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川隆夫の JAZZ BLOG
Profile

©Kozocom (photo by Shuichi Kasahara)
職業:JAZZジャーナリスト、整形外科医、DJ

ニューヨーク大学の大学院在学中にアート・ブレーキーやマルサリス兄弟など数多くのミュージシャンと知り合う。帰国後、JAZZを中心に約3000本のライナーノーツを手がけると共にJAZZ関連の著書を多数出版。ブルーノートの完全コレクターとしても有名。その他、マイルス・デイヴィスやブルーノートの創始者アルフレッド・ライオンの来日時の主治医を勤めるなど、現役の整形外科医としても第一線で活躍中。

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3.19:ジャズメン、ジャズを聴く!


■TALK EVENT■
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2009-02-28 ハンク・ジョーンズを立て続けに2回
2009-02-28 ハンク・ジョーンズを立て続けに2回_e0021965_9391190.jpg
 聴いてきました。24日の「ブルーノート東京」と、昨日のホテル・オークラです。

 去年の「東京Jazz」のハンクさんも素晴らしかったですが、今回もよかったです。90歳というのにかくしゃくとしていて、タッチによどみがありません。力強さはあまり認められませんが、もともとこのひとは《瀟洒なタッチ》で評判を呼んでいたんですから、年齢を重ねることによってまさに面目躍如のプレイをするようになったと考えてもいいでしょう。

「ミスティ」とか「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」とか、お馴染みの曲のオン・パレードです。難しいことは言いっこなし。こういう洒落たピアノを聴くのもぼくは大好きです。カクテル・ピアノをとても上等にしたような演奏とでもいえばいいでしょうか。

 やっぱりハンクさんは凄いなぁと思ったのは「マーシー・マーシー・マーシー」ですね。やや後乗りのアプローチがモダンでかっこいい。こういう演奏ができるところに魅力が集約されているように思いました。

 高齢であることを自然に受け入れ、それをさらなる魅力に結び付けている姿は、見ていて心が和みます。これも人柄でしょう。このひと、ステージに出てきただけで優しさが滲み出ています。実際、話をしても穏やかだし真摯だし、それでいてユーモアもあります。接するたび、こんな老人(失礼)になれたらいいなぁと思います。

「ブルーノート」ではアンコールを2回やってくれました。ただし楽屋に引っ込むのが面倒くさいのか、ステージから帰りそうな素振りをしながら、耳に手を当てて拍手の大きさを確認し、ピアノに戻るという、ハルク・ホーガン+ジェームス・ブラウンのようなやり方です。こういうことも、ハンクさんがやれば好感が持てます。

2009-02-28 ハンク・ジョーンズを立て続けに2回_e0021965_9393923.jpg
 ゲストにTOKUさんを迎えたホテル・オークラでのライヴは「ブルーノート」以上。なにせ休憩なしでほぼ2時間演奏したんですから。アンコールは4回。「ブルーノート」と同じで、帰ろうとしません。最後の2曲はソロ・ピアノで「イン・ア・センチメンタル・ムード」と「ザ・ヴェリー・ソウト・オブ・ユー」。至芸でしたね。枯れた味わいというのがぼくもわかる世代になってきたんでしょう。枯れすぎてカサカサは困りますが、ハンクさんのピアノには適度な潤いがあって、それが味を生み出していました。

 手は少々もつれます。でも、ジャズのスピリットは健在です。むしろタッチが弱い分、こちらも一所懸命に聴き耳を立てながら演奏に没入できました。面白いのは没入しているんですが、とてもリックスして聴けるんですね。没入にもいろいろな形があることを知りました。

 ハンクさんのような存在は稀有といっていいでしょう。若くて生きのいい演奏も好きですが、こういうしっとりとした、スウィートで洒落ていて心地のいい演奏も得がたいものです。そしてぼくは、どちらかといえばこういう音楽が好きになってきたかもしれません。

 とんがったジャズやロックもいまだに「いいなぁ」と思いますが、許容範囲が広くなってきたということでしょうか。まあ、もともとほとんどのものに「いいなぁ」と思うタイプですから、そのあたりはどうなんだか自分でもよくわかりません。

 音楽的に新しいものは見つけられなくても、それまでになかった体験はできます。それがハンクさんのライヴでした。ミュージシャンはこうやって、そのときどきで自分のものを出せば、ひとを感銘させることができる。そう思いました。ただし、それはごく一部の優れた才能を授かったひとに限るんでしょうが。ハンクさんもそんなひとりです。ですから、ぼくは彼の演奏をこれからも大切に聴いていこうと思っています。

 驚いたのは、ホテル・オークラでの演奏終了後、ハンクさんの希望で、「CDを購入したらサインをします」とアナウンスされたことです。2時間休憩なしで演奏し、そのままサイン会です。ぼくは90歳まで生きるとは思いませんが、その年でニューヨークに行き毎晩ジャズ・クラブを覗くなんて芸当は絶対にできません。恐るべき90歳を目の当たりにして、音楽以外にも思うところがたくさんありました。

 そうそう、今年のグラミー賞でハンクさんは「Lifetime Achievement Award」を受賞しています。偉大なミュージシャンの演奏を立て続けに2回聴けたぼくは幸せ者です。
by jazz_ogawa | 2009-02-28 09:50 | ライヴは天国 | Trackback | Comments(4)
Commented by med_ical at 2009-02-28 10:22 x
小川さんの『ベスト・オブ・ジャズ・ピアノ』で色々なタイプの演奏をするハンク・ジョーンズにそのことを聞いた時「ただ練習をするだけ」と答えたというエピソードがとてもよかったです。
Commented by jazz_ogawa at 2009-02-28 12:12
med_icalさん、長老にしてこの謙虚さ。尊敬に値します。彼からみればぼくはまだ小僧ですが、謙虚さは見習わなくては。
Commented by めいこ at 2009-03-04 20:23 x
ハンクさん、2日連続聴きに行かれたなんて、贅沢ですね!!!
私も大好きです!!!
東京JAZZの年のクリスマスの貞夫さんのコンサート出演されたんですが、帯状疱疹で大変な中来日。貞夫さんとの約束を守りたいとの思いからだったようです。
その時の演奏は、今でも忘れられません!!!
大阪にも来られたとき、聞きに行きましたが、小川さんのおっしゃる通りでした。つけたしなし!のコメントに嬉しくって!!!
90歳のハンクさんに尊敬と親近感を抱いています。

Commented by jazz_ogawa at 2009-03-04 23:39
めいこさん、連続ではありませんが、2回立て続けに聴いてきました。どちらも味わい深くてよかったです。こういうピアノはハンクさんにしか弾けないですし、それをしっかりと心に焼き付けました。
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