昨日は今年で3回目になる「銀座ジャズ」の初日に行ってきました。主催者発表では、昨日と今日で欧・米・日の各国から14グループ総勢63名のアーティストが銀座に集まり、あちこちの会場で無料のライヴを開きます。
ぼくは、1時からシャネルの4階にある「ネクサス・ホール」でブールー&エリオス・フレのコンサートに行きました。ジプシー系のフランス人ギタリストの兄弟です。まずは2曲をふたりが演奏し、その後にスペシャル・ゲストの木住野佳子さんが、ベースの安カ川大樹さんと加わりました。
フェレ兄弟は、フランス人がビバップを演奏するとこうなる、みたいなプレイでばりばりと弾きまくります。ジャンゴ・ラインハルト直系のプレイを思わせますが、もっとテンションが高いといえばいいでしょうか。しかもいろいろな曲のフレーズを盛り込みますから、どこが本体のメロディだかわからない、ごった煮のような演奏が面白かったですね。
木住野さんのしっとりしたピアノとはまったくタイプが違いますから、どういうことになるかと期待が膨らみました。こういうタイプのミュージシャンとは、おそらく彼女も共演したことがないんじゃないでしょうか。
しかし、このコラボレーションは面白かったですね。どちらも自分の世界を明確に持っています。それが不思議な融合をしていました。鍵は安カ川さんのベースにあったと思います。彼はどちらのタイプにもフィットするサポートで、全体を見事にまとめていました。安カ川さんがいなかったら、水と油を混ぜても融合しないで分離していたかもしれません。でも、そういうのもジャズの場合は面白いことが多いんですけれどね。
ライヴが無事終了し、木住野さんもほっとしたんじゃないでしょうか。ちょっとご挨拶をさせていただきました。
その後は、少し間が空きましたが、6時から「バーバリー銀座店9Fホール」での渡辺香津美エレクトリック・バンドです。前から2列目、香津美さんのまん前の席で凄いギター・プレイを堪能しました。本当にテクニックが見事で、そのテクニックに溺れない音楽性が素晴らしくて、完全にノックアウトです。
香津美さんは高校生のときから自由が丘の「ファイヴ・スポット」で弾いていました。それ以来のファンです。スピーディなプレイは当時から圧倒的だったんですが、音楽的にとてもいい感じに成熟していて、ジョン・マクラフリンやスコット・ヘンダーソン以上の早弾きでも、アクロバティックなだけでないことに感じ入りました。
しかし、香津美さんにしても山下洋輔さんにしても、完璧なテクニックのひとは指の動きが綺麗ですね。一切の無駄がない動きは芸術的です。それだけを観ていても堪能できます。
ベースのグレッグ・リーとドラムスの村石雅行、そして途中からサックスの川嶋哲郎さんが加わり、このエレクトリック・バンドは最初から最後までヒートアップで、アンコールの「マイルストーンズ」も含めて1時間半近くのライヴ、本当に満足ができました。
さて、今日はこのあと4時から「時事通信ホール」でポーレット・マクウィリアムスを聴いてきます。トム・スコットがスペシャル・ゲストで出ることになっていて、ライヴ終了後に彼が出す新作のライナーノーツ用のインタヴューを頼まれているからです。どんな話が飛び出すか、ライヴともども楽しみです。距離もちょうどいいので、涼しそうですが、ウォーキングを兼ねて会場まで往復することにします。