今度の土曜日は、駒場東大前の「Orchard Bar」で「ONGAKUゼミナール」を開催します。今回はテーマをジャズ・ギターにしました。
最初はジャズ・ギターの歴史をたどろうかと思ったのですが、それをやりだしたらきりがないのでやめます。学生時代に散々ギターを弾いていたので、そのころ好きだった演奏(いまも変わらず好きですが)を前半、後半はぼくがプロデュースした作品からギタリストをフィーチャーしたものを選ぼうかと思っています。こちらは自慢話をしたいがための選曲です。自分でいうのも何ですが、これが結構いいんです。日本ではほとんど無視されましたが、ワールドワイドで見れば売れた作品もいろいろあります。
脱線話が長くなりそうなので、前半はあっさり、後半はこってりと思っています。でも、その通りにはいかないでしょう。聴きたい曲は全部かけたいのですが、いつものように尻切れトンボになると思います。そんなものでもよければ、ぜひいらしてください。21時から23時過ぎまでやっています。詳細はここまで
http://www.orchardweb.jp/。なお、お店の電話番号は03-6410-8324に変更されています。
宣伝はこのくらいにしてMJQです。MJQといってもモダン・ジャズ・カルテットではありません。マンハッタン・ジャズ・クインテットです。結成されてから20年以上、メンバーはいろいろ交代しましたが、いまも日本では絶大な人気を誇っています。昨日も「ブルーノート東京」は満員の盛況で、仕事の都合で開演後にいったところ、客席後方にひとつ椅子を用意してもらい、そこに座って観てきました。

リーダーのデヴィッド・マシューズは、アンコールのとき以外、MCはすべて日本語。最後に英語で「I can't speak english」とやったのは大受けでした。でも、曲紹介はいけません。あれほど言ったのに。「エンジェル・アイズ」とか「テイク・ファイヴ」とかを綺麗な発音で紹介しちゃ駄目でしょ! 合格点をあげられるのは「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」でした。一語ずつ区切って日本語風に発音していたのでこれはよしとしましょう。
演奏は、相変わらず、マシューズのご機嫌なアレンジで腕達者のミュージシャンがそてぞれの妙技を聴かせるスタイルでした。お馴染みの曲をひと味違うアレンジで演奏する。それがMJQの魅力です。ジャズの楽しさを伝えている点で、このグループの演奏はわかりやすいし、魅力いっぱいです。

しかもルー・ソロフ、アンディ・スニッツアー、チャーネット・モフェット、そしてヴィクター・ルイスは、いずれもリーダーとして活動しているひとたちです。このメンバーに固定されてからでもかなりの歳月が経っているのでチーム・ワークは抜群。斬新さの点では物足りないところもありますが、こういうグループはいまや貴重かもしれません。客席はおおいに沸いていましたし、ぼくも楽しみました。

マシューズには、10月の「ニューヨーク・ジャズ・ツアー」でいろいろと協力してもらうことになっています。そこで打ち合わせがてら、演奏が終わったあと楽屋に顔を出しました。会うのは久しぶりです。5年くらい前に、ぼくが勤務しているクリニックに遊びに来てくれたことがあります。クリニックに遊びに来たというのも妙ですが、昼休みに近くの洋食屋さんでご飯を食べることになっていたからです。
そのときに、いろいろな曲名の日本語式発音を伝授しました。真面目なマシューズは、単語カードにそれらをひとつひとつ書き込んで、復唱していました。だから、さっきのMCは駄目です。忘れちゃったのかな? とも思っていたのですが「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」はちゃんと覚えていたようです。
そういえばチャーネットと会うのも本当に久しぶりです。10年以上会っていません。ぼくは以前に比べたらすっかりやせてしまったし、年も取ったので、最初はポカンと口を開けていました。それでも、すぐに思い出してくれたようです。何しろ彼が高校生で、ウイントンの周りをうろちょろしていたころからの知り合いですから、忘れたとは言わせません。

チャーネットともいろいろありました。そのことを思い出したので、彼との話は来年出版する『愛しのジャズメン 3』で書くことにしましょう。
この写真、昔のことがばらされんじゃないかと思い、「まいったなぁ」といった顔をしているチャーネットです。ぼくは「書いちゃうからねー」と笑っています。でも、大丈夫だって! 変なことは書かないから。