ぼく自身、昔はジャズ・ギタリストになりたいと本気で考えていた時期があって(若気のいたりですが)、いまも昔も音楽のジャンルを問わずギタリストには興味を持っています。小沼ようすけさんがデビューしたときも、レコード会社が送ってくれた視聴用のCDを繰り返し聴いて、素直ないいギタリストが登場してきたものだと強い関心を覚えたことが思い出されます。
それが5年くらい前のことだったでしょうか。興味を持っていたアルト・サックスの太田剣さんやオルガンの金子雄大さんが入っていたことでもこの作品は気に入って、CDのリリース直後に行なわれたライヴにも何度か足を運びました。
以来、それほど頻繁ではありませんが、小沼さんのライヴは観てきました。そして、昨日は2年ぶりくらいになるかと思いますが、久々に彼の演奏に接することができました。これまでは小さなジャズ・クラブで観たり、コンサート・ホールの場合は単独ライヴではなくショウケースみたいな形のものだったりで、この大きさの会場で小沼さんの単独ライヴを観るのは初めてです。
ステージは二部構成で、第一部は彼のギター・ソロでした。ブレッドの「イフ」(懐かしい!)から始まり、「イズント・イット・ロマンチック」、「オーヴァー・ザ・レインボウ」、「オレオ」とアコースティック・ギターで演奏し、その後はエレクトリック・ギターに持ち替えたり、再びアコースティック・ギターに戻ったりと、8曲くらい演奏したでしょうか。
小沼さんは若いギタリストです。デビュー作には「Jazz/R&B/Pockの壁を越え、ギタリスト・小沼ようすけここにデビュー!」のコピーがついていました。たしかにアルバムでは、現在までそういう方向性が打ち出されてきました。その最たるものが、昨年リリースされた『TKY』でしょう。
ところが、昨日のライヴでは非常にオーソドックスなジャズ・ギタリストという素顔(?)を見せてくれました。「イズント・イット・ロマンチック」にしても「オレオ」にしても、正統的なジャズのコード・プログレッションを用いながらの展開が、気持ちよく聴けました。
「イズント・イット・ロマンチック」では、昔散々コピーしたタル・ファーロウのソロを頭の中でなぞりながら、小沼さんのプレイとオーヴァーラップさせていました。伝統的なジャズ・ギターの奏法を取りながらも、ハーモニーやフレージングに彼ならではの現代性も認められます。大げさにいえば、ジャズ・ギターの発展が自分なりに体験できた気分になれて満足のライヴでした。
「Quest Hall」では、9月16日に「小僧こだわりJAZZ Live vol. 2~TOKU plays standard and more」(詳細は
http://www.kozocom.com/devinch/user/ShowContentsEvent.do?page=/events/index.html)を開催します。昨日このホールに行ったのも、小僧comのスタッフが会場を見ておきたいということからご一緒した次第です。9月のコンサートでは、ロビーでワイン・テイスティングも予定していますので、ロビーや会場の広さ、それらの位置関係などを確認したかったようです。
昨日のコンサートでは、ロビーに小沼さんが使っているギターなどが展示されていました。ぼくが持っているギブソンのD-175の最新モデルもあり、それを見ていたら指がちょっとむずむずしてきました。
コンサート前とインターミッション中には、ロビーでDJがジャズのレコードを回していました。プロデューサーとしてコンサートをやることを前提に会場に足を運ぶと、9月のコンサートではこれもありだななどと、何か思うところがあるものです。
小僧comのコンサートでは、ただ会場に来て音楽を聴いておしまい、ということにしたくありません。プラス・アルファの要素をいろいろ盛り込めるところに、ぼくは楽しさや面白さを見出したいと思っています。
前回のブログでも書きましたが、CDは音を聴くツールではなくて、パッケージも含めてすべてがひとつの創造物です。コンサートも同じだと思います。
とここまで書いて、それは当たり前のことだと気がつきました。でも、当たり前のことがなかなか当たり前にできていない物事が世の中にはたくさんあります。最近ではシンドラーのエレヴェーターがそうですよね。
思いつきでいまもこの文章を書いていますから、だんだん脱線しそうになってきました。これはまずいので、このへんでやめましょう。
そうそう、会場でDJをやっているひとをよく見たら、某レコード会社のディレクター氏でした。他社のアーティストのコンサートでDJをやっているところに、人間関係の良好な一面が見えたことも気持ちがよかったですね。ぼくは、こういう枠組みにはまらない姿勢が大好きですから。
今日は、これからテレビで「がんばれニッポン」です。以前にも書きましたが、スポーツに関してはネガティヴ・シンキングですから、期待はしていません。勝てば儲けものといったところでしょう。もちろん勝ってほしい気持ちはみなさんと同じですが。
でもネガティヴ・シンキングのぼくですから、今日勝ってもブラジル戦があるし、オーストラリアだってあと1勝する可能性が高いし、勝ち点で2位になったとしても得失点差が今度は響くだろうしと、いくらでもネガティヴなことが思い浮かびます。
またまた脱線してきましたが、最後まで書いてしまいます。これって、きっと医者をやっていることと関係しているんじゃないかと思います。それというのも、医者としてぼくは悪いほうへ物事を考える傾向にあるからです。いい換えれば楽観視しないということです。
常に症状や状態が悪化することを想定して診察しているのがぼくなんですね。症状が改善してきても、また何かの拍子で悪化するかもしれません。そういう思考がいつの間にか出来上がってしまいました。でも、医者の場合は慎重なほうがいいでしょう。常に最悪のケースを考えていれば、準備にも怠りがないということです。
もうこれくらいにしておきましょう。あとは「がんばれニッポン」です。