春樹、東條あづさ、山城純子(tb)
納浩一(b)
広瀬潤次(ds)
岡部洋一(perc)
2015年 2月 20日 「渋谷区文化総合センター大和田・さくらホール」