フュージョンはジャズがさまざまな音楽と結びついたもの。当初はクロスオーヴァーと呼ばれ、フュージョンなる言葉が一般的になったのは1970年代なかばに入ってから。
ジャズとロックが結びつくことで初期のフュージョンは始まった。しばらくするとリズム&ブルースやファンク・ミュージックなどと融合することも盛んになってくる。そして1980年代には、世界各地の民族音楽やさまざまなリズムを取り込むなどしてさらなる広がりを示す。そのころになると、従来のフュージョン・ミュージックもコンテンポラリー・ジャズと呼ばれる4ビート系の音楽に帰結することで、次なる発展を遂げることになった。
★キーパーソン:マイルス・デイヴィス

このジャンルでも、マイルス・デイヴィスを中心に、彼のグループから巣立っていったミュージシャンが大活躍する。
トニー・ウィリアムスのライフタイム、ウエイン・ショーターとジョー・ザヴィヌルが結成したウェザー・リポート、ジョン・マクラフリンのマハヴィシュヌ・オーケストラ、チック・コリアのリターン・トゥ・フォーエヴァー、ハービー・ハンコックのヘッド・ハンターズなど、フュージョンの全盛を担った立役者はいずれもマイルス・バンドの出身者たちだ。
中でもブラック・ファンクと結びついたハービー・ハンコックの『ヘッド・ハンターズ』が世界的に大ヒットしたことから、フュージョン・ミュージックは一層幅広いサウンドを獲得するようになった。またブラジル出身のシンガーであるミルトン・ナシメントを迎えて録音されたウエイン・ショーターの『ネイティヴ・ダンサー』がきっかけとなって、世界中の民族音楽とジャズの結合が盛んになったことも見逃せない。