1920年代にジャズの街として花開いたのがニューヨーク。各地から腕に覚えのあるミュージシャンがこの街を目指してやってくる。それに伴い、彼らが出演する「コットン・クラブ」や「サヴォイ・ボールルーム」といった高級社交場が脚光を浴びるようになった。
ところが華やかなローリング・トゥエンティーズの時代から、世の中は世界大恐慌によって一転する。そんな時代に、束の間の楽しみを求めるかのようにダンス・ブームが到来した。そのダンス音楽として持て囃されたのが、ベニー・グッドマンやデューク・エリントンたちが演奏したスイング・ジャズだ。。
★キーパーソン:ベニー・グッドマン
ニューオリンズ・ジャズは賑やかなサウンドに特徴があった。一方、スイング・ジャズはスマートで洒落た演奏に魅力を発揮する。
禁酒法が制定されたことでジャズ・クラブが閉鎖され、その結果としてダンス・ホールともぐり酒場がジャズ・ミュージシャンのおもな仕事場になった。そしてダンス・ホールで高い人気を誇ったのがベニー・グッドマンやグレン・ミラーのオーケストラ。
中でも“スイング王”と呼ばれたグッドマンは、1934年から全国ネットで放送したラジオ番組『レッツ・ダンス』で人気者になり、1938年にはジャズ・ミュージシャンとして初めて「カーネギー・ホール」でコンサートを開催。ここに空前のスイング・ジャズ・ブームがやってくる。