年々開催時期が遅れてきて、今年は9月の第3週の開催になりました。4日間で5コンサートですが、どこまでつき合えるか。木・金は7時開演で終焉予定が10時半。初日は11時すぎまでやっていましたから、連日こんな調子になるでしょう。
ぼくの場合、体調を管理する上で食事の時間が最重要なので、最初から最後まで通して観るのは不可能です。まあ、そのときの気分でいきたいと思います。途中でインタヴューもあれば、楽屋を訪ねたりすることもありますし。そういうわけで、初日はセカンド・アクトのピアノ・デュオ、レ・フレールをパスしました。
【デューク・エリントン・オーケストラ】
今年のオープニングはデューク・エリントン・オーケストラ。もちろんリーダーのエリントンはとっくの昔にこの世を去り、跡を継いだ息子のマーサーも故人となってしまい、さらにその後は孫のポールが一時率いていたのですが、今回のエリントン・オーケストラはアルト・サックス奏者のチャーリー・ヤングがリーダーです。
エリントンのスコアを用いているのでエリントン・サウンドは健在です。ただし、その昔聴いた本物のエリントン・オーケストラにはとうていおよびません。あのゴージャスなサウンドこそエリントン・オーケストラの真髄だったんですが、それを期待するのはないものねだりでしょう。昨日のオーケストラもエリントン・ミュージックを継承していました。その点では、貴重な演奏を再現してくれるバンドとして大きな意義を感じます。
【ステイシー・ケント】
ブルーノートから新作を発表したステイシー・ケントは、とてもうまいシンガーだと思います。昨今のジャズ・シンガーらしく、スタンダードも歌いますが、「ユーヴ・ガット・ア・フレンド」のようなポップスでもいい味を出しますし、オリジナルにも素敵な曲がたくさんあります。
サックス+ピアノ・トリオをバックに淡々と歌うステージングは、5000人収容のホールではなく、小さなクラブで聴きたいところ。派手なところが一切なく淡々と歌うステージング、ぼくは好きです。で、テナー奏者がご主人だったんですね。
【小曽根真Presents No Name Horses】
小曽根さん率いるフル・サイズのオーケストラ。日本の精鋭ミュージシャンを一堂に集めただけあって、勢いを強く感じました。メンバーのソロも面白かったし、聴き応え満点です。なにより小曽根さんが最高に楽しんでいる様子で、こんなオーケストラを結成してしまうところに、音楽的にも人間的にもスケール・アップした姿がうかがえました。
アンコールではサプライズが。マイク・スターン、クリス・ミン・ドーキー、そしてデイヴ・ウェックルが加わり、小曽根さんの「キャット・サミット」が演奏されました。マイク・スターンがいるせいか、どこかカムバック直後のマイルス・バンドを思い出したのはぼくだけでしょうか? クリスは、そういえば、昔、ニューヨークのぼくのアパートに来たことがありましたが、あのころとはずいぶん雰囲気が変わっていました。