いやぁー凄いものを観てしまいました。先行予約でチケットを手に入れてから、指折り数えて待っていたかいがあったというものです。その昔、さんざん憧れたふたりが同じステージに立っている。それだけで感激です。しかも、ふたりしてギターまで弾くんですから。って当たり前ですが。
昨日は埼玉スーパー・アリーナで行なわれた初日のコンサートに行ってきました。それにしてもジェフ・ベックには感動しました。エリック・クラプトンもよかったですが、ギタリストの共演という視点で観るなら、ぼくは圧倒的にジェフ・ベックがよかったですね。やっぱりギター一本40年以上のひとと、途中でシンガーに転向したギタリスト(とぼくは思っています、でもこれはこれで最高ですが)との違いでしょうか。
共演は、クラプトンのバンドにジェフ・ベックが客演する形で行なわれました。つまり、クラプトンのレパートリーでふたりがソロを繰り広げるスタイルです。他人のレパートリーを演奏しても、ジェフ・ベックはすべての曲で趣向を凝らした独特のプレイでクラプトンを圧倒しました。
クラプトンも悪くはありません。ただ、どの曲のソロも同じに聴こえました。クラプトンはそれで自分のスタイルを完成させているので、それはそれで満足です。いわゆるクラプトン節ってやつですね。でもそこにジェフ・ベックが加わってくると、どうしても元ギタリストとしては聴き比べてしまいます。
このふたりのプレイに出会ったのは40年以上前のことです。クリームを聴いてそのプレイに度肝を抜かれたぼくですが、そのクラプトンが現在のようになるとは当然のことながら思ってもいませんでした。
というより、将来はどんな音楽をやるんだろう? なんて考えることは誰もしていなかったと思います。クラプトンはあれ以来自分の音楽を発展させ、現在のスタイルになりました。いまのクラプトンからクリーム時代の彼を結びつけるのは難しいです。
ところがジェフ・ベックは昔のまんま。もちろん彼の音楽もいまだに発展しています。しかしイメージは昔のまんまです。初めてライヴを観たのは、ベック・ボガード&アピスの来日公演です。これだって35年以上前でしょうか? あのとき武道館で聴いたジェフ・ベックと昨日の彼とはイメージがほとんど同じです。実際はまったく違っているはずなんですが、そこが面白いと思いました。
コンサートは一部がジェフ・ベック、二部がクラプトン、そして三部が両者の共演の構成。言い換えれば、オープニング・アクトがジェフ・ベックで、メイン・アクトがクラプトン。その後半にジェフ・ベックが参加という形です。
なんだかもったいなくて、共演の一曲目で終わりにして、あとは大事にとっておきたい、みたいな妙な思いにもとらわれました。もちろん全部観たいんですが、全部観ちゃったらいけないような気がしたんですね。こんなに凄いものを観ていいんだろうか、
演奏がどうだとかといったことは関係ありません。といいながらさんざん思いのたけを書いてしまいましたが、究極をいわせてもらうなら、ふたりが並んでいるだけで100点満点の試験にたとえるなら100点あげてしまいます。あとは至福の時間を楽しむだけでした。
アンコールも面白かったですね。スライ&ファミリー・ストーンの「アイ・ウォント・テイク・ユー・ハイヤー」。この曲ではクラプトンも歌わず、ギタリストに徹しました。
こんなにワクワクしたコンサートはめったにありません。ありきたりですが、こんな言葉しかありません。生きててよかった。
それで、今晩はあがた森魚さんのコンサートに行ってきます。嗚呼、この節操のなさよ。