
昨日のライヴは最高でした。フラワー・トラヴェリン・バンド。35年ぶりに再結成され、野音に登場したのも36年ぶり。今回の再結成に伴い、サポート・メンバーだったキーボードの篠原信彦さんを正式メンバーに加えてのステージです。
ジョー山中/Joe Yamanaka(Vo.)
石間秀機/Hideki Ishima(Sitarla.)
小林ジュン/Jun Kobayashi(B.)
和田ジョージ/George Wada(Dr.)
篠原信彦/Nobuhiko Shinohara(Key.)
チケットが売り出されてすぐに買い、それからこの日が来るのを首を長くして待っていました。ぼく自身、野音で音楽を聴くのは30年ぶりくらいです。それもあって、日比谷公園の近くに来ただけでワクワクしてしまいました。
思い返せば、40年近く前の1969年ごろから、夏から秋にかけての週末はよく野音にいたものです。毎週のように午後からロック・フェスティヴァルが開かれていて、授業が終わるとそのまま野音に行っては、お客さんが少ないときなど、鉄製(?)のベンチで横になり、半分うとうとしながらさまざまなロック・バンドを聴いたものですて。もう少しあとの時代に登場してきたグループも加えれば、FTBをはじめ、THE M、頭脳警察、成毛滋、はっぴえんど、岡林信康とか、名前は忘れてしまいましたが、本当にたくさんのグループを何度も聴いたものです。

FTBの思い出もたくさんあります。昨日もMCでジョー山中さんがいっていましたが、日大の全共闘がステージを占拠しようとして、それをFTBとお客さんの「帰れコール」で追い払った光景はいまでも鮮明に覚えています。
FTBの5人がステージに出てきた瞬間、ぼくは感極まってしまいました。全共闘のこともそうですが、FTBにまつわるさまざまな思いがいろいろと甦ってきたからです。カナダに本拠地を移すきっかけになった万博のロック・フェスティヴァルも観ましたし、2年間のカナダ生活を終えて凱旋コンサートを開いた東京都体育館にもいました。その後も野音でのライヴを聴いたり、どこかのホールでライヴを観た記憶もあります。
それらの記憶と35年という時間の長さを経ていまここに自分がいる実感を重ねると、懐かしさとか自分がたどってきた道とか、さらには彼らの人生なんかにまで勝手に思いを寄せて、言葉では説明できない奇妙な感慨、それも非常に心が温かくなるような気分が味わえました。
年を取ったせいか、ライヴを見ると、そのアーティストにまつわるさまざまな体験が懐かしく思えてきます。オープニング・アクトで登場したJohnny , Louis & Charに対しても同じ思いがありますが、とにかく彼らがいまも元気でかっこよく、しかもご機嫌な音楽を聴かせてくれることに感動していました。
どちらのバンドも、「もう還暦を過ぎた」なんていっていましたが、とにかくみなさん若い。チャーはぼくより年下ですから還暦を迎えていませんが、この日ステージに登場したそれ以外の全員が60歳を超えているはずです。それでいて、いまだに新しい音楽をやっているのですから嬉しいじゃありあませんか。

FTBのステージでは昔のアルバムと新作『We Are Here』からの曲が半々くらいだったでしょうか。新作で発表された曲も魅力的ですが、昔の曲もまったく古く感じません。「SATORI」はいま聴いても外国で通用する曲だし内容だと思っています。
ちなみに、その当時(1970年代初頭)に出たアルバムで世界に通用すると思っているのは、FTBの『SATORI』、サディスティック・ミカ・バンドの『黒船』、ゴールデン・カップスの『ザ・フィフス・ジェネレーション』です。ライヴを観ながら、あの時代の楽しかったことがいろいろと頭の中を駆け巡りました。都合のいい性格なので、いやなことはすべて忘れています。
FTBのステージを観て、かっこいいひとは年を感じさせないということに改めて気がつきました。ぼくもくたびれた中年になりたくないですから、もっと努力をしなくては。
ところで、FTBは11月にニューヨーク、12月にはカナダでライヴをするそうです。ネットで調べてみたのですがスケジュールがわかりません。11月にはニューヨークに行くので、タイミングが合えば最高なんですが。