一昨日の日曜に六本木の「TOHOシネマズ』でマーティン・スコセッシが監督したストーンズの『シャイン・ア・ライト』を観てきました。
春にニューヨークのIMAXシアターでもIMAXの超大型画面によるこの映画を観てきましたし、アメリカで出たDVDも持っています。でも、やっぱりもう一度映画館のスクリーンで観たいと思い、一昨日行ってきました。
六本木ヒルズにある「TOHOシネマズ」はよく行く映画館です。この日は、いつもと少し違って、服装から察してストーンズ・ファンとおぼしき、ぼくと同じような世代のひとが目につきました。もちろん若いひともたくさんいて、ストーンズが世代に関係なく愛されていることを実感しました。
何度かこのブログで書いているとおり、ストーンスは本当に若々しいいですね。とくにミックが若々しいです。キースは年齢を超えてしまった仙人のような風格で、仙人といえばチャーリー・ワッツもそうです。相変わらずやんちゃ坊主のまんまなのがロン・ウッドでしょうか。
改めてジーンときたのは「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」が歌われたときです。キースとロン・ウッドがアコースティック・ギターを弾き、ミックがじっくり歌います。40年くらい前の曲ですが、この曲には個人的にいろんな思いがあります。そんなことを思い出していたら、歌じゃないですが、ほんとに涙が出そうになりました。それにしてもいろんなことがあったなぁ。
ストーンズだって想像もつかないような栄光と苦難と、さまざまなトラブルを乗り越え、この歌をいまうたっているんだなぁ、なんてことも頭に浮かびました。人生、辛いこともあるから楽しいことがある。大げさにいうなら、いまこうしてストーンズの映画を楽しんでいられるのも、これまでの人生があって、その結果なんだってことです。ほんとにオーヴァーにいえば、ですけど。
キースのコメントで個人的に受けたのは、彼とロン・ウッドに対するインタヴューの答えです。「どっちがギターがうまいと思う?」という質問に対し、ロン・ウッドは「もちろん自分」と答え、キースは「どっちもヘタクソだけど、このヘタクソふたりが揃うと最高のロックになる」って答えたんですね。思わず「キースに座布団一枚」といいたくなりました。
若いころのミックに、誰かが「60になってもロックをやっているか?」と質問するくだりがあります。彼は「もちろん」と答え、現在のステージが映し出されたシーンも、アイディアは凡庸ですが、ストーンズの場合は説得力があります。
1960年代のぼくは未来の自分ことなんかまったく考えていませんでした。毎日が楽しくて、楽しむことだけで精いっぱいでしたから。しかしもうすぐ60に近くなる自分を客観的に見ると、なんにも考えていなかったあのころの自分ですが、こういう現在に満足しているんじゃないでしょうか。きっと無意識のうちに、いまの自分のような将来を描いていたんだと思います。
上を見たらきりがありませんし、下を見ても同じです。いまの自分が一番いいと思えることが幸せなんだと思います。ストーンズの映画を観ながら、どうしてこんなことを考えていたのか、わかるようでよくわかりませんが、まあいいでしょう。
このところちょっと気になることがあって、それがなかなか解決しないんでジリジリしているんですが、その分、一昨日の映画も含めて、このところささやかな幸福感もいくつか味わえていて、自分の中では帳尻があっているようです。